神よ、勝手すぎないか?

チョッキリ

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8 キャロさんに怪しまれてます

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午前中の魔力循環だけでも、かなり疲れてたらしく、昼食の途中から記憶がなく、目覚めたら自室のベットの中だった。
かなりの時間寝てたのか、すっかり窓の外は夕暮れになっていた。
まだ完全には目覚めてないのか、窓の外を見ながらボーとしていると、ノックの後キャロさんが入ってきた。

「お目覚めになられてましたか。さすがに、もうそろそろ起こそうかと思いましたが」

まだ脳が再起動せず、声に反応してキャロさんの方を向いた。
キャロさんはベットの横まで来ると、台に常備されている果実水をコップに移し始めた。
その様子を、働かない頭では眺めてると、キャロさんが、「どうぞ」とコップを差し出し、差し出されたコップを見て、喉が渇いてるのを自覚した。
コップを受け取り、飲んでいると

「アルジャーノン様。いえ、貴方はアルジャーノン様ではありませんよね。一体どなたでしょうか?そして、我が主のアルジャーノン様はどうされなのでしょう?」

冷たい果実水でやっと目が覚めたと思ったら、キャロさんに冷ややかな声で尋ねられた。
キャロさんの言っている意味が分からず、

「僕は僕だよ?」

多少胡散臭いけど、いつも笑顔なキャロさんが、無表情で僕を見ている。
いつもだったら、こんな(ここまで重くは無いが)やり取りしていても、すぐにキャロさんが折れてくれて、軽く注意され話が終わるのだが、

「いいえ。本来のアルジャーノン様は、旦那様みたく無表情で、貴方のように表情が表に出ることは無いのです」

「は?いや・・そんな・・こと・・は、無い・・はず?」

ここでも、異世界転生ハイを発揮していたらしい。
良く良く思い出して見ると、記憶が戻る以前の僕は、よくは覚えていないが、三歳の時に誘拐され、数日監禁されていた。
恐怖から心を守る為に、感情を閉ざしていた事で、助けられた後でも、半年は声も出せない状態が続き、まだ三歳だった為か、監禁されていた記憶もあやふやになりだした頃、ふとした時に声が出るようになった。
しかし、声で喜んでいるとか楽しんでいるのは分かるが、表情はピクリとも動いてはいなかった。
 それは、記憶が戻る直前まで変わらなかった。
 転生の記憶を戻された時、自分の事なのにこんな大事な事を忘れ、五才児を演じる、いや、素で五才児やってような・・まぁ、そんな痛い大人の精神が表に出ていた事と、転生で浮かれていた事でやらかしに気づいていなかった。

「(やっばい!え?どーしよー、転生だってバラしてもいいのかな?“何言ってんだ、こいつ?”みたいにならないかなぁ?)」

物凄く目を泳がせながら、混乱していると、

「アルジャーノン様は何処です?」

何処から出したのか、キャロさんの手にはナイフがあり、僕にその刃先を向けてきた。
命大事!見栄などゴミだ!!

「僕は正真正銘アルジャーノンです。かなりあり得ない、正気を疑うような内容だけど、僕は異世界で生きていた記憶を昨日、思い出さされたんです!!」

僕の訴えに、真意を確かめるように見つめ、納得してくれたのか、ナイフを下ろしてくれた。
僕はほっと息を吐き、緊急案件であるかの人の保護をするために、父様に二度目のお願いをするために、キャロさんに頼みごとをした。

「多分、納得はしてくれたけど、まだ信じてないですよね?父様にまたお願いがあるので、詳しいことは父様も交えて説明しますから、父様に時間を取ってもらえないか確認して来てくれませんか?」

訝しげに僕の事をみていたが、僕が真剣だと分かってくれたのか

「旦那様に確認してします」

と、一礼して部屋から出ていった。
かなり緊迫していた為、キャロさんが出ていった後、大きくため息を吐いた。
このまままたベットに逆戻りしたいけど、キャロさんが戻ってくるまでに、光の玉が付与した能力の確認をしなければ、いざという時すぐに動けない。
まだ、社交のお披露目前なので、街に出るにも父様の許可が必要なのだ。
転生の話をするということは、光の玉と光の玉のやらかしを説明しないといけない。
説明すれば、緊急を有する案件があることが分かるはずだから、許可してくれると信じてる。
仮に許可が下りた時に、自分の能力が分からないと、すぐに処置出来るスキルがあるかもしれないのに、知らなければ手遅れになるかもしれない。
精神的に疲れたけど、やらねば!人命の為!!

「(ステータス)」

と、唱えると目の前に透明なウインドウが現れた。
そこには名前、MP、スキル、魔法、他〔加護や称号など〕が表示されている。
そして肝心のスキルや魔法の項目には、一つづつしか記されていなかった。

「は?これだけ?ってか、何これ?」
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