11 / 25
同期以上恋人未満
第4話
しおりを挟む
「ちな、あれみてみろよ!好きだろ?」
涼真の指をさした先には、かわいらしいハートのクッキーが乗ったホットチョコレートの写真だった。
うわー可愛い!
いつも会社では、年齢も高いことからあまりはしゃぐことなく、クールにしているが本当の私は可愛いものが大好きだ。
さすがというか、長い付き合いの涼真にはバレてしまっているようで少し恥ずかしくなるが、今更隠しても仕方ないだろうと、開き直る。
「うん、可愛いし、甘いのも好き」
素直に言うと、涼真は私の手を取ると走り出した。
「じゃあ急ぐぞ!でも昼飯にはならないな……」
そんな事を涼真は言っているが、私は今まで冷たかった手が涼真の熱に包まれ、顔まで赤くなりそうだった。
これは同期の範囲内?
それともちょっとだけ同期以上?
そんな事を思いながら、私は涼真の後姿を見つめた。
たくさんの人が並ぶ列の最後尾に私達も並び、涼真はメニューを見上げた。
ワゴン車のような外のお店には、女の子同士や、カップルが多くみられ、可愛らしいスカートの女の子が多くいて、私はやっぱりスカート履けばよかったかなと思いつつ、キョロキョロしていた。
そして、やっぱりと言っていいほど、女の子たちは涼真に視線を向けている。
『めちゃくちゃかっこよくない?』
『芸能人?』
そんな声すら聞こえて、一緒にいる私はいたたまれなくなる。
そして、ジッと自分の服を見つめた。
可愛げのないモノトーンの自分。
デートではないからと、選んだ服だったが、今日ぐらい楽しめばよかったと、心の中で小さくため息をつく。
「ちな。俺これ食べたい」
そんな女の子の視線など慣れているのだろう、涼真は無邪気に食べたいものを選んでいた。
「うん」
いつも通り返事したつもりだったが、涼真はジッと私を見た。
「どうした?」
「え?何が?」
いきなり聞かれた言葉に、私はきょとんとした顔を向けた。
「なんかまた泣きそうな顔してる」
少し悲し気に言った涼真に、私はブンブン首を振った。
「そんなことないよ!お腹すきすぎたかな」
無理やり笑顔を作って、涼真をみた。
「ふーん」
少しだけその答えに不服そうな涼真だったが、私の肩に手を回して何故か耳元でささやいた。
「ちなは何にする?」
そんなどうでもいい事なのに……どうして?
『やっぱり彼女じゃない!』
『それでもいいよ!かっこいもん』
所どころから聞こえる声に、涼真は私の気持ちをどうとったかわからなかったが、周りの女の子に見せるためにそれをしたことが分かり、私は胸がギュッとなる。
本当の彼女じゃないのに……。
それでもやはり、同期より少しだけ近くにいる……そう思いたい。
涼真の指をさした先には、かわいらしいハートのクッキーが乗ったホットチョコレートの写真だった。
うわー可愛い!
いつも会社では、年齢も高いことからあまりはしゃぐことなく、クールにしているが本当の私は可愛いものが大好きだ。
さすがというか、長い付き合いの涼真にはバレてしまっているようで少し恥ずかしくなるが、今更隠しても仕方ないだろうと、開き直る。
「うん、可愛いし、甘いのも好き」
素直に言うと、涼真は私の手を取ると走り出した。
「じゃあ急ぐぞ!でも昼飯にはならないな……」
そんな事を涼真は言っているが、私は今まで冷たかった手が涼真の熱に包まれ、顔まで赤くなりそうだった。
これは同期の範囲内?
それともちょっとだけ同期以上?
