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20 イムシの港街
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ザザーと波の寄せる音を聴きながら、俺は思った。
「ここは、どこだーーーー!」
まぁ、予想はつくけど。神様が言っていたイムシの港町だろう。だけど、さっきまで王都の廃教会にいたのに、神様の所から戻ったらなんでここに居るのか。叫びたくもなる。
なんだ?ヴァイオレットやアルフの事への嫌がらせか?
だったら俺も言いたい事はあったぞ!アルフは街の中の廃教会で、なんで俺は森の中だったんだよ!理不尽だ!
叫んだ事で少しだけ鬱憤は晴れたので、少し後ろにある街へ行くことにした。あっ、周りには人は居なかったぞ。居たら今頃大騒ぎだ。
砂に足を取られながらも砂浜を抜けると、うるさいくらいの賑わう声が聞こえた。
所狭しと魚市場が並び、所々で魚を使った屋台もあった。
いい匂いに引き寄せられてラグ達がポケットから顔を出す。
『ヨミィ』
6つのウルウルとした瞳が俺を見上げる。ラグやレティは俺と一緒に露店巡りや食堂でも同じものを食べていたのでこの反応には馴れているが、まさかジェムまでもこれをするとは、この短時間でラグ達から悪影響を受けているようだ。
「わかったから今は顔を出すな。だけど食べるのは宿の部屋まで待てよ」
『『『ハ~イ』』』
俺が育成者になったからか、アルフの時は念話を覚えていなかったのに、ジェムまで念話を使えるようになっていた。
(本当、どういう仕組みかわかんないわ)
俺は魚市場を練り歩き、新鮮な魚や魚料理を購入していった。屋台は持ち帰りなんてシステムは無かったので、使っていない鍋や皿に入れてもらい、通常の料金より少し安めで売ってもらった。自己責任として。ついでに聖女の事も聞いて回った。
十分買い物をした後は、ギルドに向かった。俺は真っ直ぐ二階へ行き、部屋が空いているか聞いて、空いていたので一部屋頼んだ。お金を払い、鍵を受けとり部屋へ向かった。
部屋へ入ると内鍵を閉めた。ベッドにバッグを置き、レティとジェムをバッグのポケットから出しベッドの上へ。ラグも胸ポケットから出してベッドの上へ置き、三匹の中心にタオルを敷き、木の実やパン、深皿に水を入れて置いた。
「俺は風呂に入ってくるから、今はそれ食べて待ってて」
ビルナのギルドでは知らなかったけど、アケルのギルドで冒険者達が何気に話していた話が聞こえて知ったとこだけど、ギルドの2千Gの部屋だけにお風呂がついているらしい。
この世界では、当たり前のようにお風呂があるのかと思っていたけどそうじゃなかったらしい。
俺がお風呂から上がると、最後のひとつを三匹で取り合っていた。
「なにやってんだ、ったく。ほら、同じのを出すからケンカはやめろ」
本当、サイズは手のひらサイズなのにどこに入るのか、よく食べることで。しかもこの後魚料理も食べるんだら底無しだよな。
俺は同じパンを二つ出してから、備え付けのテーブルに魚料理を出した。
それを見た三匹は急いでパンを食べ終えた。レティに至っては丸のみだ。
「そんなに慌てて食べなくても料理は逃げないよ」
ベッドに近づき、手を差し出すとラグとレティが俺の手に乗り、ジェムは俺の肩に止まった。
ラグ達をテーブルに置くと、俺はベッドの上を片付け、念のためにクリーンをかけた。
俺が戻ってくるまで食べずに待っていた三匹を見て、思わず笑ってしまった。
俺は食べなからまずジェムに謝った。
「ジェム。申し訳ないけど、ジェムの登録は少し待ってくれな。今この街での登録はしない方がいいかもしれないから」
神様は聖女が育成者だと言っていた。つまり、神候補の動物を連れている。そんな所に手のひらサイズの動物を三匹も連れているのを知られるのは悪手だと思った。
どんなトラブルに巻き込まれるかわかったもんじゃない。
「うん、いいよ。待つ。その代わりボクも二つ欲しい」
「ああ、わかった」
ラグは腕輪と化した首輪を高々と上げ、レティもリングの付いているしっぽを上げ、ピルピルと振っている。
それを少し拗ねたような顔で見ているジェムをそっと撫でた。
街で仕入れた情報から、聖女は廃教会を拠点としていること。恋人の有無関係無しに見目の良い男を侍らしていること。なかには体の関係もある男が居るとか居ないとか。十中八九居るだろう。なんなら全員と関係持ってそうだけどな。
アルフの記憶で見たピンクの行動を思いだし、情報からここに居るのはピンクだろうと推察した。
そして、不思議な力を込めた道具を高値で売っていて、顧客のほとんどが貴族だとか。
「そういえば、王都みたいにモヤがないな、ここ」
確かにイムシに入るまでは二柱の邪心の気配があるとラグ達は言っていた。
現に王都では邪心の影響が少なからず出ていた。だけど、ここは活気が溢れかえっている。
俺が首を傾げていると
「ジェムは自ら邪心を生み出していたから影響が出ていたけど、ここの一柱は抵抗しているからまだ街にまで影響は出ていないんだよ。だけど、邪心を自分の身の内だけに留めることは、自分自身を傷つける行為。下手をすると己で己を消滅させることになる」
ラグの言葉に俺は言葉を詰まらせた。そして
「早速明日、廃教会へ行こう。のんびり偵察していられない」
本当は今すぐ行きたかったけど、この時間だ。最中に乗り込みたくはない。
俺は逸る気持ちを無理やり押さえ込み、レティに頼み無理やり眠りについた。
「ここは、どこだーーーー!」
まぁ、予想はつくけど。神様が言っていたイムシの港町だろう。だけど、さっきまで王都の廃教会にいたのに、神様の所から戻ったらなんでここに居るのか。叫びたくもなる。
なんだ?ヴァイオレットやアルフの事への嫌がらせか?
