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1 なぜか神の育成者に選ばれました

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 自分が誰で、何で死んだのかはもう覚えていない。

死んで、死後の世界で転生の為に長い列を歩いているうちに、前世の事を少しずつ忘れていった。

どのくらい歩いただろう。不思議と疲れは感じていない。
周りには監視のための神使が所々に立っている。

そこに別の神使がやってきて、キョロキョロと誰かを探しているみたいだった。俺は自分には関係ないと目を反らし前に向き直った。しかし、その神使は俺を見つけるとこちらへ来た。

「君、君。こっちに来て」

とオレの腕を取り、列から離した。

「ほら、行くよ」

と、有無を言わせず俺の腕を引っ張っていった。俺は今までいた列を見たが、もう俺の居た場所は詰められていて戻ることができなかった。仕方なく神使について行った。

それなりに歩いていくと、5人の男女と前の方に5人の神使と神様らしき人影が見えてきた。

「君もあそこへ行って」

と神使に言われたので、オレは5人の側に行った。男が2人に女が3人。

青い髪の男は、オレをいちべつすると眉をひそめそのまま前を向いた。

ピンクの髪の女は、オレを上から下まで見て鼻で笑った。

赤い髪の男は、オレに気づくと無言で頭を軽く下げ挨拶をした。オレも頭を軽く下げた。

緑の髪の女は、笑顔で軽く頭を下げた。オレも笑顔ではないけど、軽く頭を下げた。

黄色い髪の女は、オレに目もくれなかった。

「最後の者が揃ったな。それではなぜお主達がここにいるか、説明しよう」

そう言って、6つの卵が神様の前に現れ浮かんでる。

「これから君達にはこの神の卵を渡す。この卵を孵し、立派な神に育てる事。それがお主達がここにいる理由だ」

と言われた。青い髪の男とピンクの女は嬉しそうな声をあげた。

「あの、神様。質問してもいいですか?」

オレはそんな二人をよそに、ある疑問を神様に聞こうと思った。

「よい、申してみよ」

「ありがとうございます。それでは、なぜ俺達なのですか?選考理由はなんでしょうか?」

他の5人は知らないけど、オレにはこういうのに選ばれる心当たりはない。・・・ないはずだ。何も覚えてないけど。

「お主達を選んだのはそこの神使達だ。ワシはただ神使達に、“お前達がこれだと思う人物をつれてこい”と言っただけじゃ」

オレを連れてきた神使以外は自信満々に頷いていた。オレを連れてきた神使と目が合うと、気まずげに反らされた。それが答えのようだ。

「わかりました」

何もわかってないけど・・・。

「それでは、各自卵を選べ。それがお主達が育てる神だ」

青とピンクは我先にと手を伸ばし、卵を確保した。後の3人は冷静に卵を選んで、残りをオレが手にした。
全員の手に卵が渡ると、

「では、お主達の健闘を願う。もし邪神に育てた場合は、その邪神共々消滅してもらうので、心得よ」

そうして、目の前が眩しいくらいに光り浮遊感に襲われた。

光りが治まり、目を開けると森の中だった。
なぜか“テンプレだな”と思い、その言葉に首をひねった。

「テンプレってなんだ?」

少し考えたけど、わからなかったので思考を放棄した。

そして次は周りを確認した。右を見ても左を見ても、前を見ても後ろを見ても、木木木木。方向もわからない。

困っていると、ブオンと画面が目の前に現れた。

ーーーー
神の育成者達へ

様々な能力とこの世界の知識を授けています。

その使い方も今から脳に直接刷り込みます。

悪い事に使わず、善行を心がけ、神を育ててください。

ーーーー
読み終わると画面は消え、次はひどい頭痛がした。あまりの痛さにオレは、頭を抱えてうずくまった。しかしすぐに痛みは引いた。

その後は頭がクリアになり、色々な情報が頭の中にあるのがわかった。

「うぁ~。なんか気持ち悪いな、これ」

さっきまで何もわからなかったのに、今は色々とわかる。気持ちがついていけずに、気持ち悪く感じる。

いつまでもこうしていられないので、とりあえずこの森の近くの街を目指した。

手に持っていた卵を胸のポケットに入れ、服は真っ白な服から動きやすい服に変わっていたので、収納スキルから適当にバックと剣を取り出し、剣を腰に下げ、バックを肩にかけた。

そして、頭の中にあるこの世界のマップを頼りに街に向かって歩き出した。

何もせずにただ歩いているのも飽きたので、目についた薬草や食べられる物などを採取しつつ、のんびりと歩いていった。

魔獣や魔物が現れたときは驚いたけど、問題なく討伐できた。ついでに解体もできた。余すとこ無く全て収納した。

何だかんだと3日間、森で過ごした。無限収納にテントも入っていた。中は普通だけど、テント自体に魔獣や魔物、獣が近づけないよう結界が付与されていた。

川で顔を洗うとき、川面に映った自分の顔を見て驚いた。

「え?オレってこんな顔だったか?髪の色や目の色も違ったような、、」

川面に映った自分の顔は、そこそこ整った顔をしていた。髪は藍色で、目も藍色だった。

しかし、いくら思い出そうとしても、前の容姿が思い出せなかった。

「まぁ、いいか」

わからないことを考えても仕方がない。

そうして、そろそろ街に向かおうとした時、すっかり忘れていた卵が孵りそうに動いた。

「おっと、そういえばこれがメインだった」

胸のポケットから卵を取り出し、近くにあった切り株にそっと置いた。

ピキピキと卵にヒビが入り、そのヒビが広がって卵が割れる。卵から孵った神様の姿は、手のひらサイズの藍色のフェレットだった。

「え?動物?」

体についた殻を払うように体を振っている。そして、自分の姿を確認するようにキョロキョロと体を見ててから、オレを見た。

「はじめまして、眷属くん。可愛い姿をありがとう。さっそくボクに名前を付けて」

フェレットを見て驚いたけど、すぐに情報が頭によぎった。

生まれたばかりだとまだ何の力もないので、育成者の深層心理の中で、庇護欲を刺激する姿になって生まれる。

育成者は、そのまま生まれた神様の眷属になる。育成者の特権で、生まれた神様の名付けが出来る。

理解するのに、若干のタイムラグがあるみたいだ。

オレは生まれた神様のフェレットを見てかんがえた。そして

「ラグレット。君の名前はラグレット。通称としてラグ、どうかな?」

フェレット、ラグは小さい手にあご?を乗せ、考えると

「うん。なんかカッコいいからそれで!」

と喜びを体全体で表した。

「あっ、眷属くんの名前はなに?」

ラグに聞かれて答えようとしたけど、出てこない。慌ててステータスを確認すると、名前が空欄だった。

オレは少し考えてから、

「ヨミ、、うん。オレはヨミ。ラグ、これから宜しくな」

「うん、ヨミ。覚えた。よろしく」

こうしてオレは、ラグを立派な神様になるよう育てることになった。

*****

ーーーー
ヨミ(18)

・神の育成者
   神候補 ラグレット 1/100(良)

・ラグレットの眷属

・眷属共鳴(神候補と同じ耐性、スキルを使える)

・全魔法

・言語理解、収納、各技術習得、鑑定

ーーーー
ラグレット 1/100(良)

・育成者 ヨミ

・眷属共鳴
  完全防御(物理、魔法)
  状態異常耐性 
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