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第7話 極秘任務
しおりを挟む「……あれ? もう着いた……?」
冒険者ギルドから駆け、あっと言う間に酒場へ到着。
すぐに腕魔時計を確認すると、指定時間の1分前であった。
「よ、よしっ! ギリギリ間に合った!」
調子を取り戻し、喜びながらも酒場の中へと入る。
すると、店内にいたギルド職員達が俺を見て驚く。
因みに職員は3人で、全て男のようだ。
「な、なんで時間内にココへ……!?」
職員Aが呟いた。どうやらこの男もグルらしい。
「エリザさんから、ココだと聞いたので来ただけですが?」
俺は何食わぬ顔で返答しながら辺りをキョロキョロと見渡す。
その時、職員達の表情を見て確信した。
(この人達、全員グルだ……)
相当なショックを受けたが、顔には出さぬよう努める。
すると、俺の耳に何か聞こえてきた。
「ちっ! エリザの奴、しくじりやがって!」
奥の方にいる職員Bが小声で愚痴を零す。
だが俺にはその声がハッキリと聞こえた。
(凄い……まるで地獄耳のようだ……)
ニカナの影響により、聴力も格段に上がっているらしい。
それと愚痴の件に関してだが、気にはなるが敢えて聞かなかったことにした。
何故なら、その件を問い質しても何一つ変わることは無いと確信しているから。
「それで、大事な話とはなんでしょうか?」
あまりココにはいたくないので、早速だが本題に入る。
「そ、そ、それは……」
動揺し、冷や汗を掻きながら言葉に詰まる職員A。
「そ、それは、君に極秘任務の依頼を受けて欲しいんだ!」
焦りながらも急に喋り出す職員C。
「極秘任務の依頼? 何故、万年Fランクの俺なんですか? 詳しく説明して下さい」
俺が選ばれた理由が分からず説明を要求するが、何やら怪しい気が。
「そっ、それはーー」
職員Cからの説明では、俺のことを高く評価している人物がおり、その人物が今回の極秘任務を依頼したらしい。正直、怪しすぎる。
「それでは、その依頼内容を教えて下さい」
半信半疑のまま依頼内容を聞くことに。
再び職員Cからの説明では、この街からずっと西に向かった場所に「ヒュドラの巣窟」と呼ばれる毒沼地帯があり、ソコに生えている「浄化草」を最低でも1本は採取するという依頼のようだ。
あと注意事項として、その他の詮索は基本厳禁らしい。
事前に浄化草やヒュドラの特徴だけは職員Cから聞き出しておいたから問題は無い。
しかし、明らかにAランク級の依頼内容だ。やはり怪しすぎる。だが……
「……受けます」
それでも依頼を承諾。
理由は単純で、俺にはニカナがあるからだ。
ニカナの影響により、何故かできる気がする。
それは、依頼の説明を聞いたあとでもなんら変わることは無かった。
「よ、よし! それでは頼んだぞ!」
職員Cから一応の激励があり、それに応えるように一礼をして酒場から退出。
「取り敢えず、行ってみるか……」
俺はノープランで行くことに決めた。
Fランクではとても受けられない依頼なので、プランの立てようがないのだ。
こうして、怪しすぎる極秘任務を達成するために、ヒュドラの巣窟へ向けて歩み始めるのであった……
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