上 下
27 / 37

22 下級神使

しおりを挟む
いつものごとくそこには神様と神使。それとピンクの髪の女、エリーがいた。

「は?え?なに、ここ」

混乱しているエリーを無視して、神様は冷めた目をしてなにも言わず神使を光の粒に変えた。そして目線をエリーに向けると

「きゃー!いや、いやよ!私は消えたくない!なにも悪いことしてないじゃない!邪神になんてしてないでしょう!」

神様が指を鳴らすと、エリーは口を開けなくなった。

「やかましい奴じゃな。邪神に成っておらんのはあやつが頑張ったからじゃ。でなければとっくにお前さん共々消滅しておったわ。わしは言ったよな?力を悪用するなと。はぁ、魔法は本人の適正で決まるからこちらで決められない。それでこういう愚か者が出る」

ウーウーと開かない口で文句を言っているエリーに手を翳し

「死してもなお、己の行いを顧みず愚行を繰り返す。そんな者はいくら生まれ変わろうとも、なぜか同じ事を繰り返す。被害者達のためにも消滅せよ」

恐怖に顔を歪めながら、嫌々と首を振るエリーはそのまま光の粒に変わっていった。

「そうだ、ヨミ。ステータスを確認してみよ」

突然そんなことを言った神様。俺は困惑しながらもステータスを開いた。

ーーーーー
ヨミ(下級神使)

・神の育成者
   神候補 ラグレット 
       レティオット 
       ジェムリー 
       ルルーシェ

・ラグレットの眷属
・レティオットの準眷属
・ジェムリーの準眷属
・ルルーシェの庇護

・眷属共鳴

・全魔法

・言語理解、収納、各技術習得、鑑定
ーーーーー

は?下級神使!なんで!!

「それだけの候補の育成者なんじゃ。そら、神格化するじゃろ。何か勘違いしてないか?今のヨミらは可視化できて、触れることも出来る魂だけの存在。つまり幽霊と同じ状態じゃ。まぁ、ヨミは転生間近だったことで生前の姿が保てなく、新しくわしが体を与えたので純粋な幽霊とは言いがたいがな」

だから俺だけ姿が違ったのか

「それから、お主を連れてきた神使は実はまだ見習いでな、本来の神使が見習いに直前で丸投げして、放棄したんじゃよ。だから転生間近の人間を選んではいけないと言う事を知らんかったんじゃ。災難だったのう。本来の神使には罰を与えて、見習いにはわしの側近が教育を施している。すでに処罰を与えているので世程の事がない限り会うことはないじゃろ」

災難だったの一言で済ませられる事なんだ。まぁ、普通に転生するより貴重な体験をしていると思うけど。なんかこう納得がいかないような?

うん?見習い?

「あの、見習いと下級神使は違うんですか?」

さらっと受け流そうとしてしまったけど、疑問に思い聞くと

「見習いは産まれずに流産したか、産まれても死産、もしくは一年も生きられなかった純真無垢な赤子がなるなるものじゃ。下級神使が赤子から育ててある程度育てば、こちらで用意した親の元へ転生するか、このまま下級神使の元で神使を目指すか選べるんじゃ。じゃか、下級神使が目を離した隙に今回の事が起きてな。転生を望んできた見習いは罰として神使の教育を施すことになり、すでに転生先を準備しておったので、代わりに下級神使が転生することになったのだ」

ああ、どっちにしも望まない事だから罰ってことか。でもその下級神使は手塩にかけて育てた子の望みを叶えることが出来なくて後悔したかもな。
と、ラグ達を見てしんみりとした。

「ここの反対の国、東側の国にも愚か者がいるでな。よろしく頼む。そして、北の国に居るものにも接触してくれんかの?本当、今回の神使共はどうしようもないもの達だ」

最後はため息混じり呟き、消えていった。

そして今、俺の目の前には巨体な獣いる。


*****

ある世界のある国で、一人の少女によって次代を担う者の多くが堕落させられた。その事によって次代の交代などで国が混乱していたが、数年で混乱を収め、隙を突こうとする諸外国をはね除けた現王は、賢王を称えられ、失墜した権威を取り戻した。

少女に堕落させられた者の中に、元王太子も居たことで、元王太子の年の離れた弟がその地位に付いた。

その他の主要要職についている者も後継者をどうするかで頭を悩ませていた。

そんなある日の夜、この国の貴族は軒並み強制的に眠らされた。

夢の中で、元凶の少女の魂が消滅したと言う声が響いた。そして、二度とこのような少女に惑わされないようにする魔道具の作り方を授けられた所で目が覚めた。

現王を初めとする、被害を受けた貴族達は涙した。

少女が居なければ素晴らしかった次代達を駄目にされ、少女を処刑しても腹の虫は治まらなかったからだ。

それがその少女の魂が消滅して、この先の子孫達があのような少女に今後惑わされずに済む事に、喜びに歓喜した。

また、現王は魔道具を諸外国の交渉に使い、全世界に魔道具が行き渡った。

少女のような者は定期的に現れたけど、魔道具のお掛けで二度と、堕落する者はいなかった。性格的な事で、堕落する者は居たようだが、、、

けれども、魔道具に頼らずに警戒を促す意味で、恥を忍んでかの国は実際にあったことを劇場にして、後世に伝えていった。

いつかまた同じ過ちを犯さないよう、かの国の王侯貴族の教育はより厳しくなったとか
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

好色一代勇者 〜ナンパ師勇者は、ハッタリと機転で窮地を切り抜ける!〜(アルファポリス版)

朽縄咲良
ファンタジー
【HJ小説大賞2020後期1次選考通過作品(ノベルアッププラスにて)】 バルサ王国首都チュプリの夜の街を闊歩する、自称「天下無敵の色事師」ジャスミンが、自分の下半身の不始末から招いたピンチ。その危地を救ってくれたラバッテリア教の大教主に誘われ、神殿の下働きとして身を隠す。 それと同じ頃、バルサ王国東端のダリア山では、最近メキメキと発展し、王国の平和を脅かすダリア傭兵団と、王国最強のワイマーレ騎士団が激突する。 ワイマーレ騎士団の圧勝かと思われたその時、ダリア傭兵団団長シュダと、謎の老女が戦場に現れ――。 ジャスミンは、口先とハッタリと機転で、一筋縄ではいかない状況を飄々と渡り歩いていく――! 天下無敵の色事師ジャスミン。 新米神官パーム。 傭兵ヒース。 ダリア傭兵団団長シュダ。 銀の死神ゼラ。 復讐者アザレア。 ………… 様々な人物が、徐々に絡まり、収束する…… 壮大(?)なハイファンタジー! *表紙イラストは、澄石アラン様から頂きました! ありがとうございます! ・小説家になろう、ノベルアッププラスにも掲載しております(一部加筆・補筆あり)。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

愛人がいらっしゃるようですし、私は故郷へ帰ります。

hana
恋愛
結婚三年目。 庭の木の下では、旦那と愛人が逢瀬を繰り広げていた。 私は二階の窓からそれを眺め、愛が冷めていくのを感じていた……

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

モブなので思いっきり場外で暴れてみました

雪那 由多
恋愛
やっと卒業だと言うのに婚約破棄だとかそう言うのはもっと人の目のないところでお三方だけでやってくださいませ。 そしてよろしければ私を巻き来ないようにご注意くださいませ。 一応自衛はさせていただきますが悪しからず? そんなささやかな防衛をして何か問題ありましょうか? ※衝動的に書いたのであげてみました四話完結です。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

処理中です...