そんな事を思いながら、私は涼真の後姿を見つめた。
たくさんの人が並ぶ列の最後尾に私達も並び、涼真はメニューを見上げた。
ワゴン車のような外のお店には、女の子同士や、カップルが多くみられ、可愛らしいスカートの女の子が多くいて、私はやっぱりスカート履けばよかったかなと思いつつ、キョロキョロしていた。
そして、やっぱりと言っていいほど、女の子たちは涼真に視線を向けている。
『めちゃくちゃかっこよくない?』
『芸能人?』
そんな声すら聞こえて、一緒にいる私はいたたまれなくなる。
そして、ジッと自分の服を見つめた。
可愛げのないモノトーンの自分。
デートではないからと、選んだ服だったが、今日ぐらい楽しめばよかったと、心の中で小さくため息をつく。
「ちな。俺これ食べたい」
そんな女の子の視線など慣れているのだろう、涼真は無邪気に食べたいものを選んでいた。
「うん」
いつも通り返事したつもりだったが、涼真はジッと私を見た。
「どうした?」
「え?何が?」
いきなり聞かれた言葉に、私はきょとんとした顔を向けた。
「なんかまた泣きそうな顔してる」
少し悲し気に言った涼真に、私はブンブン首を振った。
「そんなことないよ!お腹すきすぎたかな」
無理やり笑顔を作って、涼真をみた。
「ふーん」
少しだけその答えに不服そうな涼真だったが、私の肩に手を回して何故か耳元でささやいた。
「ちなは何にする?」
そんなどうでもいい事なのに……どうして?
『やっぱり彼女じゃない!』
『それでもいいよ!かっこいもん』
所どころから聞こえる声に、涼真は私の気持ちをどうとったかわからなかったが、周りの女の子に見せるためにそれをしたことが分かり、私は胸がギュッとなる。
本当の彼女じゃないのに……。
それでもやはり、同期より少しだけ近くにいる……そう思いたい。
1
お気に入りに追加
334
あなたにおすすめの小説
お願いダーリン!
美希みなみ
恋愛
「副社長には内緒!」関連作品です。上司に片思い中の結花の恋物語です。
恋愛大賞に向けて加筆修正します。読んで頂いていた皆様、内容や、ページが異なります。申し訳ありません。
水野結花 23歳 サイエンスコーポレーション 東京本社 海外事業部アシスタント
樋口 晃 28歳 サイエンスコーポレーション 東京本社 海外事業部 主任
高校時代から晃に片思いしている結花。
入社してからもずっと一途に晃を思う結花だったが、晃にも好きな人がいて……。
少し切なく、一生懸命に恋する女の子のストーリです。
「副社長には内緒」、「幼なじみは嘘つき上司」のサイエンスコーポレーションシリーズ3作目です!
このお話だけで完結しているため、初めての方もお読み頂けます。
覗いて頂けると嬉しいです!
他サイトで連載していた作品になります。ご了承お願いいたします。
Short stories
美希みなみ
恋愛
「咲き誇る花のように恋したい」幼馴染の光輝の事がずっと好きな麻衣だったが、光輝は麻衣の妹の結衣と付き合っている。その事実に、麻衣はいつも笑顔で自分の思いを封じ込めてきたけど……?
切なくて、泣ける短編です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
さあ 離婚しましょう、はじめましょう
美希みなみ
恋愛
約束の日、私は大好きな人と離婚した。
そして始まった新しい関係。
離婚……しましたよね?
なのに、どうしてそんなに私を気にかけてくれるの?
会社の同僚四人の恋物語です。
会社の後輩が諦めてくれません
碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。
彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。
亀じゃなくて良かったな・・
と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。
結は吾郎が何度振っても諦めない。
むしろ、変に条件を出してくる。
誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。
秘密の恋
美希みなみ
恋愛
番外編更新はじめました(*ノωノ)
笠井瑞穂 25歳 東洋不動産 社長秘書
高倉由幸 31歳 東洋不動産 代表取締役社長
一途に由幸に思いをよせる、どこにでもいそうなOL瑞穂。
瑞穂は諦めるための最後の賭けに出た。
思いが届かなくても一度だけ…。
これで、あなたを諦めるから……。
短編ショートストーリーです。
番外編で由幸のお話を追加予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。
2024年4月21日 公開
2024年4月21日 完結
☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる