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8 お城の探検ー午後の部ー(2)

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やって参りました、宝物庫。

来てビックリ、離宮一つが丸々宝物庫だった!中は大きく分けて、宝石類、魔道具関係、武器類、素材類の4つ。その他に、緊急用の食材の貯蔵庫として、離宮の半分を使用している。

まずは、宝石類の部屋。

曰くが有りそうな装飾品や、戴冠式用の王冠に錫杖、宝珠。ティアラにイヤリング、真珠のネックレス等々、目が痛くなるくらいキラキラしていた。

「ザ・宝物庫って感じだね」

「なんだよ、その感想は」

俺の感想に、リード兄上がつっこんだ。

なんだって言われても、それしか言葉が浮かばなかった。

続いて、魔道具関係の部屋。

それぞれの魔道具の前にプレートがあり、魔道具の名前とどんな魔道具かの説明が書いてあった。

早い話、ここにある半分は呪い関係の魔道具だった。

「何でこんな物騒なもの置いてるの?」

俺の疑問に、ドリュー団長が、

「ここにある大半は、実は魔道課の失敗作なんですよ。副産物と言うにはちょっとあれ何で、ここで保管しているんです。解除や呪術が発動しないように壊せるようになると、破壊していってはいるんですが、新たに作り出される方が早く。食材の貯蔵庫にも使用していますが、ここには時間を止める魔道具が使用されているので、間違って呪術が発動する心配はありません。ちなみに、時間停止の魔道具は生き物には適応されないので、ご安心を」

まぁ、そうだよね。じゃないと大変な事になる。
しかし、魔道課よ。失敗作で呪いの魔道具作っちゃうって、何をどうしたらそうなるのさ。
まぁいいや、次行ってみよー。

次は、武器類の部屋。

いろいろな剣や槍、弓に弓矢。盾に鎧がそれの部類ごとに並べられている。

「おおぉ、スッゲー」

俺は目をキラキラさせながら一つ一つ見ていった。

俺だけじゃなく、兄上達も一緒に目を輝かせながら見ている。そんな俺達を後ろの方でセレナ姉様とレーナ姉上が呆れた顔で

「何で男は皆、こうゆうのが好きなのかしら?私は良く分からないわ」

「同感だ。いくら私でも、この良さはわからない」

姉上達の後ろで控えている侍女達も賛同するように頷いている。
団長達騎士達は、危なくないように俺達に付いて回っているが、侍従達は姉上達の側にいる。
あとで、ルージュに「ものすごく居心地が悪かった」と愚痴られた。なんかすまん!

次は素材類の部屋。

やっぱりと言うか、一番多いのは竜の鱗。子供から大人になる時と、大人になってからは何百年かに一度、鱗の生え替わりがある竜人達の色々な色の鱗が山とある。

次に多いのは、ユースの角と羽。騎獣として飼育しているから簡単に、しかも大量に手に入る。

羽は使い道があるので、冬前は今ある羽は全部なくなるけど、換毛期になるとまた元に戻る。
後は、貴重そうな素材が細々ある。

最後は、貯蔵庫。

米に野菜に果物。それに、肉に魚。それぞれ別々の部屋に分けてある。

「肉と魚の部屋は生臭そうと思ったけど、臭いしないね?」

「時間停止の魔道具に加えて、消臭の魔道具もつけてますから」

「魔道課の人達って優秀なんだね。部屋は乱雑だし、失敗作で呪いの魔道具作っちゃうみたいだけど」

俺の言葉に皆が吹き出した。

「ルイ。優秀だから魔道課にいるんだよ?そうじゃなかったら、父上が雇用するわけないよ」

アッシュ兄上に正論を言われた。
そりゃそうだね。お仕事だもんね。

続いて行ったのは、図書室。

これまた、離宮を丸々一棟が図書室になっている。

「ここを何人で管理してるの?」

あまりの広さと、本の多さにそんな疑問が口に出た。

「確か、50人だったと記憶してます」

とルージュが答えた。

50人。多いのか少ないのかわかんないな。

「何か見たいものはない?」

セレナ姉様に聞かれたけど、どんなものがあるのかわからない。でも、これだけ広くてたくさんあるなら、ない本を探す方が逆に難しいかな?

