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咲き誇る花のように恋したい 光輝×麻衣
第六話
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「うん、そう。明日お姉ちゃんが。え?うそ?本当?」
私にチラリと視線を送りながら、結衣は驚いたように私を見ていた。
「なに?」
小さく呟くように結衣に聞くと、結衣は私に向かって言葉を発した。
「お姉ちゃん、光輝に引っ越す事言ってないの?」
なんで私がそんな事を言う必要があるのだろう?
話していない事に結衣が驚く意味が解らず、私は少しいらだった。
「いう必要ある?」
こうちゃんにも聞こえているのかもしれないのに、つい出てしまった言葉に、私はしまったと言葉を止めた。
「ああ、うん。うん」
そんな私の返事に、二人は何かを話しているようだった。
「お姉ちゃん、明日の引っ越し屋さん何時だっけ?」
結衣のその言葉から本当にこうちゃんに手伝わせるつもりなのかと、私はさっきの感情のまま声を出していた。
「結衣!こうちゃんに迷惑かけないで!必要ないから!」
ようやくこうちゃんと結衣から明日離れられる、それまでの我慢だと思っていたのに、ここで自分の感情を出してしまった事に、後悔が押し寄せる。
しかし、言ってしまったものはもうどうにもならない。
私は今日で終わり。
そう言い聞かせて泣きたくなるのをグッと押し込んだ。
次の日、引越しは安いこともあり午前中の早時間にしたことが本当に良かったと思いつつ、最後の荷物がトラックに乗せられるの確認して、私も新しい家へと向かった。
職場から駅一つ離れた私の新しい家は、こじんまりとしたマンションで、築15年ほどたっているが、壁紙とかも変えられていたため、真新しい雰囲気があり気に入っていた。
築年数が古いこともあり、間取りが1LDKあっても家賃もお手頃だったのも嬉しい。
ベッドなどが運ばれたのを確認して、一人になると私は大きく息を吐いた。
「後は、電気屋さんとが来るのを待てばいいよね……」
一人暮らし用の小さな冷蔵庫や必要な家電は、今までの貯金と、両親が半分だしてくれた。
それだけでも感謝をしないといけないなと思う。
テーブルなどの家具はすでに配送が終わっていることから、少なからず住めそうな感じがしたが、肝心の照明やテーブルがないと、夜には困ってしまう。
そんな事を思いながら、備え付けの棚に家から持ってきたものや、買い集めていた食器をしまいながら、私はまだテレビさえない無音の中で作業をしていた。
初めて感じる、音の無い部屋に少しだけ感傷的な気持ちになりそうになり、慌ててスマホで音楽を掛けた。
まだ始まったばかりなの、こんな気持ちになっていてどうするの?と自分を奮い立たせた。
そんな時、インターホンがなり電気屋さんが来たことがわかり、私は急いでドアを開けた。
「きちんと誰か確認しろよ」
不意に上から聞こえた声に、私は驚いて顔を上げた。
無意識に扉を閉めようとしていたのを、こうちゃんの足が滑りこみ阻止される。
「麻衣!!」
今までの私がこんなことをすることが信じられないのだろう。
でも、家を出たときから私はもう、こうちゃんとは関わらないと決めた。
そうしないと、私は1歩もどこにも勧めない気がしていた。
私にチラリと視線を送りながら、結衣は驚いたように私を見ていた。
「なに?」
小さく呟くように結衣に聞くと、結衣は私に向かって言葉を発した。
「お姉ちゃん、光輝に引っ越す事言ってないの?」
なんで私がそんな事を言う必要があるのだろう?
話していない事に結衣が驚く意味が解らず、私は少しいらだった。
「いう必要ある?」
こうちゃんにも聞こえているのかもしれないのに、つい出てしまった言葉に、私はしまったと言葉を止めた。
「ああ、うん。うん」
そんな私の返事に、二人は何かを話しているようだった。
「お姉ちゃん、明日の引っ越し屋さん何時だっけ?」
結衣のその言葉から本当にこうちゃんに手伝わせるつもりなのかと、私はさっきの感情のまま声を出していた。
「結衣!こうちゃんに迷惑かけないで!必要ないから!」
ようやくこうちゃんと結衣から明日離れられる、それまでの我慢だと思っていたのに、ここで自分の感情を出してしまった事に、後悔が押し寄せる。
しかし、言ってしまったものはもうどうにもならない。
私は今日で終わり。
そう言い聞かせて泣きたくなるのをグッと押し込んだ。
次の日、引越しは安いこともあり午前中の早時間にしたことが本当に良かったと思いつつ、最後の荷物がトラックに乗せられるの確認して、私も新しい家へと向かった。
職場から駅一つ離れた私の新しい家は、こじんまりとしたマンションで、築15年ほどたっているが、壁紙とかも変えられていたため、真新しい雰囲気があり気に入っていた。
築年数が古いこともあり、間取りが1LDKあっても家賃もお手頃だったのも嬉しい。
ベッドなどが運ばれたのを確認して、一人になると私は大きく息を吐いた。
「後は、電気屋さんとが来るのを待てばいいよね……」
一人暮らし用の小さな冷蔵庫や必要な家電は、今までの貯金と、両親が半分だしてくれた。
それだけでも感謝をしないといけないなと思う。
テーブルなどの家具はすでに配送が終わっていることから、少なからず住めそうな感じがしたが、肝心の照明やテーブルがないと、夜には困ってしまう。
そんな事を思いながら、備え付けの棚に家から持ってきたものや、買い集めていた食器をしまいながら、私はまだテレビさえない無音の中で作業をしていた。
初めて感じる、音の無い部屋に少しだけ感傷的な気持ちになりそうになり、慌ててスマホで音楽を掛けた。
まだ始まったばかりなの、こんな気持ちになっていてどうするの?と自分を奮い立たせた。
そんな時、インターホンがなり電気屋さんが来たことがわかり、私は急いでドアを開けた。
「きちんと誰か確認しろよ」
不意に上から聞こえた声に、私は驚いて顔を上げた。
無意識に扉を閉めようとしていたのを、こうちゃんの足が滑りこみ阻止される。
「麻衣!!」
今までの私がこんなことをすることが信じられないのだろう。
でも、家を出たときから私はもう、こうちゃんとは関わらないと決めた。
そうしないと、私は1歩もどこにも勧めない気がしていた。
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