神様を育てることになりました

チョッキリ

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23 四神聖獣

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神聖な気配を感じるから神聖獣の一柱なんだろうけど、あまりの存在感に息が止まった。

「息をしないと苦しいだろう?なぜ、息を止めている?」

目線を合わせるために伏せた事で獣の姿がはっきりとわかった。その姿を見て思ったことは

「白虎」

だった。白に黒の横縞のもふもふ。コテンと首を傾げている様は、大きさ関係なくとても可愛かった。

「ほう。この姿の真の意味を知っているとは、お主、地球の者か」

真ん丸の目を細め、見定めるように俺を見た。俺は軽く頭を振り

「俺は転生間近だったみたいで、ほとんどの記憶が消された後だから自分がどこで産まれて、どういう名前で、どのような人生を送ったかなんて覚えてないんです。ただ時々、以前の記憶かな?って言葉が無意識に出てくるだけで、その意味まではわからないんです。だから、貴方の姿を見て、白虎って言ったけど、その意味は俺にはわからないです」

俺が正直にいうと

「うん?転生間近の人間は選んではダメではなかったか?」

白虎の言葉にさっきの神様の言葉を伝えると

「年々、録でもない者が選定者になるものだな。、、、まぁ、お主はまともそうなのでちっと頼まれてくないか?」

拒否を許さない圧をかけながら、お願いを口にした。
俺は引きつる口をどうにか動かし

「・・・俺に出来ることなら」

と言うと、ニヤっと笑って

「なに、そんな難しい事ではない。ここの新たな神になるのはその候補の誰かだろう?我らの主は主だけだ。新たな神が立ったなら我らは主の元へ行こうと思ってな。だから、後継を作って貰いたいのだ。主はここを創る前は、色々な世界を見て周り、殊の外地球の文化を気に入ってこの世界を創り、そして我らを創られた」

遠くを見て、何かを懐かしむように優しい目をした。

「これは我らの総意だ。四柱の神聖獣の後継を頼む。我らも力を貸すゆえ」

そう言うと、何処からともなく残りの三神聖獣が現れた。

「お主が我らに触れれば、我らの力を貸せる。その力を使い、後継を思い浮かべればいい」

俺はラグ達を見て

「あの、俺が思い浮かべればラグ達のような姿になると思うのですが・・」

そう、普通サイズだったジェムやルルも手のひらサイズになった。

四神聖獣はラグ達の姿を見て固まり、頭を寄せ合い話し合いを始めた。そして、話し合いの結果

「大きさはこちらで調整する。そなたは後継の姿だけに集中してくれ」

と朱雀と思われる赤い鳥が言った。

他の神聖獣も、任せろだの、細かいことは気にせず集中だ、だのと言っている。

「はあ。それでいいのなら、ご協力します」

と言って、近くにいた白虎のもふもふに触れた。するともふもふの暖かさとは違う温もりが手に伝わってきた。

「それでは、我の後継を考えてくれ」

「って、急に言われてもなぁ・・・」

俺は四神聖獣をそれぞれ見ながら、白虎のもふもふを堪能していた。そして、なんとなく頭に浮かんだモノを思い描いていると、俺と白虎の前に光の玉が出てきた。

「!」

俺がビックリしていると

「ふむ。どうやら次代からは神聖獣ではなく、聖獣になりそうだな。我らは異世界では神獣だったため、神聖獣と名付けられた故な」

光が獣の形になり、光が収縮するとそこに現れたのは、白銀の毛並みの狼。そう、フェンリルだ。白虎はフェンリルの鼻に鼻をチョンとすると、フェンリルはみるみる小さくなり子犬になった。

「え?」

なんで?と言う風に白虎を見ると

「種族が違うでな、成獣のままだと色々と引き継ぎの時に不都合がでるんじゃ」

白虎は子犬のフェンリルの毛繕いをしながら言った。子犬フェンリルは嬉しいのかしっぽをブンブンと振っていた。

俺が呆気に取られながらそれを見ていると、青龍が

「次は我だ。ほら早よ触れよ」

どうやら白虎が羨ましく、待ちきれないみたいだ。

俺はツルツルしている鱗に触れ、じっくりと青龍を観察し、これかなと思い浮かべたのは、リヴァイアサンだ。

リヴァイアサンは青銀の鱗を輝かせていた。そして、青龍がリヴァイアサンの頬に顔を寄せると、まるで蛇くらいに小さくなった。

(リヴァイアサンの子供の姿は蛇なんだ)

青龍は蛇のリヴァイアサンを頭に乗せ、ご機嫌だった。

「次はわれだな」

と朱雀が俺の前に座った。俺はその羽毛に触れ、思い浮かべたのはグリフォンだ。

グリフォンは赤銀の羽毛を羽ばたかせ、朱雀に擦りよった。そして、雛の姿で朱雀の背に埋もれた。

「最後は我か」

玄武はノソノソと近づいて来て、俺の前にドスンと座った。

漆黒の甲羅に手を触れ、思い浮かべたのはアスピドケロン、、、

(あれ?アスピドケロンって、海の魔物だったような、、うん?そうなの?あれ?)

無意識の記憶に混乱しながらも、巨大な木を背負ったアスピドケロンが出てきた。

玄武は首を伸ばし、アスピドケロンの頭に擦りよると、アスピドケロンはミドリガメサイズになり、巨大な木は甲羅を覆い隠すような双葉になった。

双葉の間からニョキっと、亀の顔が出ているのは少し滑稽に見えた。

玄武はアスピドケロンを頭で掬い、背中の甲羅へ転がした。
玄武が大きすぎて、てっぺんにいるはずのアスピドケロンは見えなくなった。
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