末っ子神様の世界に転生した何の取り柄のない平凡な俺がちょっとだけ神様の手伝いをする

チョッキリ

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18 お米の木

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俺やトーダ達は一旦部屋に戻り、お風呂に入り汚れを落とした。レジー達に、俺達が何で帰ってくるのが分かったのか聞くと、「お告げがあった」と返ってきた。その時にクラッカーと使い方の紙が教壇の上にあったらしい。そして、何日向こうに行っていたか聞くと、三週間と答えが返ってきた。
長いのか、短いのか微妙な所だな。

今更だが、この世界は地球と同じ7日で一週間。一ヶ月は30日で、一年が12カ月だ。四季もある。

俺が記憶を取り戻したのは7の刻(とき)。つまり7月だ。そしてすぐにレジー達とトーダ達の保護をした。そしてなんやかんやあって、試練に挑んだのが8の刻半ば。そこから三週間、今は9の刻。

トーダ達に魔法の使い方を教えたり、色々準備をすれば出発は来年になる。しかし1~3の刻はかなり雪深くなり、早くても4の刻半ばの出発になる。色々と大丈夫だろうか?

俺達がお風呂から上がり、また食堂へ行くと豪華な夕食が準備されていた。肉祭り以来のビュッフェスタイルだ。皆の料理の腕も上がりとても美味しいんだけど、この世界に慣れてきたからか、無性におにぎりが食べたくなった。塩にぎりに海苔を巻いただけでもいい。米が、おにぎりが食べたい。

気持ちがおにぎりに向いていたせいで、折角の料理をよく味わえなく皆に、体調が悪いのかと心配させてしまった。

俺は「疲れてはいるけど体調は悪くないよ。料理美味しいね、ありがとう」と誤魔化した。

しかし疲れているのは本当だから、俺とトーダ達は夕食を少し早めに切り上げ部屋に戻った。
お風呂はもう入ったのでそのままベッドに横になったら秒で眠りについた。

夢の中で神様が「お米の木、生やしとくね」と言っていたような気がしたがよく覚えてない。

その日の朝、俺はドンドンと鳴るドアのノックで起こされた。寝ぼけ頭でドアを開けると、パミルとセルディに有無を言わさず連れ出され、庭の果実の木が植えられている辺りに来た。

そこには同じく起こされたと思われるトーダ達も含めた全員が揃ってなにかを見ていた。パミル達が声をかけたらモーゼみたいに分かれた。

その先にあったのは、低い木だった。おチビ達でも手が届く程の低さだ。

「朝来たらこれがあった。ミクリ鑑定してみてくれ」

セルディに言われ鑑定したら

“米の木ーー精米済みのお米(無洗米)が実の中にある。1つの実で1キロ。なぜか枝がおれることはない。収穫してもまた翌日には実ってる”

米きたーー!神様ありがとーー!

俺は鑑定の結果を伝え、育ち盛りの事を考えて3つ収穫してもらい厨房へ。

お米があるなら、俺の予想通り大きな炊飯器がどーーんと厨房のすみにあった。存在感があるのか無いのか、、

炊飯器の中の釜を二人がかりで軽く洗い、実を割り米を入れ、水を適量入れる。そしてまた二人がかりで釜を戻し、蓋をする。電源の代わりはファンタジーでお馴染みの万能な魔石。
魔石に魔力を注げば、後は炊き上がるのを待つのみ。

これらを俺は指示するだけで手は出してない。というか、料理をさせてもらえない。本来は厨房にも立ち入り禁止されているのを特別に入れてもらっている。

前世でほとんど、惣菜やインスタントですませていた俺でも、たまにスープとか簡単なものは作っていた。だから俺も最初の内は料理を手伝っていた。

しかしある料理当番の時、俺はやらかした。よくアニメなどの料理の失敗で、黒く泡吹いているのが描かれている。俺はそれを再現してしまったのだ。

最初は、普通に美味しそうな匂いを漂わせたスープだった。最後の仕上げに、ただかき混ぜていただけなのに色が黒くなり、泡が吹きだした。
いつの間にか料理長に任命されていたセルディに滅茶苦茶怒られた。

その日は料理が一品少なくなり、しかもセルディが俺の作ったスープを皆に見せた。それを見た俺以外の全員の意見が一致して、俺の料理と厨房への立ち入りが禁止された。

こっそりスープを鑑定してみたら“ミクリの魔力入りスープ。食べれば一時的に魔力は上がるが、お腹を壊す”と出た。
あの時は、魔法について考えながらかき混ぜてたので、無意識に魔力を込めていたのかもしれない。

セルディやトーダ達にはこの鑑定結果を伝え、料理中に魔法の事を考えないようにするからと言ったけど、料理と厨房への立ち入りの禁止は解かれる事はなかった。

話を戻そう。お米が炊き上がるまでに今日の料理当番が朝食を作る。ご飯があるけど、初めて食べるモノだから、もしかしたら苦手に思う人もいるかもしれないので、パンも用意してた方がいいと提案した。

お米も炊き上がり、俺のわがままでおにぎりにしてもらった。初めてなので塩のみだ。
ビュッフェスタイルが楽なのに気づいて、今日からビュッフェスタイルにするみたいだ。ただ6つあるテーブルの内3つをビュッフェにして、残りの3つは普通のテーブルにして座って食べれるようにしている。かなりぎゅうぎゅう詰めになるけどね。

おにぎりは全員に好評だった。これでご飯が食べられる!やっぱり日本人は白米だよね。
お腹いっぱいになり、午前の仕事に取りかかる為に皆が移動し始めた時、

「トーダ、アレン、ライン、ランカ、ミーナ。レジー、パミル、セルディ、ジニーはここに残ってくれるか?」

俺は年長組だけを呼び止めた。食堂の片付けは後で俺達がすると伝え、年長組以外を食堂の外に出した。そして俺達だけになったら

「皆に残ってもらったのは、魔法の事で伝えたい事があったからだ」

俺は前置きをしてから、俺の使っている魔法はトーダ達にも使える事、魔法にはイメージが大事な事、必要な知識はちゃんと本能に刻まれている事などを伝えた。
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