「薬草の本が見てみたい」

他の異世界の神様からもらった、薬師のスキルがちゃんと機能するか知りたいしね。

「なんでまた、薬草の本なんだ?」

とリード兄上が言った。まぁ、なんの前ぶりもなく、7歳の子供が読むにはちょっと面白味はないかもね。

「えっと、ほら、次は医術局でしょ?だからちょっと気になって?」

我ながら苦しい言い訳だ。目が泳ぎまくってるのが自分でもわかる。

俺の周りは、俺以外竜人のみ。賢い竜人のみ。
疑惑の目を向けられ、耐えられなくなり目を反らした。

「ルイス。全て見終わったら父上の所へ行こうか」

アッシュ兄上の笑顔が今は怖い。

俺はもう本を読む気力がなくなり、そのまま図書室を後にした。

お城の探検、最後の医術局。

ここも離宮を丸々一棟を使っている。

怪我や病気などを見る診察室に、入院も出来るように病室もある。

奥の方は研究室になっていて、薬草の調合や新薬の開発をしている。離宮の隣には温室があり、いろいろな薬草も育てている。

簡単に診察室や病室を回り、先に温室へ向かった。

知識スキルを発動して、薬草の種類と効能を見て回った。薬草だけではなく、毒草も分けて栽培されていた。

「へぇー、薬草だけじゃなくて、毒草も育ててるんだ」

俺の言葉に、案内してくれている医術長が驚いていた。

「ほう、ルイス殿下は薬草に詳しいのですね。しかも、ルイス殿下がご覧になられている毒草は“ニセハゼ”と言って、ポーションの材料である“ハゼ”によく似ている毒草で、これを服用すると麻痺してしまうのです」

あっ、兄上達の視線が痛い。ルージュ達侍従組は呆れた顔をしている。

おい、一応俺は主人だぞ。その態度はダメじゃないのか?

これ以上ボロを出さないために、適当な事を言って温室を出た。

最後は研究室。

魔道課と違いとても整理整頓がされいて、清潔な空間だった。
どうやら口にもでていたようで

「少しでも異物が入りますとポーションは出来ませんからね。常に清潔を保っているのですよ」

医術長が笑いをこらえながら言った。ちょっと皆、そんな目で見ないでよ。

居心地悪く目線をさ迷わせていると、薬師スキルが発動したのがわかった。

発動した場所を見てみると、ポーションを作っている最中だった。それを見て何で発動したのかわかった。

「あれは、去年流行った熱病のポーションか。去年は特効薬がなくて、竜人の血で無理やり押さえ込んだけど、もう特効薬が出来たんだ。でもあれだけじゃ完全じゃない。何かが足りない」

俺がぼそぼそとしゃべり出したのを、皆がギョッとして見ていたけど、俺はそれに気づいてなかった。

俺はさっき温室で見た薬草を思い出していると、薬師スキルがまた反応した。

「ククル草?えーと、効能は、、魔力を抑える?魔力暴走を抑えるポーションに使われるものだね。確かに、去年の熱病の名前は、、なかったな。検索できるか?、、、やっぱりダメか。もしかしたら、発病した人を見ると何かわかるのかな?」

俺が考えにふけっていると、いきなり肩を捕まれ、ビックリして肩をつかんでいる人を見ると、アッシュ兄上だった。

「ルイス、そこまで。医術長、ルイスの言ったことは一先ず聞かなかった事にしてください。後程父上からお話があると思います。本日はお忙しい中ありがとうございます。これで失礼しますね」

俺はアッシュ兄上に手を繋がれて歩き出した。

「トーチカ、先に戻り父上にお時間をとってもらってくれ」

「はい」

「はぁ、ルイ。気をつけようね」

「・・・はい」

どうやらやってしまったみたいだ。

トーチカが戻ってきて

「執務室で待つとの事です」

「うん、ありがとう」

今の気分はドナドナって感じだ。
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