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変化と戸惑い 3
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『もしもし』
その声を聞いた途端、友梨佳は感情がぶわっと沸き上がり、どす黒く渦巻く自分の気持ちをどうすることもできなくなった。
「始……お願い。会いたい……」
「どうした?友梨佳……今どこだ?」
焦ったような始の言葉に、友梨佳は嗚咽を漏らした。
「S駅のダルジャン」
「なんでそんな所にいるんだ?すぐ行くから待ってろ」
そう言ってすぐに切れた電話を友梨佳はギュッと握りしめた。
(どうして?あんなに父親に騙されて男なんてって言ってたのにどうしてまた再婚できるの?二度と男なんて……って言ってたのに)
母の幸せを一番に願っていた友梨佳だったが、あの人の隣で微笑む見たことのない母の女の顔に友梨佳は戸惑い、苛立っていた。
(どうして?どうして?)
そんな事を考えているうちに、隣に気配を感じて友梨佳はそろりと顔を上げた。
「行こう」
友梨佳の顔を見て、何かを察知したのだろう始は、何も言わず友梨佳を立たせると、店員に一言二言声をかけると、友梨佳を店の外へと連れだした。
そして、何も言わずいつものように助手席に友梨佳を乗せると、車を発進させた。
車内で何も言わない友梨佳に、始も声をかけることなく、友梨佳のマンションに車を停めた。
「どうする?一緒にいてもいい?」
珍しく伺うような始の言葉に、友梨佳はだまって頷いた。
そして友梨佳の部屋に入ると、始はそっと友梨佳を抱きしめるとソファーに腰を下ろした。
始の腕の中でぼんやりと身体を預けて、友梨佳は言葉を発した。
「お母さん……再婚するって……」
「そうか」
優しく友梨佳の髪を撫でながら、始はそれ以上友梨佳に声を掛ける事はせずただ友梨佳を抱きしめていた。
どれぐらいそうしていたのだろう。
友梨佳はハッとして、始を見た。
友梨佳の頭を撫でながら、テレビをみる始に、
「ごめんなさい。急に呼び出して……」
ようやく落ち着きを取り戻し、自分のしたことを理解し、友梨佳は始に謝罪をした。
「いいよ。シャワー浴びてさっぱりしてこいよ」
その言葉に、友梨佳は頷くとバスルームへと向かい熱いシャワーを浴びた。
部屋着に着替え、始の所に戻ると、友梨佳はそっと始の隣に座った。
「友梨佳はお母さんの再婚に反対なの?」
「わからない。反対ではないの。でもあんなに男は信用できないって言ってたのに。お母さんの女の顔を見たら、なんか混乱しちゃって……。今までの私はなんだったの?って恋愛なんかしちゃだめ。男も信じるなって言って私を育てたお母さんがどうしてって」
始は、友梨佳に呪縛をかけたのは母だったことに気づいた。
悪気もなかったんだろうが、小さい友梨佳にいつも男の人なんて信用するな。結婚なんて最低だそう言って友梨佳と手を取り合って生きてきたのだろう。
「そうか」
今の友梨佳に何かを言っても混乱するだけだろうと、始は友梨佳をそっと抱きしめた。
「あっ……始。本当に私の我儘でごめんなさい。……する?」
友梨佳は始を呼び出すときは体の関係を持つ時だけそう思っていた。
「バカ」
始はそれだけ言うと、友梨佳を抱きしめたままソファに横になった。
「眠るまで側にいるから」
その言葉に友梨佳は驚いて目を見開いた。
「必要な時に呼べって言っただろ?SEXするために呼べなんて俺は言ってない」
その言葉の意味が友梨佳には分からなかったが、温かい始の腕に安心して眠りに落ちた。
「友梨佳……お前も少し前進だろ。俺を頼ってくれた……」
そう始は呟くと、眠りについた友梨佳をベッドに運び額にキスをすると、友梨佳の部屋を後にした。
その声を聞いた途端、友梨佳は感情がぶわっと沸き上がり、どす黒く渦巻く自分の気持ちをどうすることもできなくなった。
「始……お願い。会いたい……」
「どうした?友梨佳……今どこだ?」
焦ったような始の言葉に、友梨佳は嗚咽を漏らした。
「S駅のダルジャン」
「なんでそんな所にいるんだ?すぐ行くから待ってろ」
そう言ってすぐに切れた電話を友梨佳はギュッと握りしめた。
(どうして?あんなに父親に騙されて男なんてって言ってたのにどうしてまた再婚できるの?二度と男なんて……って言ってたのに)
母の幸せを一番に願っていた友梨佳だったが、あの人の隣で微笑む見たことのない母の女の顔に友梨佳は戸惑い、苛立っていた。
(どうして?どうして?)
