なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

文字の大きさ
上 下
12 / 128

第12話 対ヒュドラ戦

しおりを挟む

「うぅっ、酷い臭いだ……でも、何かがおかしい……もしかして、鼻か……!?」

 沼地を進んでいると、今までに嗅いだことのない臭いに鼻が麻痺してきた様子。
 恐らくこれは、毒沼から発せられる神経毒によるものだろう。

「うん、どうやら大丈夫そうだな……でも……」

 本来なら何も対策をしていなければ毒に侵されて動けなくなっているところだが、ニカナのおかげでこの程度で済んでいるのだと考えられる。
 しかし、逆に言えばニカナでも完全には防げないということの証明でもあるのだ。

「早く、早く急がなきゃな……」

 毒やニカナの件を理解したことにより、できるだけ早めに依頼を達成させ、一刻も早くこの場から退避したいという思いが芽生え出す。



「それにしても、一体どこにあるんだ?」

 暫くの間、件の浄化草を探しているが一向に見当たる気配は無い。
 そこで何か策を練らねばと考え、歩きながらも思案する。

「確か情報によると、浄化草は浄化作用のある魔力を放出し続けている……だったよな……?」

 冒険者ギルドの職員Cから聞いた情報を思い出しながら引き続き思案に集中。


「うーん……よしっ、試してみよう!」

 策を練り終えたので一旦立ち止まり、瞳を閉じながら広がる波紋のように魔力を展開。謂わゆる、魔力探知である。

「……!! 感じる……こっちだ!」

 魔力探知により、魔力を感じた地点へ向けて歩き出す。
 だが、それと同時に嫌な予感も感じており、それは「ヒュドラ」の存在に他ならない。
 先程の魔力探知で既にヒュドラらしき魔力を探知していたのである。
 なのでそれからは、ヒュドラを警戒しながら向かうことに。



「よし、もうすぐだ……」

 浄化草の魔力を探知した地点まであと少し。
 このまま行けばヒュドラに遭うことなく依頼達成となる。
 目的地へ近づく度に少しずつ依頼達成への意識が強まり顔が緩む。

「よしよし、このまま行けば……」


 しかしその時、希望を打ち砕くかの如く背後から魔物が襲ってきたようで、木々がメキメキと音を立てて薙ぎ倒されていき、ズンズンと沼地が振動するほどの足音が聞こえてきた。
 余程の巨躯を持っていないとこうはならず、そしてこの沼地にいる巨躯を持つ魔物といえば……


「なっ!? もしかして、ヒュドラか!?」

 そう、ヒュドラによる強襲である。
 俺はヒュドラとの間合いを取りながら魔法を唱えた。

「れっ、裂空!」

 ヒュドラの九ツ首のうち、一つを難なく切断。
 奥に生えていた木々も次々と倒れていく。なんて凄まじい斬れ味だ。
 しかしすぐに新たな首が生え、傷口も綺麗に再生される。

「は、はぁ!? 嘘だろ!?」

 再生する光景を目の当たりにして、酷く動揺しては狼狽え出す俺。

「ど、どど、どうすれば!?」

 どうにか再生させずに倒す策を考えてはいるが、動揺が思考を鈍らせている。
 ニカナを手にしてから初めての不安感と焦燥感が今、一気に襲い掛かってきたのだ。

「な、何か……何か、ヒュドラを倒せる策は……!?」

 なんの策も考えつかぬまま、ヒュドラとの最初の戦いが幕を開けたのであった……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

処理中です...