28 / 52
23 四神聖獣
しおりを挟む
神聖な気配を感じるから神聖獣の一柱なんだろうけど、あまりの存在感に息が止まった。
「息をしないと苦しいだろう?なぜ、息を止めている?」
目線を合わせるために伏せた事で獣の姿がはっきりとわかった。その姿を見て思ったことは
「白虎」
だった。白に黒の横縞のもふもふ。コテンと首を傾げている様は、大きさ関係なくとても可愛かった。
「ほう。この姿の真の意味を知っているとは、お主、地球の者か」
真ん丸の目を細め、見定めるように俺を見た。俺は軽く頭を振り
「俺は転生間近だったみたいで、ほとんどの記憶が消された後だから自分がどこで産まれて、どういう名前で、どのような人生を送ったかなんて覚えてないんです。ただ時々、以前の記憶かな?って言葉が無意識に出てくるだけで、その意味まではわからないんです。だから、貴方の姿を見て、白虎って言ったけど、その意味は俺にはわからないです」
俺が正直にいうと
「うん?転生間近の人間は選んではダメではなかったか?」
白虎の言葉にさっきの神様の言葉を伝えると
「年々、録でもない者が選定者になるものだな。、、、まぁ、お主はまともそうなのでちっと頼まれてくないか?」
拒否を許さない圧をかけながら、お願いを口にした。
俺は引きつる口をどうにか動かし
「・・・俺に出来ることなら」
と言うと、ニヤっと笑って
「なに、そんな難しい事ではない。ここの新たな神になるのはその候補の誰かだろう?我らの主は主だけだ。新たな神が立ったなら我らは主の元へ行こうと思ってな。だから、後継を作って貰いたいのだ。主はここを創る前は、色々な世界を見て周り、殊の外地球の文化を気に入ってこの世界を創り、そして我らを創られた」
遠くを見て、何かを懐かしむように優しい目をした。
「これは我らの総意だ。四柱の神聖獣の後継を頼む。我らも力を貸すゆえ」
そう言うと、何処からともなく残りの三神聖獣が現れた。
「お主が我らに触れれば、我らの力を貸せる。その力を使い、後継を思い浮かべればいい」
俺はラグ達を見て
「あの、俺が思い浮かべればラグ達のような姿になると思うのですが・・」
そう、普通サイズだったジェムやルルも手のひらサイズになった。
四神聖獣はラグ達の姿を見て固まり、頭を寄せ合い話し合いを始めた。そして、話し合いの結果
「大きさはこちらで調整する。そなたは後継の姿だけに集中してくれ」
と朱雀と思われる赤い鳥が言った。
他の神聖獣も、任せろだの、細かいことは気にせず集中だ、だのと言っている。
「はあ。それでいいのなら、ご協力します」
と言って、近くにいた白虎のもふもふに触れた。するともふもふの暖かさとは違う温もりが手に伝わってきた。
「それでは、我の後継を考えてくれ」
「って、急に言われてもなぁ・・・」
俺は四神聖獣をそれぞれ見ながら、白虎のもふもふを堪能していた。そして、なんとなく頭に浮かんだモノを思い描いていると、俺と白虎の前に光の玉が出てきた。
「!」
俺がビックリしていると
「ふむ。どうやら次代からは神聖獣ではなく、聖獣になりそうだな。我らは異世界では神獣だったため、神聖獣と名付けられた故な」
光が獣の形になり、光が収縮するとそこに現れたのは、白銀の毛並みの狼。そう、フェンリルだ。白虎はフェンリルの鼻に鼻をチョンとすると、フェンリルはみるみる小さくなり子犬になった。
「え?」
なんで?と言う風に白虎を見ると
「種族が違うでな、成獣のままだと色々と引き継ぎの時に不都合がでるんじゃ」
白虎は子犬のフェンリルの毛繕いをしながら言った。子犬フェンリルは嬉しいのかしっぽをブンブンと振っていた。
俺が呆気に取られながらそれを見ていると、青龍が
「次は我だ。ほら早よ触れよ」
どうやら白虎が羨ましく、待ちきれないみたいだ。
俺はツルツルしている鱗に触れ、じっくりと青龍を観察し、これかなと思い浮かべたのは、リヴァイアサンだ。
リヴァイアサンは青銀の鱗を輝かせていた。そして、青龍がリヴァイアサンの頬に顔を寄せると、まるで蛇くらいに小さくなった。
(リヴァイアサンの子供の姿は蛇なんだ)
青龍は蛇のリヴァイアサンを頭に乗せ、ご機嫌だった。
「次はわれだな」
と朱雀が俺の前に座った。俺はその羽毛に触れ、思い浮かべたのはグリフォンだ。
グリフォンは赤銀の羽毛を羽ばたかせ、朱雀に擦りよった。そして、雛の姿で朱雀の背に埋もれた。
「最後は我か」
玄武はノソノソと近づいて来て、俺の前にドスンと座った。
漆黒の甲羅に手を触れ、思い浮かべたのはアスピドケロン、、、
(あれ?アスピドケロンって、海の魔物だったような、、うん?そうなの?あれ?)
無意識の記憶に混乱しながらも、巨大な木を背負ったアスピドケロンが出てきた。
玄武は首を伸ばし、アスピドケロンの頭に擦りよると、アスピドケロンはミドリガメサイズになり、巨大な木は甲羅を覆い隠すような双葉になった。
双葉の間からニョキっと、亀の顔が出ているのは少し滑稽に見えた。
玄武はアスピドケロンを頭で掬い、背中の甲羅へ転がした。
玄武が大きすぎて、てっぺんにいるはずのアスピドケロンは見えなくなった。
「息をしないと苦しいだろう?なぜ、息を止めている?」
目線を合わせるために伏せた事で獣の姿がはっきりとわかった。その姿を見て思ったことは
「白虎」
だった。白に黒の横縞のもふもふ。コテンと首を傾げている様は、大きさ関係なくとても可愛かった。
「ほう。この姿の真の意味を知っているとは、お主、地球の者か」
真ん丸の目を細め、見定めるように俺を見た。俺は軽く頭を振り
「俺は転生間近だったみたいで、ほとんどの記憶が消された後だから自分がどこで産まれて、どういう名前で、どのような人生を送ったかなんて覚えてないんです。ただ時々、以前の記憶かな?って言葉が無意識に出てくるだけで、その意味まではわからないんです。だから、貴方の姿を見て、白虎って言ったけど、その意味は俺にはわからないです」
俺が正直にいうと
「うん?転生間近の人間は選んではダメではなかったか?」
白虎の言葉にさっきの神様の言葉を伝えると
「年々、録でもない者が選定者になるものだな。、、、まぁ、お主はまともそうなのでちっと頼まれてくないか?」
拒否を許さない圧をかけながら、お願いを口にした。
俺は引きつる口をどうにか動かし
「・・・俺に出来ることなら」
と言うと、ニヤっと笑って
「なに、そんな難しい事ではない。ここの新たな神になるのはその候補の誰かだろう?我らの主は主だけだ。新たな神が立ったなら我らは主の元へ行こうと思ってな。だから、後継を作って貰いたいのだ。主はここを創る前は、色々な世界を見て周り、殊の外地球の文化を気に入ってこの世界を創り、そして我らを創られた」
遠くを見て、何かを懐かしむように優しい目をした。
「これは我らの総意だ。四柱の神聖獣の後継を頼む。我らも力を貸すゆえ」
そう言うと、何処からともなく残りの三神聖獣が現れた。
「お主が我らに触れれば、我らの力を貸せる。その力を使い、後継を思い浮かべればいい」
俺はラグ達を見て
「あの、俺が思い浮かべればラグ達のような姿になると思うのですが・・」
そう、普通サイズだったジェムやルルも手のひらサイズになった。
四神聖獣はラグ達の姿を見て固まり、頭を寄せ合い話し合いを始めた。そして、話し合いの結果
「大きさはこちらで調整する。そなたは後継の姿だけに集中してくれ」
と朱雀と思われる赤い鳥が言った。
他の神聖獣も、任せろだの、細かいことは気にせず集中だ、だのと言っている。
「はあ。それでいいのなら、ご協力します」
と言って、近くにいた白虎のもふもふに触れた。するともふもふの暖かさとは違う温もりが手に伝わってきた。
「それでは、我の後継を考えてくれ」
「って、急に言われてもなぁ・・・」
俺は四神聖獣をそれぞれ見ながら、白虎のもふもふを堪能していた。そして、なんとなく頭に浮かんだモノを思い描いていると、俺と白虎の前に光の玉が出てきた。
「!」
俺がビックリしていると
