知識スキルで異世界らいふ

10 何がどうしてこうなった？！

目が覚めたら朝だった。うっすらとルージュが起こしてくれた事は覚えているけど、起きた記憶がない。

どうやら思ったよりもだいぶ疲れていたようだ。
ルージュが来る前に着替え以外の準備をして待っていよう。

後は着替えるだけとベッドの端に座り待っていると、侍従部屋の扉が開いた。
しかし、出てきたのはルージュではなかった。

「あれ？ルージュはお休みだっけ」

出てきた侍従、ジュジュに聞いた。

「はい。ルージュは昨日で3日目でしたので。今日から3日間は私が担当です」

「あっ、うん。よろしく」

俺はジュジュが少し苦手だ。ルージュは、主従の関係を壊さない程度に、軽く接してくれるからこっちも気楽に接する事が出きるけど、ジュジュは頭が固すぎるし、態度も固い。壁を感じて、信頼関係が中々築けずにいる。


ジュジュが用意してくれた服に着替えていてるとき、鏡に映ったジュジュを見て、なんか違和感を覚えた。

しかし、その違和感がなんなのかは分からなかった。
この時に、その違和感の正体に気づいていれば、こんなことにはならなかっただろう。

只今遠くにお城が見える森の中にいます。

食堂へ転移するためジュジュにお願いしたら、森に来た。意味がわからないと混乱していると、

「これで、ジュジュは処罰されるな。殿下を無断で連れ出し、森に捨て、見殺しにしたとして」

俺は隣を見て、違和感の正体に気づいた。
ジュジュは、右目に泣き黒子がある。けどこのジュジュは、左目に泣き黒子があるのだ。

竜人は双子で産まれる。極たまに１人しか産まれない時もあるが、基本は双子だ。

うちはたまたま男女で産まれた。性別は違うがよく見ると、アッシュ兄上とレーナ姉上、リード兄上とセレナ姉様はよく似ている。性別が同じならそっくりだっただろう。

つまりこのジュジュはジュジュの双子の片割れと言うことだ。

「わざわざ声真似してまで、ご苦労だな。シュシュ。片割れであるジュジュを貶めて何がしたいんだ？それと、ジュジュは無事なのか」

「ククク、ジュジュの心配よりご自分の心配をしたらどうです？竜人に劣る猫獣人殿下。そのようなお顔をなさらなくても、ジュジュは無事ですよ。少々深く眠ってもらっているだけです」

俺がシュシュを睨み付けると、ジュジュの事を教えてくれた。無事と聞いてほっとした。

「こんな事して、お前も無事ではすまないぞ。ジュジュの何が気に入らなくてこんな事する」

俺は冷静にシュシュに対する。

「ジュジュじゃなくて、俺はお前が気に入らないんだ！なんでジュジュが猫獣人のお守りなんてしないといけない！あいつの希望は第1護衛騎士団だった！なのに、なのに、なんで猫獣人の侍従なんだよ！ふざけんな！」

そういえば、いつだったか侍従部屋でルージュと引き継ぎをしている時にそんな話をしていたな。

ルージュがなんで第１じゃなくて、ここに希望を変えたのかと。
盗み聞きするものではないと、そっと続き部屋の前から移動した記憶がある。

そうすると、ジュジュが俺の侍従になったのは、本人の意思ということになる。その事をシュシュは知らない？

「ジュジュはなんて言っていたんだ。俺の侍従になると決まったとき」　

親の敵みたいに、俺を睨み付けているシュシュに聞いたみた。シュシュは鼻で嗤うように

「王命だから従うとさ。陛下も陛下だ。ご自分の騎士になりたいと言うジュジュを、猫獣人ごときのお守りに任命するんだからな」

不敬と言う言葉をこいつは知らないのか？竜人は総じて賢いはずなのに。しかし、本人の希望で移動した訳じゃなかったのか？

もー、ワケわからん！ジュジュは寡黙だったけど、ただの言葉足らずなだけか？

「ジュジュは家族とはよくしゃべるのか？」

「は？そんなのお前に関係ないだろう」

シュシュは不快を全面に出していい放った。

「ジュジュは俺についている時、寡黙だから気になって」

俺の言葉に途端に、にやけ顔になって、

「はっ、お前とは話したくないと言うことだろうな。ジュジュはあまりしゃべる方ではないが、会話は普通にするからな」

うん、言葉足らずな方だ。それに俺は、寡黙と言ったけど、会話をしないとは言ってないんだけどな。自分の都合のいいように変換したようだ。

「長居し過ぎたか。そろそろ俺は戻るよ。では殿下、ごきげんよう」

シュシュはそういって俺の前から消えた。

だいぶ時間を稼いだから、父上達が捜索隊を出している事を願おう。

いつか父上に、森へ行くお願いをしようと思っていたけど、こんな形では来たくなかったな。

「さて、ここで捜索隊が来るのを待つか。それとも、お城を目指して移動するか」

俺がどうするか悩んでいると、俺の耳に獣の唸り声が聞こえてきた。
そっと声の方を見ると、狼の魔獣が3匹姿を現した。

あんなんでも、竜人。狼の魔獣は、その実力差を感じて身を潜めていたのだろう。
でも、その竜人が居なくなり、子供の獣人だけになった事で、出てきたのだろう。

「はは、変に分析している時じゃないよな？これ、どうしよう」

目を反らしたり、一歩でも動けば飛びかかって来る。それが分かっているだけに、逃げる事が出来ない。

あんにゃろう、無事に帰ったら覚えてろよ！

でも今は、この状況を脱することが先だ。
うん、パニックてるからなんにも思いつかない。まじどうしよう