そんな事を考えているうちに、隣に気配を感じて友梨佳はそろりと顔を上げた。
「行こう」
友梨佳の顔を見て、何かを察知したのだろう始は、何も言わず友梨佳を立たせると、店員に一言二言声をかけると、友梨佳を店の外へと連れだした。
そして、何も言わずいつものように助手席に友梨佳を乗せると、車を発進させた。
車内で何も言わない友梨佳に、始も声をかけることなく、友梨佳のマンションに車を停めた。
「どうする?一緒にいてもいい?」
珍しく伺うような始の言葉に、友梨佳はだまって頷いた。
そして友梨佳の部屋に入ると、始はそっと友梨佳を抱きしめるとソファーに腰を下ろした。
始の腕の中でぼんやりと身体を預けて、友梨佳は言葉を発した。
「お母さん……再婚するって……」
「そうか」
優しく友梨佳の髪を撫でながら、始はそれ以上友梨佳に声を掛ける事はせずただ友梨佳を抱きしめていた。
どれぐらいそうしていたのだろう。
友梨佳はハッとして、始を見た。
友梨佳の頭を撫でながら、テレビをみる始に、
「ごめんなさい。急に呼び出して……」
ようやく落ち着きを取り戻し、自分のしたことを理解し、友梨佳は始に謝罪をした。
「いいよ。シャワー浴びてさっぱりしてこいよ」
その言葉に、友梨佳は頷くとバスルームへと向かい熱いシャワーを浴びた。
部屋着に着替え、始の所に戻ると、友梨佳はそっと始の隣に座った。
「友梨佳はお母さんの再婚に反対なの?」
「わからない。反対ではないの。でもあんなに男は信用できないって言ってたのに。お母さんの女の顔を見たら、なんか混乱しちゃって……。今までの私はなんだったの?って恋愛なんかしちゃだめ。男も信じるなって言って私を育てたお母さんがどうしてって」
始は、友梨佳に呪縛をかけたのは母だったことに気づいた。
悪気もなかったんだろうが、小さい友梨佳にいつも男の人なんて信用するな。結婚なんて最低だそう言って友梨佳と手を取り合って生きてきたのだろう。
「そうか」
今の友梨佳に何かを言っても混乱するだけだろうと、始は友梨佳をそっと抱きしめた。
「あっ……始。本当に私の我儘でごめんなさい。……する?」
友梨佳は始を呼び出すときは体の関係を持つ時だけそう思っていた。
「バカ」
始はそれだけ言うと、友梨佳を抱きしめたままソファに横になった。
「眠るまで側にいるから」
その言葉に友梨佳は驚いて目を見開いた。
「必要な時に呼べって言っただろ?SEXするために呼べなんて俺は言ってない」
その言葉の意味が友梨佳には分からなかったが、温かい始の腕に安心して眠りに落ちた。
「友梨佳……お前も少し前進だろ。俺を頼ってくれた……」
そう始は呟くと、眠りについた友梨佳をベッドに運び額にキスをすると、友梨佳の部屋を後にした。
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