だったら俺も言いたい事はあったぞ!アルフは街の中の廃教会で、なんで俺は森の中だったんだよ!理不尽だ!
叫んだ事で少しだけ鬱憤は晴れたので、少し後ろにある街へ行くことにした。あっ、周りには人は居なかったぞ。居たら今頃大騒ぎだ。
砂に足を取られながらも砂浜を抜けると、うるさいくらいの賑わう声が聞こえた。
所狭しと魚市場が並び、所々で魚を使った屋台もあった。
いい匂いに引き寄せられてラグ達がポケットから顔を出す。
『ヨミィ』
6つのウルウルとした瞳が俺を見上げる。ラグやレティは俺と一緒に露店巡りや食堂でも同じものを食べていたのでこの反応には馴れているが、まさかジェムまでもこれをするとは、この短時間でラグ達から悪影響を受けているようだ。
「わかったから今は顔を出すな。だけど食べるのは宿の部屋まで待てよ」
『『『ハ~イ』』』
俺が育成者になったからか、アルフの時は念話を覚えていなかったのに、ジェムまで念話を使えるようになっていた。
(本当、どういう仕組みかわかんないわ)
俺は魚市場を練り歩き、新鮮な魚や魚料理を購入していった。屋台は持ち帰りなんてシステムは無かったので、使っていない鍋や皿に入れてもらい、通常の料金より少し安めで売ってもらった。自己責任として。ついでに聖女の事も聞いて回った。
十分買い物をした後は、ギルドに向かった。俺は真っ直ぐ二階へ行き、部屋が空いているか聞いて、空いていたので一部屋頼んだ。お金を払い、鍵を受けとり部屋へ向かった。
部屋へ入ると内鍵を閉めた。ベッドにバッグを置き、レティとジェムをバッグのポケットから出しベッドの上へ。ラグも胸ポケットから出してベッドの上へ置き、三匹の中心にタオルを敷き、木の実やパン、深皿に水を入れて置いた。
「俺は風呂に入ってくるから、今はそれ食べて待ってて」
ビルナのギルドでは知らなかったけど、アケルのギルドで冒険者達が何気に話していた話が聞こえて知ったとこだけど、ギルドの2千Gの部屋だけにお風呂がついているらしい。
この世界では、当たり前のようにお風呂があるのかと思っていたけどそうじゃなかったらしい。
俺がお風呂から上がると、最後のひとつを三匹で取り合っていた。
「なにやってんだ、ったく。ほら、同じのを出すからケンカはやめろ」
本当、サイズは手のひらサイズなのにどこに入るのか、よく食べることで。しかもこの後魚料理も食べるんだら底無しだよな。
俺は同じパンを二つ出してから、備え付けのテーブルに魚料理を出した。
それを見た三匹は急いでパンを食べ終えた。レティに至っては丸のみだ。
「そんなに慌てて食べなくても料理は逃げないよ」
ベッドに近づき、手を差し出すとラグとレティが俺の手に乗り、ジェムは俺の肩に止まった。
ラグ達をテーブルに置くと、俺はベッドの上を片付け、念のためにクリーンをかけた。
俺が戻ってくるまで食べずに待っていた三匹を見て、思わず笑ってしまった。
俺は食べなからまずジェムに謝った。
「ジェム。申し訳ないけど、ジェムの登録は少し待ってくれな。今この街での登録はしない方がいいかもしれないから」
神様は聖女が育成者だと言っていた。つまり、神候補の動物を連れている。そんな所に手のひらサイズの動物を三匹も連れているのを知られるのは悪手だと思った。
どんなトラブルに巻き込まれるかわかったもんじゃない。
「うん、いいよ。待つ。その代わりボクも二つ欲しい」
「ああ、わかった」
ラグは腕輪と化した首輪を高々と上げ、レティもリングの付いているしっぽを上げ、ピルピルと振っている。
それを少し拗ねたような顔で見ているジェムをそっと撫でた。
街で仕入れた情報から、聖女は廃教会を拠点としていること。恋人の有無関係無しに見目の良い男を侍らしていること。なかには体の関係もある男が居るとか居ないとか。十中八九居るだろう。なんなら全員と関係持ってそうだけどな。
アルフの記憶で見たピンクの行動を思いだし、情報からここに居るのはピンクだろうと推察した。
そして、不思議な力を込めた道具を高値で売っていて、顧客のほとんどが貴族だとか。
「そういえば、王都みたいにモヤがないな、ここ」
確かにイムシに入るまでは二柱の邪心の気配があるとラグ達は言っていた。
現に王都では邪心の影響が少なからず出ていた。だけど、ここは活気が溢れかえっている。
俺が首を傾げていると
「ジェムは自ら邪心を生み出していたから影響が出ていたけど、ここの一柱は抵抗しているからまだ街にまで影響は出ていないんだよ。だけど、邪心を自分の身の内だけに留めることは、自分自身を傷つける行為。下手をすると己で己を消滅させることになる」
ラグの言葉に俺は言葉を詰まらせた。そして
「早速明日、廃教会へ行こう。のんびり偵察していられない」
本当は今すぐ行きたかったけど、この時間だ。最中に乗り込みたくはない。
俺は逸る気持ちを無理やり押さえ込み、レティに頼み無理やり眠りについた。
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