神よ、勝手すぎないか?

チョッキリ

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6 魔法の練習開始ー基礎ー

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一夜明けて、待ちに待った魔法の練習日です。
転生チート(があれば)で、最速で魔力操作を覚え、光の玉が付与したであろうチート能力を確認して、街に繰り出し、かの人を探し出さなければ!!
これでもかなり焦ってる。
よく考えれば、与えられる筈だった能力も加護も無いと言うことは、言葉もわからない、通じない異世界に身一つで居ることになる。
物を買うお金もない。
命の危機です!!早く見つけ出さなければならないというのを、ついさっき思い至った。
なんだかんだと、異世界転生で浮かれていたんだと思う
持ち前の集中力をフル発揮だ!!
動きやすい服に着替え、ちぃ兄様達と訓練場に行くと、二人の男女が待っていた。
訓練場に向かう中で、ちぃ兄様が家庭教師の先生について教えてくれた。
男女で体の造りが違うので、魔力操作の仕方や練り方が異なるとの事。
今回は、ちぃ兄様達が双子ということで、男女二名の先生が教えることになったらしい。
男の人は、元王宮魔道師の資格を持つ、母様の従兄弟でアルファ プラット様。(25)
女の人も、元王宮魔道師の資格を持っていて、なんとアルファ様と双子で、ルルーベル プラット様。
二人ともまだ若いのに、王宮魔道師を辞めたのは、人間関係の不和が原因らしい。{ちぃ兄様談}
 ちぃ兄様と姉様の間に挟まれ、プラット姉弟の前まで行き、

「初めまして、ブラスターはくしゃくけ当主、三男のアルジャーノンです。本日はよろしくおねがいします」

深々とお辞儀をしたら、キャロさんチェックが入ってしまった。

「アルジャーノン様、やり直しです」ニッコリ

思わず肩が上がり、そっと後ろを振り返ると、それはそれは恐ろしいほどの笑顔のキャロさんの顔があった。
プラット家も同じ伯爵位だが、爵位を継いでない者は、現当主の許可の元、家名を名乗ることが許される。
アルファさんは嫡男ではないので、当主ではない。    
 家名を名乗ってはいるが、凖貴族扱いになるので、まだ父様の庇護の元、貴族である僕はアルファさん達より身分は上。
 貴族は、身分の上の者が、下の者に頭を下げることはない。
なので、さっきの僕の行動は間違っているため、教育係でもあるキャロさんからチェックが入ったのだ。

「(ハァー、やっぱり貴族、僕には向いてないかも)初めまして、ブラスターはくしゃくけ当主、三男のアルジャーノンです。よろしくおねがいします」

頭が動きかけたが、どうにか持ちこたえて、誤魔化すように笑顔で締めくくった。
キャロさんも気づいたみたいだけど、許容範囲だったのか見逃してくれた。

「初めまして、アルファ プラットと申します。レイナルド様の魔法の教師をさせてもらっております。本日より、アルジャーノン様の教師も兼任することになりました。どうぞ、よろしくお願い致します」

「初めまして、ルルーベル プラットと申します。カティーティア様の魔法の教師をさせてもらっております。よろしくお願い致します」

アルファさんは、右手を胸に当て腰を折るように礼を、ルルーベルさんは、右手を胸に当て、その右手に左手を添えて、膝を曲げて礼をした。
この礼は、魔道師ならではの礼で、敵意は有りませんと意思表示するものだと、姉様がコソッと教えてくれた。
ちなみに、騎士の場合は、左手を胸に添え、相手によって礼の深さが変わる。
国王陛下始め、王族には、45°
上司には、30°
同僚などには、15°など。
騎士と魔道師で左右の手が違うのは、昔の名残で、仲が悪かった両者が、国王陛下から見て各々の場所に立って礼をした時、相手の手を掠めたのが切っ掛けらしい。当時の陛下も、仲が悪いのを分かっていたので、急遽礼の仕方が変わっても何も言わなかったらしい。{国の歴史より}
挨拶も済み、いよいよ魔法の練習です。
昨日の朝、実は顔を洗うついでに、そっとステータスを見ようとしたけど見れず、ならばと、魔力操作にチャレンジしようにも、有る筈の魔力が感じられず、撃沈。
なので、お願いし今に至る。

「レイナルド様、復習を兼ねて魔力循環をしてみて下さい」

アルファさんに言われ、ちぃ兄様は大きく深呼吸をしてから、静かに目を閉じた。
多分今、魔力循環をしているのだろうけど、僕には、ただ目を閉じて突っ立てるだけにしか見えず、首を傾げていると

「成る程、そこからですか。レイナルド様、完璧です。では次に、アルジャーノン様と手を繋いでもらってよろしいですか?」

最初の方は声が小さくて聞こえなかったが、明らかに僕の方を見て言っていた。
ちぃ兄様は何をするのか分かったのか、軽く頷き、僕の方に来ると手を繋いだ。
そして、僕とちぃ兄様の間にアルファさんが入り、二人と手を繋いだ。

「では、ゆっくり私の魔力を流しますので、アルジャーノン様は、その魔力を感じたら軽く私の手を握り返してください。レイナルド様は相手の、この場合はアルジャーノン様の魔力を捕える練習をしてください。大丈夫、私が付いてますので、アルジャーノン様が傷つくことはありません」

なんか恐いことを言っているみたいだけど、全力で聞かなかったことにして、自分のやることに集中することにした。精神安定のため

「では始めます」

アルファさんが言うと、すぐに何かが体を這って来る感覚がした。
反射的に身震いがしたが、これがアルファさんの魔力だと分かりアルファさんの手を握り返したが、一緒にちぃ兄様の手まで握り返してしまった。
もちろん、ちぃ兄様は気づいたので軽く吹き出し

「アル?俺の手まで握り返さなくていいんだぞ?」

「ふっ・・・・っ」

ちぃ兄様の言葉で、何でちぃ兄様が笑ったのか分かったアルファさんも、少し笑いが漏れ、でも笑ったら失礼だと思ったのか、すぐに声は押さえたが、肩が震えてるので、笑ってるのは隠せてないと思う!
周りの皆の肩も震えてるのは、是っっっ対気のせいじゃない!!
子供っぽいけど、頬が膨らむのは止められなかった。
アルファさんが軽く深呼吸して、気持ちを落ち着かせると、止まってた魔力流しを再開し、もう一度、今度はアルファ様の手だけ握り返した。

「私の魔力に合わせてアルジャーノン様もご自分で動かしてみてください」

と、言われてもこれが中々に難しく、悪戦苦闘していた。

「アル、先生の魔力を意識てみろ。そうすれば、出来る。落ち着いて」

ちぃ兄様に、声を掛けられそちらを見ると、優しい笑顔で話しかけられた。
僕は、そんな優しいちぃ兄様の言葉より、“これが八歳?異世界恐ろしい!!”と的はずれな事を思っていた。
しかし、それで少し落ち着きたのか、よく異世界の物である魔力循環の仕方を思い出した。

「(確か、丹田。おへその辺りに意識を集中して、血の巡りの通りに魔力を動かす。だったよね?)」

両手が塞がっているため、手で確かめながらは出来ないのが難点だが、なんとか魔力を動かすことに集中した。
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