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閑話 領主の一人言/???の話し合い

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この世界の神が居なくなって500年。神が居なくなった時から、幾度とのなく神の選定が行われていた事は、ごく一部の人間しか知らない。

そのごく一部に、我が“コリーナ辺境伯家”がある。

「あの者は選定に関わりのある者だな。どのように新しい神の選定が行われているのか、詳しくは誰も知らない。しかし、見慣れぬ人間が現れる時、良くも悪くも時代が動く。そして、目の前に居たにも関わらず、誰にも気づかれずに忽然と消えたりする」

私は、古い日誌を破れないように慎重に捲りながら、今と昔の共通点を探した。

日誌には、この世界の片寄った知識を持った、どの国の特徴も持たない少女が、時には青年が見たこもない、もしくは珍しい色をした動物をつれているとあった。

「あの青年も、手のひらサイズの珍しい動物をつれていたな。時折、胸ポケットから顔を出していて、かわいかったな」

つい、頬が緩んでしまった。
ギルド長の権限であの青年のカード情報と、登録した職員に確認していたので知ってはいたが、実際に見て驚いたな。あのように小さな生き物がいようとは。

「前の神が何をしていなくなってしまったのか、それは何処にも書かれていない。しかし、神がこの世界の維持に4柱の神聖獣と言われるものをお創りになった事は知られている」

今はその神聖獣方がその命を削り、この世界を神に代わり、維持し守っていると言われている。

「しかし、神聖獣方の力が弱くなってきている。過去を見ると常に豊作であった作物も、近年は過去のようには取れなくなってきている。選定の行われる日は我々では知ることは出来ない。だから、もし今回もダメだった場合は、、、」

滅びへのカウントダウンが始まると思った方がいいな。

前回の選定と思われた時は50年前。その前が50年前。そして、始まりは神が居なくなった翌年。今回ダメな場合は50年後が濃厚か。

「今回と次回でこの世界の運命が決まるか。それ以上は神聖獣方の力が持たないだろう。私達はなんとも無力だな。ヨミと言ったか。あの青年に期待しよう」

そう言って、日誌をあるべき場所に戻した。

******

???「もうあまり時間は残されていない。この500年、全ての育成者が邪神を産み出した。今回も期待は出来ないかもしれない」

???「ああ、ワレの領域に落ちてきた者はすでにやりたい放題で、幼き者は邪心に染まり出している」

???「そちもか。我が所もだ」

???「皆、そう悲観するのは早計かもしれん。われの所へ落ちてきたものは、今までの者達と違う。この者にわれは賭けようと思う。今暫し、見守ろうぞ。あの方が愛したこの世界を」

???「さぞ無念であったろうな。我々がここより動けていれば、お守りできたものを」

???「どんな人間であれ、あの方は全ての人間を慈しんでいた。それなのに、その人間に裏切られ、あのような事に」

???「それなのに、この世界を、この世界に住む全ての者を守って欲しいとおっしゃられた」

???「だがもうわれらも限界だ。あの者が育成に成功したら、われらを解放してもらおう」

???「「「そうだな」」」

???「期待しているぞ。ヨミとやら」
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