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15 勉強の時間が増えるらしい

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部屋の皆は、僕たちのやり取りを温かく見守っていた。僕が落ち着きを戻すと、

「旦那様、少し休憩になさいましょう。カスミ様もお疲れになられたのか、お休みになられました。まだ話は終えられてないと、皆様のお話が終るまで大分、頑張ってらしたので私どもの判断で休ませました。」

「うむ。カスミには悪い事をしたな。ではまた日を改めて私から話すとしよう」

そう言うと、全員カスミさんの部屋を後にした。
そして、サロンに集まり、お茶をした。この際だと気になってたことを聞こうと、口を開いた。

「あの、聞きたいことがあるだけどいいですか?
異世界召還された人は魔法って使ってたんですか?ひか、神が言うには、異世界の身体のまま魔法を使うと、身体の内側から爆発するそうなのですが」

なぜか皆びっくりした顔をして、その後、残念な子を見る目なった。一人を除いて。あの父様ですら分かりやすく顔に出いたのに。

「アルジャーノン様?その事は、半年前にお教えしたはすですが?今のお話の中に新情報はありましたが」ニッコリ

あの、キャロさんや。いつもより笑顔の圧が凄いんですが。これは本当の事、言ったほうがいいよね?誤魔化し効かなそうだし、

「えーと、えーと・・・ぉ、おぼえてない・・です?」チラッ

キャロさんの笑顔の圧が増した。うぇーん、恐いよー

「アル、勉強が嫌いなのは仕方ないが、最低でも、世界の事、自国の事位は覚えておきなさい」

父様に少し呆れたように諌められ、落ち込んでる所に、止めを差に来た男が居た。

「思うに前の世界での自国の歴史のことも、覚えて無さそうでしたね」

「キャロさんのいじわる。はい、父様。それで、あの、教えてもらえますか?」

キャロさんが佇まいを直し、なぜか僕の前にわざわざ出てきて、どこに持ってたのか、教材を取り出し(え?キャロさん。収納持ちなの?気になる)話し始めた。

「端的に言えば、使えません。過去、召還された方々は主に、農業の仕方など、生活に必要な知識を、特殊なほうで治世の仕方を教えるために、神様の許可のもと、神様が選別した異世界の方を召還するものでしたから。しかし、欲をかいた者が、許可なく召還を繰り返したため、異世界召還自体禁止されたのです。だから、異世界の身体のまま魔法を使うと内側から爆発すると言うのは知られてませんでした」

大分、簡潔にまとめたな。分かりやすかったけど
 と言うと、カスミさんはかなりレアな存在に、なる?あー、またやったな?あの玉!いや、玉だけだとちょい下品に聞こえるな。一応これでも無い敬意を払って、“光の玉”と言っていたが、“あれ”でいいかな?もう。・・やっぱだめかな?今ですら、家族とかと話す時“光の玉”と言いそうになるし。
 召還された訳じゃないけど、神によってこの世界に来て、容姿もこの世界に合うように(勝手に)変え、今までの召還者は使えなかった魔法が使える。これって、“神の愛し子”的立場になってない?僕は慌てて

「と、父様。カスミさんの、カスミさんの後ろ楯を頼めませんか?このままではカスミさん、国に捕らわれしまいます。カスミさんの自由を奪わないでください」

「落ち着きなさい。その事は父上や兄上にもすでに相談している。それに、陛下も無闇に人一人の人生を縛る事はしない。もし、陛下がそうされても、私が必ずカスミを守るよ」

父様の言葉にほっとしたけど、僕は、いや、このサロンにいる全員が、目が落ちるじゃないかというくらい大きく見開いた。
確かに、あれ?と、思うときがあったがここまではっきりと表情を変えた父様は初めてだった。そう、無表情がデフォルトだった父様の顔が笑顔になってた。うん。父様似の僕が言うことじゃないけど、綺麗系のイケメンの笑顔は破壊力がハンパない。母様は完全にノックアウトされて、父様の肩に顔を埋めて隠してるけど、てでいる耳が真っ赤だよ?惚れ直しちゃったかな?
 さすがに、父様の幼い時から仕えたポールさん達は平気そうだけど、父様がここの領主なった時に雇った比較的新しい使用人は、顔を赤くして腰を抜かす人や気絶する人が続出した。

「旦那様。表情が戻ったことは大変喜ばしいのですがもう少し、威力を抑えてください。これでは皆の仕事に支障をきたします」

今までの無表情はなんだったんだと言いたくなる位、表情が表に出るのようになった父様のキョトン顔、頂きました。こりゃダメだと、額に手を当てて首を振るポールさん。表情が戻ったら戻ったで、苦労が増えたようです。
 こんな時は、調合スキルで胃薬を作りプレゼントしようと思い、材料を確認しようとスキルを開くと、お久しぶりの鑑定眼の機械音が響いた。

〈調合スキルを使用するには、使用者の知識、経験が不足で、使用出来ません〉

は?だって、鑑定眼も収納もマップもマップに取り込んだ探索なども普通に使えたし、考えたスキルが使えるスキルのはずなのに、使えない?チートなのに?知識って、勉強しないといけないの?待って!調合スキルでこれなら、もしかして

〈錬金スキルを使用するには、使用者の知識、経験が不足で、使用出来ません〉

チートで、イージーモードの人生を送れると思ってたのに、チートはチートでも、僕の思ってたチートじゃなかった。光の玉をいじめ過ぎたのかな? はぁ、勉強嫌だなぁ。でも、スキル使うには、はぁ。
僕の、百面相を黙って見ていてた皆は、思考が終った頃合いで、

「どうしたの?急に黙るから心配したよ?」

隣に座ってた兄様が僕の顔を覗き込むように聞いてきた。父様がいる時は基本こういう時は父様が聞いてくるのに、珍しいと思い兄様を見てから、父様を確認したら、母様といちゃついてた。いや、たぶん本人達はそんなつもりはないのだろう。見てる方は胸焼け必須だけどね。
極力父様達を視界に入れないように、兄様を見て、

「父様と使用人の事で、ポールさんの心労が増えて心配だから、ひ・・神、様からもらったスキルでポーションを作ろうしたけど、知識が足りなくて使えないってでて、勉強する事が増えたなぁて」

「ありがとうございます、アルジャーノン様。そのお気持ちだけで充分でございます」

ポールさんが優しい顔で笑い、お礼を言ってくれた。兄様も、「アルは優しいし、偉いね」と頭を撫ででくれ、ちぃ兄様達も優しい眼差しで見ていて、ほっこりしていたのに、

「では、明日から薬草の種類や効能、調合の仕方の勉強も追加ですね。大丈夫です。アルジャーノン様は優秀ですから、すぐに覚えられますよ」

とてもいい笑顔で宣った、安定のキャロさん。
悪魔です。鬼畜です。人でなしです!
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