神様を育てることになりました

チョッキリ

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2 最初の関門

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ラグの定位置は卵の時と同じ、胸のポケットだ。見た目は動物だけど、本体?は神様。食べ物は人と同じものでいいらしい。

森で取れる木の実や、人の食べる料理を一緒に食べだけど、気に入ったのは木の実らしい。
ラグ用に、取れるだけ木の実を取り収納して、森を出た。

森を抜け街道を歩く。俺以外は誰もいない。暫く歩くと、街の門が見えてきた。

門番がオレに気づくと、驚いたように固まり、直ぐに二人いた門番の内一人が、慌てたように門の中に入っていった。俺が門の前に着くと

「動くな!身元を証明できるものを示せ!」

俺は首をかしげた。頭の中で、収納に入っているものを確認するも、それらしいものは無かった。

「持ってない」

門番はさらに険しい顔になり、手にしていた槍を俺に向けてきた。

「ますます怪しいやつだ!動けば、即切るからな!」

「槍なら突くでは?」

どうでもいい事を突っ込んでしまった。

「うるさい!」

門番は怒りのためか、少し赤くなって怒鳴った。その後、ガチャガチャと多くの音が近づいてきた。

「禁入エリアから来たいうのはお前か!」

門の内側から、多くの兵士が出てきてすぐに、責任者らしき人物が声をあげてきた。

「そんな大声出さなくても、聞こえるよ。禁入エリアっていうのが、後ろの森ならそうだけど」

大きな声にビックリしたのか、胸のポケットでラグが震えていた。俺は安心させるために、ポンポンと軽く叩いた。

「その胸の膨らみはなんだ?」

俺は冗談半分で

「すみませんが、俺は男なので胸に膨らみはないです。それとも、あなたはそっちの人?それなら俺は女の子が好きだから、申し訳ないけど」

責任者はプルプル震えて

「ふざけるな!誰がそんなこと言った!それに俺は既婚者だ!かわいい嫁と娘がいる!」

「冗談の通じない人だね。この子は俺の連れだよ」

そう言って、まだ震えてるラグを、胸ポケットから顔だけ出した。すぐに俺の手から逃れポケットの奥に入った。

「あなたが怒鳴るから、かわいそうにこんなに怯えて」

俺はまたポケットの上からポンポンと軽く叩いた。

「どうやって禁入エリアに入った。あの森は広大だ。そして、その先には街も国もない。ここを通らないと行けない場所だ」

えー、ちょっと神様!何でそんな面倒な所に降ろしたんだ!

俺は、刷り込まれている知識を、フルで回転で見直した。そして、ある項目に目を付けた。

「古代魔法の転移の実験をして、気づいたらあの森にいました。しかも、転移魔法の影響か、記憶が曖昧で自分の生まれ故郷や、家族の事は覚えなみたいです」

失われた魔法の一つ、転移。神の育成者として、この魔法を実際は使えるけど、この世界の人達は基本使えない。けど、研究はしているらしいと刷り込まれた知識にある。

そして、研究には失敗がつきもの。この世界のわからない事は魔法の失敗で記憶の一部を失ったことにすれば誤魔化せる。はず

「なっ!転移魔法に成功したのか?」

責任者が驚きながら呟いた。それに俺は

「いや。失敗じゃないかな?一部記憶喪失だし」

しかし、俺の訂正は聞こえてないみたいだ。
この場を凌ぐための嘘がなにやら大事になりそう。

なんにしろ、俺は不法侵入者として一時的に牢に入れられることになった。

翌日、俺は牢から出て応接室みたいな場所で、責任者と責任者の上司みたいな人と向き合っていた。

「転移魔法を成功させたと言うのは本当か?」

厳つい顔の上司がそう聞いてきた。

「昨日も言いましたが、どちらかと言えば失敗だと思いますが?一部記憶を失っているし、それにここが何処か分かりませんが、禁入エリアに転移していたということは、転移する場所を間違えたってことじゃないですか。まぁ、何処に転移しようとしていたのか覚えてませんが」

嘘だからね。俺の話を聞いているかいないのか、責任者とその上司はこそこそと内緒話を始めた。
そして、結論が出たのか

「とりあえず、これに手を乗せてくれるか」

と、銅板を取り出し俺の前に置いた。

「これは?」

俺が聞くと、二人は驚いた顔をして

「これのことも覚えていないのか?これは、身分証を持っていないものに犯罪歴や悪意が無いかを調べるものだ。犯罪歴や悪意があれば、銅板が反応し拘束具に変形して拘束される。なにもなければ一回光るだけだ」

あっ、水晶じゃないんだ。なぜかそう思った。
これは時々ある消えた記憶の残骸なのだろうと、俺は考えた。あながち間違ってはいないはずだ。
だから、無意識にわからない言葉を思っても気にしないようにしようと思った。

俺は銅板に手を置いた。すると体からなにかが抜けるように感じたら、銅板がピカッと一回光った。

まさか強制的に魔力を抜かれるとは思わなかった俺は、慌てて手を離した。

「記憶がなくても犯罪歴はなくならないし、意識の奥底の悪意まで感じ取れるものだからな。これなら大丈夫だろう。ほら」

そう言って、通行手形を渡してきた。

「これの有効期限は3日。3日以内にこの街を出るか、ギルドに登録するかして身分証を手にするかしてくれ。ギルドに登録したら、これをギルドに渡してくれれば良い。ようこそ、テンティヴ国の辺境の街ビルナへ」

こうしてようやく街へ入れた。

街は辺境とは思えないくらい活気づいていた。
露店もあちらこちらに並んでいて、冒険者ぽいっ人達が沢山いた。

「マジもんの異世界だ、、パネェ」

今までどこか違和感があるくらいで、実感がなかったけど、この風景を見てそう思った。これも記憶の残骸が思わせ、言わせてるんだろう。

「ヨミ、早くギルドって所行こう」

昨日まで震えていたラグが、いきなり元気になりポケットから顔を出して言った。

「そうだな。色々調べることもあるし、これから先身分証も必要だろうし、行くか」

街を探索しながら、ギルドを探すことにした。それでも見つからなかったら、ここへ戻ってきて門番に聞くもいいし、その辺の人達に聞くもいいしね。

ーーーー
ラグレット 1/100(良)

・育成者 ヨミ

・眷属共鳴
  完全防御(物理、魔法)
  状態異常耐性 
New 精神耐性
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