41 / 128
第41話 日陰者の神
しおりを挟む「……言い忘れていたが、この話は絶対に、絶っ対に、口外するなよ?」
「はい! 絶対に!」
「ならよし! そんじゃあ、先ずはーー」
この世界『ガンダルシア』には5柱の神が存在し、その中でも一般的に知られているのが、地の神・水の神・火の神・風の神による計4柱。
そして残りの1柱が空の神『ネロス』通称「日陰者の神」と呼ばれており、その神こそが今件の俺が無能と見下され蔑まれる元凶のようだ。
(5柱目の神様がいたなんて初耳だ……あれ? でも何故、そのネロス神が元凶なんだろう……?)
ネロス神は他の4神とは違い、下界に天啓や恩恵をほぼ与えないという怠惰な神のようで、この国の神殿や教会ではネロス神に関する話が禁句となるほどに聖職者達から嫌悪されており、しかもネロス神は黒髪なので黒髪の者が神聖な場所へ入ると必ず白い目で見られてしまうとのこと。
なお、聖職者達の頂点である教皇が『黒髪無能説』つまり「黒髪は無能者の証である」と説いたらしい。
(ネロス神が黒髪だから俺まで無能者扱いされているわけかぁ……うーん、釈然としない……)
冒険者ギルドは教会から援助を受けているので、黒髪無能説がより顕著になっている様子。
(だからエリザさん達はあんなにも俺を無能と呼んでいたのか……でも、主導者は一体……?)
残る疑問はあるが、ある程度の納得もできた。
すると、シャカがある情報を話し出す。
「実はお前の名前にも由来する事なんだがーー」
ある情報とは、この国『ファウスト』より西方に『セイド』という国があり、その国には黒髪の者だけが住む村が存在するという。
そしてその村では生まれた男子に必ず「○○ロス」と名付けるようで、その理由は村全体がネロス神を崇拝しているため、崇拝するネロス神の名から頂いて名付けているそうだ。
「でも、何故ギルマスがその情報を?」
「ん? あぁ、俺様が超現役冒険者の頃に、その村出身の奴と超出会ったことがあってな……」
「因みにその人の名はなんと?」
「あぁ、なんだっけなぁ……? 確か、カルロス……だったな」
「カルロスさんですね? 分かりました、ありがとうございます」
「お、おぉ……もしかして、その村に超行くつもりか?」
「……分かりません」
「……そうか、分かった」
今の会話で村へ行こうとしていることがバレているとは思うが、この国にとって俺は重要な存在ではないので何も問題は無い。
そのことを理解しているからこそ、シャカは何も言い返さずに黙認してくれたのだろう。
(とは言え、今すぐに村へ行くつもりはないけど……)
一人考え事をするなか、シャカが別の話題で話し掛けてきた。
「そういやお前、なんか極秘任務の依頼を超受けてたんだって?」
「……はっ!? そうだ! また忘れてた!」
「忘れてたのか……そうか……」
「??」
シャカの神妙な面持ちにより、底知れない不安感が漂い出すのであった……
0
お気に入りに追加
75
あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる