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大男改めて、この冒険者ギルドのギルド長、オーガストにギルド長部屋へ連行された。

*〈補足として、この世界のギルドは冒険者ギルドと商業ギルドの二つで経営してる。
それぞれのギルドのトップにギルド長がいる。そして、ギルド長の上に二つのギルドを束ねるギルドマスターがいる〉*

ギルド長部屋のソファに、投げるように座らされた俺は、俺の前に座ったギルド長に

「禁入エリア側の門番から、領主様のマキシム様にお前のことを知らせて直ぐに、俺の所にも知らせが来た。“転移魔法で禁入エリアに身元不明の侵入者あり”ってな。で、そいつは犯罪歴もなければ、悪意を持っているわけでもない。ついでに記憶もないときた。しかも、、、生きて禁入エリアから出てきた」

あっ、嫌な予感、、、

「さっき領主様がここにいたのは、お前の為人を俺に見極めて欲しいと、そして、もし俺が認めるような人物ならS「結構です!!っ!」」

つい、被せるように言ってしまった。その事でギルド長に睨まれ、俺は肩を揺らした。

「人の話は最後まで聞け。もし俺が認めるような人物ならSランクに推薦し、マスターの許可が降りれば試験をしてくれとの事だった」

「重ねてお断りします」

俺はギルド長の顔色を伺いながらも断りの返事をした。

「何でだ?SSなら分かるが、Sランクは冒険者なら誰でもなりたがるんだがな。何が不満だ」

確かに、Sランクなら無期限になるし、ギルド長の指名依頼か高ランクの依頼を受けるだけで、国からの依頼はないし、国に縛られることもない。
でもなぁ~

「言いたいことがあるならハッキリ言え!もだもだしてるやつを見るとイライラすんだよ!」

「ひっ!」

門番の責任者が怒鳴ってても平気だったのに、ギルド長の怒鳴り声は怖い!多分場数の差、経験の差なんだろうな。怒鳴り声の中に威圧感がある。
俺は深呼吸をしてから

「無期限は確かに魅力的なんだけど、、指名依頼で縛られたくないなと。自分のペースで依頼を受けていきたいし。それに、冒険者に成り立てのペーペーがいきなり高ランクになって目立つのも嫌なので」

ギルド長は真っ直ぐに俺を見て、俺の話を聞いた上で

「言いたいことはわかった。だが、禁入エリアから出てきた奴をGランクのままには出来ない。禁入エリアで狩った魔物はないか?それを見て、最低でもCランク。最高でAランクにギルド長権限で上げる。何を狩った」

言いたいことはわかったって言いながら、結局最高でAランクか。まぁ、Sよりはマシか。
こんなことなら、詳しく鑑定してから倒すんだったな。基本、魔物の名前位しか鑑定してなかったからな

神様の育成者ってことは、その身を守ることも含まれている。つまり、神様を守ることが出来るだけの能力を与えられている。即ち、チート。
扱う人物は未熟でも、能力はピカイチ。

つまり何が言いたいかと言うと、ある程度の魔獣、魔物は簡単に倒せるくらいの能力はある。伝えるものを間違うとAランクまっしぐら。
でも、禁入エリアに出る魔物でCランク相当のもってそもそもいるのか?

俺は、覚えている限りの狩ったものを思い出しながら、

「レッドウルフ、、かな」

ギルド長は器用に片眉をあげ、

「それだけか?素材はないのか?何かあるだろう」

くっ。やっぱりこれだけでは終わらせてくれないか。

俺は肩に下げているバッグをあけ、バッグから出すフリをして収納から、レッドウルフの毛皮と爪。ポイズンサーペントの皮に、ウッドアントの足を取り出し。

(多分、大丈夫、、だよな)

ドキドキしながら、ギルド長の反応を見た。
ギルド長の視線は、蛇皮とアリの足に釘つけになっていた。

(あっ、やっちゃった、、かも)

そっと、蛇皮とアリの足を回収しようとしたら、
ガッとその手を取られた。

「一度出したものをしまうな」

俺は渋々手を引いた。

「はぁ。ポイズンサーペントの皮は、Aランクパーティーの奴からがたまに取ってくるが、ウッドアントの足は初めてだな。あれは群れてくるから、一匹見つけたら速攻で逃げる一択なんだよ。例えチームで行動しててもな。それを、たった一人で狩るとは、、」

「ハハハ、たまたまはぐれの一匹にあっただけです。団体で来てたらさすがに逃げてますよ。アハハハ」

まぁ、実際にこの一匹しか見かけてないしな。

「ほぅ、運が良かったんだな。しかし、ウッドアントは一匹でもそれなりに強いんだよ。デカさもあるし固いしな。それに、お前さんは一人でこれだけのものを狩った。文句なくAだ。ほら、カード出せ。ランクあげるから。ついでに、これは買い取りな。おい、リーム!」

ギルド長が声をあげると、一人の華奢な男性が入ってきた。
華奢と言っても、ギルド長と比べるとと言うことで、俺よりは身長は高いし、しっかりと鍛えてある。

「呼んだか」

「ああ、この素材を買い取りで至急計算してくれ。それと、ほらカード出せ。こいつのランクを俺の権限でAにするから、書き換えしてくれ」

ギルド長に急かされ、嫌々カードを出すと、奪うように俺からカードを取ると素材の上に置いた。

リームという人は、机の上の素材を見て、固まっていた。

「おい、リーム!呆けてないで仕事しろ」

ギルド長の声で再起動したように、

「いやいやいや。え?ポイズンサーペントの皮にこれは、もしかしてウッドアントの足?はあ?なんでこんなもんがあるだ?」

机に飛び付くように来たと思ったら、震える手で素材を確認し、ギルド長を見た。

「そんなもん、そいつが狩ったからあるに決まってんだろう。そんなことより、とっとと計算とランク上げしてくれ」

グワッと、音がしそうな位勢い良く俺を見たリームは、ギルド長の再三の催促に、何処から出してのかトレーを取り出し素材とカードを乗せていった。そしてもう一度俺を凝視してから部屋を出ていった。

「え?なに、こわっ!」

つい、声に出た。

「まぁ、悪気はないんだ。許してやってくれ。ウッドアントの足なんてレア物を見たらあーなる。しかもそれを持ってきたのが、強そうに見えないひょろっこい奴ならなおさらな。それはそうとそのバッグ、容量は小さいが収納付きバッグだな。そんな小さいなバッグにウッドアントの足が入ってたんだ。そんな高価なもん、お前さんやっぱ貴族か?」

ガハハハと笑いながら、俺に対して失礼な事を言ってのけた。まぁ実際、能力がチートなだけで、俺だけの力ならとっくに死んでたよ。
そしてバッグ。これは正真正銘、何処にでもある普通バッグだ。だけどここでは収納付きバッグって事にしとこう。ちょっと失敗

そして他愛もない話をして時間を潰すこと数十分。リームさんが戻ってきた。手元のトレーに大金を乗せて

「こちらが買い取りの料金になります。こちらの買い取り表と一緒にご確認下さい。そして、こちらがあなたの新しいカードになります。今一度魔力を込め直して下さい」

今度は俺が震える手で、買い取り表を受け取った。

ーーーー
レッドウルフの毛皮×3 9千G(小銀貨9)

レッドウルフの爪×10 1500G(小銀貨1、銅貨5)

ポイズンサーペントの皮×2 20万G(金貨2)

ウッドアントの足×6 6百万G(金貨60)

    計6,210,500G(金貨62、銀貨1、銅貨5)
ーーーー
初回特典で大金を持っていて、これくらいでびびるなって。

ただ数字で見ただけと、実際に目にしたお金じゃ実感が違うんだよ!

「お手数ですが、貯金でお願いします。現金で持ち歩きたくないです」

「分かりました。もう一度カードをお預かりしますね」

そう言ってカードを受け取ると、硬貨の後ろにあった両替機の小型版を机に置き、カードを差し込み、硬貨を入れ始めた。

ジャラジャラと音をたてながら両替機に吸い込まれていく硬貨。
全てが吸い込まれた後にピーと音がしたら、リームさんがカードを抜くと

「はい。これで完了です。魔力を流すと透かしで貯金額が確認できますので、間違いないか確認してください」

そう言ってカードを返してきた。

言われたように軽く魔力を流すと、左下に数字が透かしで現れた。

「あっ、はい。確かに」

異世界に来て初めて稼いだ額がハンパない。

「もう時間も遅い。リーム、部屋はまだ空いているか」

「ああ。後2部屋しか空いてなかったから、一つとってある」

リームさん、ギルド長と俺に対しての口調が違う。すごいな、直ぐ直ぐ口調を切り替えられるなんて

「だったらこいつを案内してたやってくれ。ギルドには部屋数は少ないが泊まれる部屋がある。今日はそこに泊まれ。因みに最低で100G、最高で2千Gだ」

ギルド長はニヤニヤしながら教えてくれた。

「えっと、用意してくれた部屋って、、」

リームさんは少し困った顔をして

「2千Gのお部屋です」

ですよねぇ。

「そんだけ金もってんだ。ケチケチするんな」

「ガスト、少しは情緒ってもんを学べ。ヨミはケチってる訳じゃない。申し訳ないが空いている二部屋は2千Gの部屋なんです。安い部屋は早々に埋まってしまうので」

「いえ。泊まれる部屋があるだけ、ありがたいです。お金はどこで支払えば?」

俺が問うと

「案内します」

とリームさんがかってでた。俺はソファから立ち、ギルド長に挨拶してリームさんの後についていった。

ギルド長の部屋はギルドの三階にあり、泊まれる部屋は二階と三階の間にあった。

部屋数は手前に6部屋、奥に2部屋あった。
泊まる手続きは二階の食堂で支払った。食事も宿泊もここでお金を支払うらしい。

俺は部屋の鍵を受け取り、リームさんにお礼を言って言われた部屋に行った。

部屋に入ってベッドにうつ伏せになると直ぐに眠りについた。けど、「ウグッ」と呻き声が聞こえ

「あっ、ラグ」

と、直ぐに胸ポケットで寝ているラグを取り出し、枕元に置いた。

「おやすみ」

ラグを撫でた手のまま今度こそ眠りについた。
結局街を見て回ることなく、1日が過ぎた。
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