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18 ハビス王国のスキャンダル

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 沈黙が場を支配してる中、拘束の力が緩んだのか、王子が抜け出し、猿ぐつわを外して

「はっ、言質は取ったぞ。協力すると言ったな。だったらここを俺に渡せ。そうすれば、兄上に口添えしてやっても良いぞ。それと、スタンビードなどと脅す奴は処刑だ。そうすれば自ずとここは俺のものだ。ハハハ」

「オークキング、怪我はさせるな。猿ぐつわして、取り押さえてて。ハビス国王陛下、良いですよね」

「ああ。だが、これでも一応王族だからな、怪我させなければよい」

 父親から完全に見放されたな。それにしても、似てない親子だな?全体的に母親似なのか?
 好奇心から、こっそりと鑑定ルーペを取り出し王子を鑑定した。

【バルカ ハビス
 ハビス国王陛下の子と偽称せし者。
 ハビス国王陛下の側妃と元側近の子。】

好奇心は身を滅ぼす。知ってはいけない事を知ってしまった。しかも、この鑑定結果は俺の隣にある通信装置を通して、領主様達にも見えてるはずだ。

「ハビス国王よ。それの身元はちゃんと分かっているのか?」

ちょっ、王様!なに言っちゃってんの?
恐る恐るハビス国王陛下を見ると、目があった。即反らした。俺の反応で何かを察したのか、オークキングに取り押さえられてる王子を見て

「なんとなくな。野心が強く、ワシを陥れようとした元側近に目元がそっくりだからな。性格は側妃に似てるがな」

「分かっていて、己が子としているのか?側妃もそのままに。惚れてるのか?」

「冗談でも止めてくれ。側妃はあれだが、伯爵は優秀な者でな。側妃を処分すれば、伯爵も無傷とはいかないからな。伯爵を守るためには、側妃とあやつもそのままよ」

あの~、これ放映中なのですが、覚えてます?暴露がスゴすぎですよ?ハビス王国の人達、今混乱してませんかね?大丈夫?当の王子は、何の話か分かってなさそうな顔してるし。

「それに、側妃の閨には一度も行ってないしな」

いや、ドヤる所じゃないと思うよ?王子はやっと何の話か理解したのか、顔が青くなってきてるし。ハビス国王陛下は王子を見て

「だからお前が平民と婚約すると言っても、反対しなかったんだよ。お前の元婚約者は、数代前に王女が降嫁した所だから、こちらから頭を下げて頼んだと言うのに。母子揃って愚かよな」

いくら暴れても、オークキングが押さえてるんだ、抜け出せるわけない。逆に怪我するぞ。それより

「あの、ハビス国王陛下?放映は止まってませんが、よろしいので?」

王子を見ていたハビス国王陛下は、俺に視線を移すと、

「ああ、このバカがやらかしたからな。切るタイミングを見定めていたら、モンスター管理者のスキルを持っていると分かると、こちらが止めるのも聞かず、勝手にここに来て、この始末。ほとほと愛想が尽きた。それに、こんなことぐらいでは、ワシの国は揺らがんよ」

「伯爵様は?」

「ふん。なんと言ってこようと聞く気はない。ワシが、白と言えば黒でも白になる。なんせ国王だからな」

茶化した言い方をしているが、目は笑っていなかった。これ以上は何も言ってはいけないと、本能が危険信号を出してた。

「そちらの話は済んだか?して、リュートよ。協力をしてくれると言う言葉に偽りはないな」

王様、ナイス!俺からはもう動けなかったから助かった。

「はい。銀は、それで良いか?お前の気持ちを無視する形になるが」

「マスターが良いなら良いよ。マスターは金のマスターの気持ちをちゃんと考えてくれていたから」

落ち着いた銀の声は、少し低くなっているようだった。

「銀、少し声、低くなった?声変わりか?」

クスクスと笑う銀が

「うん。今回の事で少し成長出来たみたい」

そっかそっか、俺は銀のコアを撫でて、嬉しそうな銀を愛でた。ひとしきり撫でてたら

「協力はしますよ、王太子様達に。領主様、通信装置を預けます。直接王太子様に手渡して、登録まで見届けて下さい。他国の王太子様方は、どうしましょうか?」

「アルベルト(辺境伯)、お前のとこのはいい性格してるな。リュートよ、この転移陣は二枚で一組なのか?」

「いいえ、転移陣があれば行き先は選べます」

いい性格って、褒め言葉じゃないよね?だって俺言ったよ?領主様しか信頼できないって。

「モンスターはダンジョンから出たら、暴走するのか」

「ダンジョンから離れすぎれば暴走します」

何となく、言いたいことがわかった。モンスターを使って、転移陣を各国の王城にでも置いて、転移陣で通信装置を配るってとこだろう。
ただ、モンスターはダンジョンから離れすぎれば暴走するが、俺が着いてれば暴走せず、ダンジョンに戻る。

「転移陣をモンスターに配らせるにしても、通信装置を配り終わったら、転移陣は回収させてもらいます。今の時代はまだ、転移陣は危険なモノですので」

「うっ、うむ。回収するか。そうだな、暗殺に使われたら目も当てられんな。ハビス国王、よいか?」

「ワシは構わんよ。なんなら預かろう、国王の名に置いて、返すまで決して悪用させないと誓おう」

俺はまっすぐハビス国王陛下の目を見て、

「銀、転移陣を出して」

銀から転移陣をもらい、ハビス国王陛下の所へ行くと、護衛を下がらせ自らの手で受け取った。

「しかと、預かろう」

「お願いします」

俺はコア部屋に戻ると、各国の王城が見えるコア達を映し出した。

「今これをご覧になれてる、各国の国王陛下並びに王太子様にお願いがあります。通信装置の件と転移陣の件でモンスターが王城に近づく事をお許しいただけるのであれば、のろしを上げていただきたい」

すると、すぐにプリベラとインベノ大陸の全ての国からのろしが上がった。それを見たからか、次々とのろしが上がり、ハビスを除く全ての国からのろしが上がった。
多分、王太子様方が陛下を説得したのかも知れない。

「ご協力ありがとうございます。では後日、このモンスターを飛ばしますので、攻撃しないでいただきたい」

と言って、グリフォンを出した。俺が乗って行くのだから大きいほうがいいし、攻撃されたくない。

そして、ハビス国王陛下は偽王子をオークキングから引き渡してもらい、転移装置で帰って行った。俺も銀のダンジョンを整備して、一時封鎖を解除して、帰った。
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