同期に恋して

美希みなみ

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同期以上になれましたか?

第1話

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そんな雰囲気のまま、ついにクリスマスの結婚式が来てしまい、私は小さくため息をついて電車から降りた。

なぜか、意地になって涼真に連絡することもしなかったし、涼真の連絡も無視し続けた。

怒ってるかな……。
私のためにニセ彼をしてくれると言ってくれた涼真に、ひどいことをしているのだろうが、どうしてもみんなの前で付き合っている演技を出来る気がしなかった。

救いといえば、気が進まない事から式だけの出席にして、披露宴は欠席をすることにしていたので、特に涼真が来なくても問題がないことだけだ。

「千夏!こっちこっち!」
式場の近くの駅で、同じゼミだった友人たちと合流するためにキョロキョロしていた私は、その声の方をみた。

数年ぶりの友人4人が手を振っていて、そしてその隣にはお相手の人達の姿が見えた。
クリスマスの土曜日に結婚式に行くのだから、デートもかねてこれはこれでいいのかもしれないな。
私はそう思いながら、小走りにみんなのところへと向かった。
「ごめんね!待たせちゃって」
気が進まずついつい足取りが遅くなっていたのか、待ち合わせぎりぎりの時間になっていたことに気づき頭を下げた。

「全然だよ」
相手の彼や、旦那さんは会ったことがある人もいたり、初対面の人もいたりと簡単に挨拶を交わした。

そのままみんなでなだれ込むように、式場に入ると式が始まるのを待っていた。

「千夏も彼氏とくるっていってなかった?」
連絡を取っていた時は涼真も行くはずだったので、そう聞かれるとわかっていたので、用意をしていた言葉を発した。

「うん、そうなんだけど私達いま仕事が急がいくて。だから今日は私も式だけ参列」

「えーそうなんだ。千夏の彼にも会いたかった」
口々に言うみんなの言葉に、苦笑する。



ごめんね。本当は違うんだ。
詩織の友達ということもあり、あまり会わない友人たちには、すぐに別れたことにすればいだろうと心の中で謝った。

そんな時、案内がありチャペルへとみんなで歩き出した。
チャペルはすごく大きな大聖堂で、クリスマスのイルミネーションが幻想的でとてもきれいだった。

「素敵……」
まわりの友人たちはクリスマスデートのような感じになっていたので、私はそっと静かにチャペルの中に座り周りを見ていた。

幻想的で厳かに始まった式での詩織は、とてもきれいで真っ白なウェディングドレスがとても似合っていた。

そしてみんなの彼氏を呼ぶだけあって、旦那さんになる人はすごくかっこいい人だった。

この人をみんなに見せたかったんだろうな……。

そんな事を思ったが、過去はどうであれ、詩織の幸せを今日は祝おうと思い笑顔を向けた。

フラワーシャワーの代わりに、緑と赤のカラフルなテープや風船がチャペルの前の広場に舞い散る。

「みんなありがとう!」
満面の笑みで私たちのところに来た、詩織に口々にお祝いの言葉を伝える。

「私の彼!素敵でしょ!」
案の定発せられた、詩織の言葉も主役の今日は許されるだろう。

「うん、素敵な彼だね」
私の言葉に、詩織はチラリと私の横に視線を移すと、

「千夏ちゃん、なんかごめんね。彼いないのに、みんなの彼も誘っちゃって。嫌な気分にさせちゃったよね」
その言葉に、友人の一人が声を上げた。

「ちょっと、詩織!その言い方……」
その言葉に、私は笑ってその言葉を制止した。
小さく「ありがとう」とだけ言うと、私は詩織を見た。

「素敵な旦那さんだね。おめでとう。詩織」
そう言って微笑んだ私に、詩織も満面の笑みで彼を見つめた。
「千夏ちゃんにも、素敵な彼氏ができるといいのにね。ね?みんな」
無邪気にふるまいつつも、優越感に浸る詩織に私はもう帰れるからと言い聞かす。

そこにいつものざわめきみいたいな声が聞こえて、私は反射的に振り返った。

なんで?
完璧なスーツを身にまとい、真っ黒のトレンチコートをまとった涼真に私は視線を外せなかった。

『だれ?なに?すごいかっこいい!』
いつものような女の子たちの声と、新郎の友人たちのざわめき。

そんなことすら慣れっこになっている涼真は、気にする様子もなく案内してきてくれた式場の人にお礼をいいつつ、こちらにむかって歩いてくる。

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