なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!

るっち

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第6話 悪意ある意地悪

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「やっと、はぁ、着いた!」

 全速力で駆け抜け、漸く冒険者ギルドへ到着した。
 軽く息を切らしながらも右手首に巻いた腕魔時計を見る。

「指定時間の5分前……奇跡だ……」

 あり得ない事が起こり、愕然としていた。
 それは本当にあり得ない事であり、常識の枠外であったのだから。

「と、取り敢えず、中へ入ろう!」

 我に返った俺は、急いで冒険者ギルドの中へと足を踏み入れる。
 ギルド内へ入った途端、昨日俺を鼻で笑ったギルド職員の女が腕を組みながら待ち構えていた。


(ちっ、まさか間に合うなんて、誤算だわ!)

 職員の女はかなり不機嫌な様子で俺を睨み付ける。

(この人、怖いんだよな……確か名前は……エ、エ、エリ……エリザだ! ……うぅ、なんか寒い……?)

 俺はギルド職員の名を思い出し、それと同時に悪寒と身体の震えが出てきた。

 この「エリザ」という女性は冒険者ギルドの職員で、確か俺の3つ年下で22歳の独身と耳にした気がする。
 しかも、この街に3人しかいない第1級冒険者ギルド職員の資格を持つ超有能な人材だという話だ。
 つまりFランク冒険者の俺では逆立ちしても勝ち目が無い相手だということである。
 因みに銀髪黒眼で深紅の口紅が印象的な見た目をしており、物凄く美人ではあるが、いつも見下し蔑む目で俺を見てくる恐怖の対象でもあるのだ。

 このようにエリザの情報を回想していると、突然その本人から問い掛けられ、嫌な予感がしながらもその問いに答えることに。

「ねぇ、こんな所で何をしてるの?」

「ど、どういうことですか……?」

「なんでこんなところで油を売ってんのってことよ!」

「な、なんでって……き、今日はここで大事な話があるとい、言ってましたよね……?」

(も、もしかして、自分が言ったことを忘れてる?)

 疑問に思いながらも怖くて口には出せなかった。

「はぁ? 誰もココだなんて言ってないんだけどぉ?」

「!? ど、ど、どういうことですか!?」

「ふふっ、実はね? 指定場所はーー」

 どうやらエリザに騙されていたようだ。
 指定した場所はココではなく、ココから全速力で駆けても5分は掛かる場所にある、古く寂れた酒場らしい。だが、指定時間まで残り2分しか……


『……クスッ、クスクスッ……無能が……』

 エリザやその場にいた冒険者達が一斉に嘲笑い出した。
 その時、周りにいる奴ら全員の顔が悪魔のような表情に見えて、再び恐怖を思い出す。
 しかし、それ以上に「負けたくない!」という感情が芽生え、そして一気に湧き上がり、臆している場合ではないと思い立ち、透かさず行動に移す。

「くそっ、なんでこんな意地悪をするんだ!! 一体、俺が何をしたっていうんだよ!?」

 憤りと悔しさを言葉に乗せながら出入口を勢いよく押し開け、早急に冒険者ギルドから飛び出し酒場へ向けて駆け出した。

「きっと、あの人達は俺が間に合わないと思っているハズだ。確かにもう……でも、俺はまだ諦めない!」

 再度ニカナを握り締め、全速力で駆け続ける。

 怖いけど、エリザからの悪意ある意地悪には絶対に負けたくない! そのような強く固い決意を心に秘めて、再び駆け抜けていった……
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