「ふむ。どうやら次代からは神聖獣ではなく、聖獣になりそうだな。我らは異世界では神獣だったため、神聖獣と名付けられた故な」
光が獣の形になり、光が収縮するとそこに現れたのは、白銀の毛並みの狼。そう、フェンリルだ。白虎はフェンリルの鼻に鼻をチョンとすると、フェンリルはみるみる小さくなり子犬になった。
「え?」
なんで?と言う風に白虎を見ると
「種族が違うでな、成獣のままだと色々と引き継ぎの時に不都合がでるんじゃ」
白虎は子犬のフェンリルの毛繕いをしながら言った。子犬フェンリルは嬉しいのかしっぽをブンブンと振っていた。
俺が呆気に取られながらそれを見ていると、青龍が
「次は我だ。ほら早よ触れよ」
どうやら白虎が羨ましく、待ちきれないみたいだ。
俺はツルツルしている鱗に触れ、じっくりと青龍を観察し、これかなと思い浮かべたのは、リヴァイアサンだ。
リヴァイアサンは青銀の鱗を輝かせていた。そして、青龍がリヴァイアサンの頬に顔を寄せると、まるで蛇くらいに小さくなった。
(リヴァイアサンの子供の姿は蛇なんだ)
青龍は蛇のリヴァイアサンを頭に乗せ、ご機嫌だった。
「次はわれだな」
と朱雀が俺の前に座った。俺はその羽毛に触れ、思い浮かべたのはグリフォンだ。
グリフォンは赤銀の羽毛を羽ばたかせ、朱雀に擦りよった。そして、雛の姿で朱雀の背に埋もれた。
「最後は我か」
玄武はノソノソと近づいて来て、俺の前にドスンと座った。
漆黒の甲羅に手を触れ、思い浮かべたのはアスピドケロン、、、
(あれ?アスピドケロンって、海の魔物だったような、、うん?そうなの?あれ?)
無意識の記憶に混乱しながらも、巨大な木を背負ったアスピドケロンが出てきた。
玄武は首を伸ばし、アスピドケロンの頭に擦りよると、アスピドケロンはミドリガメサイズになり、巨大な木は甲羅を覆い隠すような双葉になった。
双葉の間からニョキっと、亀の顔が出ているのは少し滑稽に見えた。
玄武はアスピドケロンを頭で掬い、背中の甲羅へ転がした。
玄武が大きすぎて、てっぺんにいるはずのアスピドケロンは見えなくなった。
10
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

乙女ゲームはエンディングを迎えました。
章槻雅希
ファンタジー
卒業パーティでのジョフロワ王子の婚約破棄宣言を以って、乙女ゲームはエンディングを迎えた。
これからは王子の妻となって幸せに贅沢をして暮らすだけだと笑ったゲームヒロインのエヴリーヌ。
だが、宣言後、ゲームが終了するとなにやら可笑しい。エヴリーヌの予想とは違う展開が起こっている。
一体何がどうなっているのか、呆然とするエヴリーヌにジョフロワから衝撃的な言葉が告げられる。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様・自サイトに重複投稿。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。

転生ヒロインは乙女ゲームを始めなかった。
よもぎ
ファンタジー
転生ヒロインがマトモな感性してる世界と、シナリオの強制力がある世界を混ぜたらどうなるの?という疑問への自分なりのアンサーです。転生ヒロインに近い視点でお話が進みます。激しい山場はございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる