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契約の終わり 3
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幾分落ち着いて、友梨佳はシャワーを止めるとバスローブを羽織りバスルームを出た。
「友梨佳。おいで」
優しく呼ばれて、友梨佳は諦めたように始に微笑み返した。
「おいしそう」
テーブルに並べられた朝食を友梨佳は見た。
美味しそうなサラダに、オムレツ、スープにクロワッサン。
一流ホテルの朝食はどれもとても美味しそうだった。
「昨日俺のせいでルームサービス食べれなかったもんな」
ニヤリと笑って言った始を友梨佳は睨みつけると、
「本当だよ」
そう言ってテーブルについた。
「食べよ」
始の言葉に、友梨佳も「いただきます」と手を合わせると、オレンジジュースのコップに口を付けた。
甘酸っぱくフレッシュなジュースが口の中に広がり、今まで複雑だった気持ちは少し落ち着いたような気がした。
「このクロワッサンも美味しいって話だぞ」
「え?いつも食べてないの?」
いつも泊っている始ならば当然食べているのだろうと思った友梨佳の言葉に、
「友梨佳がいないのに食べても仕方がないだろ」
当たり前のように言った始の言葉に、友梨佳の心はズキンと痛んだ。
黙り込んだ友梨佳に、
「そんな事より、早く食べよう」
そう言って口にクロワッサンを入れた始は、
「うまい!友梨佳も食べて見ろよ。本当にうまいよ」
そう言って、少しパンをちぎると友梨佳の口に入れた。
「ちょっと……あっ、おいしい!」
急に、恋人の様な事をされて、恥ずかしくなった友梨佳だったが、甘みがほんのりとあり、そして芳醇なバターが口いっぱいに広がるクロワッサンは絶品だった。
そんな友梨佳を、始は終始笑顔で見つめていた。
(氷の貴公子……どこにいったんだろ?)
甘々な始に、出会った頃の氷のような冷たい視線をもう思い出すこともできなくなっていた友梨佳は、小さくため息をついた。
「友梨佳、着替えクローゼットの中に入ってるから」
食べ終わり、すでに準備を終えコーヒーを飲みながらくつろいでいた始の言葉に、友梨佳は驚いてクローゼットへと向かった。
そこには、ホテルに入っているブランドの服が入っていた。
上品過ぎず、カジュアルすぎず、普段着としてもきれそうな淡いグリーンのワンピース。
そして下着もパンプスも揃えられていたそれらを、友梨佳は?然としてみた。
しかし、昨日着ていた服は皺がより、着られる状態ではなかった為、友梨佳はその服を身に着けると、化粧をし、髪を巻いた。
「始……この服のお金……」
そう言いながら寝室から戻った友梨佳に、
「似合ってる。いつも用意してあったんだけど、初めて役立った」
嬉しそうに笑った始に、友梨佳は唇を噛んだ。
「あっ……ごめんなさい……」
「責めてない」
そういって友梨佳のすぐそばまでやって来ると、
「今日、今ここに友梨佳がいてくれるからそれでいい。俺からのプレゼントだから気にせず着て」
そう言って頬にキスをする始を、友梨佳はただ見つめた。
「なんで?」
「え?」
つい、言葉が零れてしまい友梨佳は慌てて口を噤んだ。
「なんでもない……」
(どうして?ただの契約にここまでしてくれるの?勘違いしそうになる。ダメ!)
どうしてこんなことをするのか、つい問いただしてしまいそうになり、友梨佳はその答えがどういった言葉であれ、聞いてはいけない、聞きたくない気がしてそれ以上言葉を続けることはできなかった。
「友梨佳。おいで」
優しく呼ばれて、友梨佳は諦めたように始に微笑み返した。
「おいしそう」
テーブルに並べられた朝食を友梨佳は見た。
美味しそうなサラダに、オムレツ、スープにクロワッサン。
一流ホテルの朝食はどれもとても美味しそうだった。
「昨日俺のせいでルームサービス食べれなかったもんな」
ニヤリと笑って言った始を友梨佳は睨みつけると、
「本当だよ」
そう言ってテーブルについた。
「食べよ」
始の言葉に、友梨佳も「いただきます」と手を合わせると、オレンジジュースのコップに口を付けた。
甘酸っぱくフレッシュなジュースが口の中に広がり、今まで複雑だった気持ちは少し落ち着いたような気がした。
「このクロワッサンも美味しいって話だぞ」
「え?いつも食べてないの?」
いつも泊っている始ならば当然食べているのだろうと思った友梨佳の言葉に、
「友梨佳がいないのに食べても仕方がないだろ」
当たり前のように言った始の言葉に、友梨佳の心はズキンと痛んだ。
黙り込んだ友梨佳に、
「そんな事より、早く食べよう」
そう言って口にクロワッサンを入れた始は、
「うまい!友梨佳も食べて見ろよ。本当にうまいよ」
そう言って、少しパンをちぎると友梨佳の口に入れた。
「ちょっと……あっ、おいしい!」
急に、恋人の様な事をされて、恥ずかしくなった友梨佳だったが、甘みがほんのりとあり、そして芳醇なバターが口いっぱいに広がるクロワッサンは絶品だった。
そんな友梨佳を、始は終始笑顔で見つめていた。
(氷の貴公子……どこにいったんだろ?)
甘々な始に、出会った頃の氷のような冷たい視線をもう思い出すこともできなくなっていた友梨佳は、小さくため息をついた。
「友梨佳、着替えクローゼットの中に入ってるから」
食べ終わり、すでに準備を終えコーヒーを飲みながらくつろいでいた始の言葉に、友梨佳は驚いてクローゼットへと向かった。
そこには、ホテルに入っているブランドの服が入っていた。
上品過ぎず、カジュアルすぎず、普段着としてもきれそうな淡いグリーンのワンピース。
そして下着もパンプスも揃えられていたそれらを、友梨佳は?然としてみた。
しかし、昨日着ていた服は皺がより、着られる状態ではなかった為、友梨佳はその服を身に着けると、化粧をし、髪を巻いた。
「始……この服のお金……」
そう言いながら寝室から戻った友梨佳に、
「似合ってる。いつも用意してあったんだけど、初めて役立った」
嬉しそうに笑った始に、友梨佳は唇を噛んだ。
「あっ……ごめんなさい……」
「責めてない」
そういって友梨佳のすぐそばまでやって来ると、
「今日、今ここに友梨佳がいてくれるからそれでいい。俺からのプレゼントだから気にせず着て」
そう言って頬にキスをする始を、友梨佳はただ見つめた。
「なんで?」
「え?」
つい、言葉が零れてしまい友梨佳は慌てて口を噤んだ。
「なんでもない……」
(どうして?ただの契約にここまでしてくれるの?勘違いしそうになる。ダメ!)
どうしてこんなことをするのか、つい問いただしてしまいそうになり、友梨佳はその答えがどういった言葉であれ、聞いてはいけない、聞きたくない気がしてそれ以上言葉を続けることはできなかった。
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