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優しくしないで
第6話
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そんな時、目の前の電話がなり日葵はハッとして受話器を取る。
『長谷川さん、サニープロダクションの奥野様がお見えです』
その言葉に、日葵は気持ちを入れ替えると資料を手にフロアを出た。
ミーティングルームに案内をし、目の前の30代後半だろう、爽やかな印象の男性奥野と、20代後半だろう、三ツ谷に挨拶をすると、日葵はさっそく今まで話を詰めてきた内容を確認する。
「ではここで、開発者と社長の挨拶で大丈夫ですよね?」
「はい、あと、この時間にゲームの体験を行いたいです」
その言葉に、奥野も頷き考えているようだった。
「わかりました。その時の段取りや、企画はまたまとめてご提案させて頂きます」
テキパキと三ツ谷に指示を出しながら、進める奥野に日葵も「お願いします」と頭を下げた。
「それで、12月24日のプレスリリースですが」
「え?」
その言葉に、日葵は慌てて資料をめくる。
(うそでしょ!)
「長谷川さん?」
日葵の不穏な空気を感じたのか、奥野が不安げに声を掛ける。
「奥野さん、プレスリリースってもう……」
「はい……」
その言葉に、日葵は真っ青になる。
確かに資料には24日の文字、しかし自分の社内用のタブレットには31日。
もちろん、いまでもいっぱいいっぱいの中、1週間早くなるという事など考えらるわけもない。
情報を開示するにあたり、当たり前だがある程度の物を見せないといけないし、その事がどれだけ売り上げに左右するかなど、誰でもわかることだ。
「あの、あっ……上司に相談させてください」
それだけを何とか日葵は言葉にすると、奥野達に頭を下げる。
「長谷川さん、我々も最善をつくします。とりあえず今日は……」
その言葉に、日葵は申し訳なさと、焦りでバクバクと心臓が音を立てる。
二人を見送った後、泣きたい気持ちを抑えて壮一の部屋へと向かう。
自分のこんなミスのせいで、みんなに迷惑をかけてしまう。
どこか最近浮ついたような気持があったのかもしれない。
グッと唇をかみしめて、バクバクする心臓を抑えることもできないまま、壮一の部屋をノックする。
「はい」
凛とした声が聞こえて、日葵はドアを開けた。
「長谷川?」
キーボードに手を置いて、パソコン画面をみていた壮一は、日葵のただならない空気を感じたのか、ヘッドフォンを取ると日葵を見た。
「申し訳ありません!」
その言葉しか出ず、日葵は頭を下げる。
「何がだ?」
静かに響く壮一の声に、ビクリと背筋が凍るような気がした。
「バカ野郎!」
経緯をなんとか説明すると、明らかに青ざめた壮一に、事の重大さをさらに実感した。
「申し訳ありません」
日葵はもうどうしていいかわからず、ただ謝罪の言葉を述べた。
「会社の信用に関わる。日程を変更することは考えられない」
独り言のようにもとらえられるその言葉に、日葵はなにも言えずにいた。
「長谷川!すぐにみんなを集めろ!」
「はい!」
その言葉に、日葵は壮一の部屋を飛び出した。
ミーティングルームに日葵の謝罪が響く。
誰もが信じられない面持ちで、空気が重くなるのが分かった。
「本当に……」
「長谷川もういい!やってしまった事はしかたない!お前らも気持ち切り替えるぞ。何が何でも成功させるためにやってきてるんだろ!」
壮一の激にメンバーの表情がかわるのがわかった。
『長谷川さん、サニープロダクションの奥野様がお見えです』
その言葉に、日葵は気持ちを入れ替えると資料を手にフロアを出た。
ミーティングルームに案内をし、目の前の30代後半だろう、爽やかな印象の男性奥野と、20代後半だろう、三ツ谷に挨拶をすると、日葵はさっそく今まで話を詰めてきた内容を確認する。
「ではここで、開発者と社長の挨拶で大丈夫ですよね?」
「はい、あと、この時間にゲームの体験を行いたいです」
その言葉に、奥野も頷き考えているようだった。
「わかりました。その時の段取りや、企画はまたまとめてご提案させて頂きます」
テキパキと三ツ谷に指示を出しながら、進める奥野に日葵も「お願いします」と頭を下げた。
「それで、12月24日のプレスリリースですが」
「え?」
その言葉に、日葵は慌てて資料をめくる。
(うそでしょ!)
「長谷川さん?」
日葵の不穏な空気を感じたのか、奥野が不安げに声を掛ける。
「奥野さん、プレスリリースってもう……」
「はい……」
その言葉に、日葵は真っ青になる。
確かに資料には24日の文字、しかし自分の社内用のタブレットには31日。
もちろん、いまでもいっぱいいっぱいの中、1週間早くなるという事など考えらるわけもない。
情報を開示するにあたり、当たり前だがある程度の物を見せないといけないし、その事がどれだけ売り上げに左右するかなど、誰でもわかることだ。
「あの、あっ……上司に相談させてください」
それだけを何とか日葵は言葉にすると、奥野達に頭を下げる。
「長谷川さん、我々も最善をつくします。とりあえず今日は……」
その言葉に、日葵は申し訳なさと、焦りでバクバクと心臓が音を立てる。
二人を見送った後、泣きたい気持ちを抑えて壮一の部屋へと向かう。
自分のこんなミスのせいで、みんなに迷惑をかけてしまう。
どこか最近浮ついたような気持があったのかもしれない。
グッと唇をかみしめて、バクバクする心臓を抑えることもできないまま、壮一の部屋をノックする。
「はい」
凛とした声が聞こえて、日葵はドアを開けた。
「長谷川?」
キーボードに手を置いて、パソコン画面をみていた壮一は、日葵のただならない空気を感じたのか、ヘッドフォンを取ると日葵を見た。
「申し訳ありません!」
その言葉しか出ず、日葵は頭を下げる。
「何がだ?」
静かに響く壮一の声に、ビクリと背筋が凍るような気がした。
「バカ野郎!」
経緯をなんとか説明すると、明らかに青ざめた壮一に、事の重大さをさらに実感した。
「申し訳ありません」
日葵はもうどうしていいかわからず、ただ謝罪の言葉を述べた。
「会社の信用に関わる。日程を変更することは考えられない」
独り言のようにもとらえられるその言葉に、日葵はなにも言えずにいた。
「長谷川!すぐにみんなを集めろ!」
「はい!」
その言葉に、日葵は壮一の部屋を飛び出した。
ミーティングルームに日葵の謝罪が響く。
誰もが信じられない面持ちで、空気が重くなるのが分かった。
「本当に……」
「長谷川もういい!やってしまった事はしかたない!お前らも気持ち切り替えるぞ。何が何でも成功させるためにやってきてるんだろ!」
壮一の激にメンバーの表情がかわるのがわかった。
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