7 / 25
ただの同期です
第4話
しおりを挟む
え?
そこ?
私はあ然として涼真を睨みつけた。
「ねえ、そこ?私達いくつだと思ってるの?」
私の問いに、涼真は苦笑しつつ言葉を発した。
「だって、ちな男の気配まったくないから」
それはあなたのせい。
学生のときは多くはないけど、付き合っていた人ぐらいいた。
会社に入ってからもしばらく続いていたが、そのうち涼真を好きになってしまった。
「昔はそれなりにいたよ」
少しだけ見栄を張って、多めに聞こえるように言ったけど、まあいいよね。
どうせどっちでもいいだろうし。
私はそう思いつつ、刺身を口に入れてまたビールを流し込んだ。
あ……意外に酔っぱらったかも。
なんだか楽しくなってきて、私はお酒のペースがどんどん上がっていく。
「ねえ、涼真。今度はね日本酒にしようよ。それにね、仕事だって私なりにがんばってるの」
私の言葉を、涼真はハイハイと相槌を打ちながら、たしなめる様に話しかける。
「ちーな、飲みすぎ。そろそろやめろよ」
なによ……。
自分のせいなのに。
「いや!明日休みだし、もっと飲むの!」
まったく涼真が悪いわけないのに、なぜか腹が立ってくる。
こんなに好きにさせといて、自分にはいつも他の女がいる。
一度でいいから、私の物にしてみたい。
お酒の力で、普段なら絶対に壊したくなくて封印していた欲求が口をつく。
「それにね男の気配ないって言うけど、私だって彼氏欲しいもん。幸せになりたい。そうすればこの結婚式だって行けるのに……。どうせ、旦那イケメンでしょ?とか自慢ばかりされる結婚式なんだから……」
最後の方がもう自分でも何を言っているかわからなくなっていた。
「俺が一緒に行ってやるよ。ちなの彼氏として」
涼真の言葉がふわふわと聞こえる。
「えー。涼真が?」
ふふふと酔っぱらいながら目の前の涼真を見る。
「そう」
「かわいそうな私の彼氏になってくれるの?なんと結婚式はクリスマスだよ?それでもいいの?」
ぼんやりとした頭で、それだけを聞くと、涼真は「俺はいいよ」そういってニコリと笑った。
あー、なんか幸せ。
この日だけ、涼真は私の彼氏。
その響きが嬉しくて、私は笑顔になる。
「嬉しい。じゃあ、涼真は私の彼氏ね……?」
そこまで言ったところで、急に睡魔に襲われる。
「おい、ちな!ちーな」
遠くから聞こえる、涼真の言葉に私は夢見心地で意識を手放した。
そこ?
私はあ然として涼真を睨みつけた。
「ねえ、そこ?私達いくつだと思ってるの?」
私の問いに、涼真は苦笑しつつ言葉を発した。
「だって、ちな男の気配まったくないから」
それはあなたのせい。
学生のときは多くはないけど、付き合っていた人ぐらいいた。
会社に入ってからもしばらく続いていたが、そのうち涼真を好きになってしまった。
「昔はそれなりにいたよ」
少しだけ見栄を張って、多めに聞こえるように言ったけど、まあいいよね。
どうせどっちでもいいだろうし。
私はそう思いつつ、刺身を口に入れてまたビールを流し込んだ。
あ……意外に酔っぱらったかも。
なんだか楽しくなってきて、私はお酒のペースがどんどん上がっていく。
「ねえ、涼真。今度はね日本酒にしようよ。それにね、仕事だって私なりにがんばってるの」
私の言葉を、涼真はハイハイと相槌を打ちながら、たしなめる様に話しかける。
「ちーな、飲みすぎ。そろそろやめろよ」
なによ……。
自分のせいなのに。
「いや!明日休みだし、もっと飲むの!」
まったく涼真が悪いわけないのに、なぜか腹が立ってくる。
こんなに好きにさせといて、自分にはいつも他の女がいる。
一度でいいから、私の物にしてみたい。
お酒の力で、普段なら絶対に壊したくなくて封印していた欲求が口をつく。
「それにね男の気配ないって言うけど、私だって彼氏欲しいもん。幸せになりたい。そうすればこの結婚式だって行けるのに……。どうせ、旦那イケメンでしょ?とか自慢ばかりされる結婚式なんだから……」
最後の方がもう自分でも何を言っているかわからなくなっていた。
「俺が一緒に行ってやるよ。ちなの彼氏として」
涼真の言葉がふわふわと聞こえる。
「えー。涼真が?」
ふふふと酔っぱらいながら目の前の涼真を見る。
「そう」
「かわいそうな私の彼氏になってくれるの?なんと結婚式はクリスマスだよ?それでもいいの?」
ぼんやりとした頭で、それだけを聞くと、涼真は「俺はいいよ」そういってニコリと笑った。
あー、なんか幸せ。
この日だけ、涼真は私の彼氏。
その響きが嬉しくて、私は笑顔になる。
「嬉しい。じゃあ、涼真は私の彼氏ね……?」
そこまで言ったところで、急に睡魔に襲われる。
「おい、ちな!ちーな」
遠くから聞こえる、涼真の言葉に私は夢見心地で意識を手放した。
1
お気に入りに追加
340
あなたにおすすめの小説
ビター☆チョコレート
栗原さとみ
恋愛
社会人3年目の倉科桃25歳。仕事は毎日忙しく順調だが、彼氏いない歴もまた3年目に入り、プライベートはちょっぴり寂しい日々を送っている。片想いの相手は既婚者なので、想い続けても不毛な事はわかっている。想うのは勝手だと思うのだが、同期の片岡悠斗は「諦めろ諦めろ」といつもうるさい。


さあ 離婚しましょう、はじめましょう
美希みなみ
恋愛
約束の日、私は大好きな人と離婚した。
そして始まった新しい関係。
離婚……しましたよね?
なのに、どうしてそんなに私を気にかけてくれるの?
会社の同僚四人の恋物語です。
そういう目で見ています
如月 そら
恋愛
プロ派遣社員の月蔵詩乃。
今の派遣先である会社社長は
詩乃の『ツボ』なのです。
つい、目がいってしまう。
なぜって……❤️
(11/1にお話を追記しました💖)

再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。
2024年4月21日 公開
2024年4月21日 完結
☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。

Sランクの年下旦那様は如何でしょうか?
キミノ
恋愛
職場と自宅を往復するだけの枯れた生活を送っていた白石亜子(27)は、
帰宅途中に見知らぬイケメンの大谷匠に求婚される。
二日酔いで目覚めた亜子は、記憶の無いまま彼の妻になっていた。
彼は日本でもトップの大企業の御曹司で・・・。
無邪気に笑ったと思えば、大人の色気で翻弄してくる匠。戸惑いながらもお互いを知り、仲を深める日々を過ごしていた。
このまま、私は彼と生きていくんだ。
そう思っていた。
彼の心に住み付いて離れない存在を知るまでは。
「どうしようもなく好きだった人がいたんだ」
報われない想いを隠し切れない背中を見て、私はどうしたらいいの?
代わりでもいい。
それでも一緒にいられるなら。
そう思っていたけれど、そう思っていたかったけれど。
Sランクの年下旦那様に本気で愛されたいの。
―――――――――――――――
ページを捲ってみてください。
貴女の心にズンとくる重い愛を届けます。
【Sランクの男は如何でしょうか?】シリーズの匠編です。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる