6 / 24
九月某日【或る夜の話】蓮見
しおりを挟む
芯の減ったシャープペンシルを静かに机に置いた。今日の分の勉強は終わり。今日もよく頑張った。ノートとテキストを閉じて背伸びをひとつする。デスクライトを消すと部屋は落ち着いた明るさになった。
ずっと伏せておいてあったスマートフォンの時計はもうすぐ日付が変わるところだった。
チャットアプリを立ち上げる。連絡先を交換したばかりの鴫野のアカウントはすぐに見つかった。
『もう寝た?』
メッセージを送信すると、すぐに既読がついて返事が来た。
『まだ起きてます』
それだけ返ってきた。
別に何か話したいわけじゃなかった。ただなんとなく、反応が見たくてメッセージを送ってみただけだった。
『そっか、おやすみ』
早く寝ろよ。そう思いながらメッセージを送る。
『おやすみなさい』
律儀に返事が返ってきた。満足してアプリを閉じる。
勢いでやった後輩、鴫野とセフレになった。単純に、体の相性がいい気がしたからだ。
別に顔は悪くないし、体も俺好みだった。何より、好意的で献身的だった。
セフレでいいと思っていたけど、鴫野は彼氏になるつもりらしい。
まあ、悪くない。悪くないと思う。
鴫野に不満があるわけじゃない。
俺の気持ちの問題だ。
絶対ハマる。そうなる自信しかない。だから、ちゃんと向き合うのが怖かった。
入れ込んで、離れたくなくなって、振られるのはもう嫌だった。
それでも、始まったばかりのやりとりを思い出して頬が緩む。少なからず、鴫野のことは気に入っていた。
ずっと伏せておいてあったスマートフォンの時計はもうすぐ日付が変わるところだった。
チャットアプリを立ち上げる。連絡先を交換したばかりの鴫野のアカウントはすぐに見つかった。
『もう寝た?』
メッセージを送信すると、すぐに既読がついて返事が来た。
『まだ起きてます』
それだけ返ってきた。
別に何か話したいわけじゃなかった。ただなんとなく、反応が見たくてメッセージを送ってみただけだった。
『そっか、おやすみ』
早く寝ろよ。そう思いながらメッセージを送る。
『おやすみなさい』
律儀に返事が返ってきた。満足してアプリを閉じる。
勢いでやった後輩、鴫野とセフレになった。単純に、体の相性がいい気がしたからだ。
別に顔は悪くないし、体も俺好みだった。何より、好意的で献身的だった。
セフレでいいと思っていたけど、鴫野は彼氏になるつもりらしい。
まあ、悪くない。悪くないと思う。
鴫野に不満があるわけじゃない。
俺の気持ちの問題だ。
絶対ハマる。そうなる自信しかない。だから、ちゃんと向き合うのが怖かった。
入れ込んで、離れたくなくなって、振られるのはもう嫌だった。
それでも、始まったばかりのやりとりを思い出して頬が緩む。少なからず、鴫野のことは気に入っていた。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
絶対にお嫁さんにするから覚悟してろよ!!!
toki
BL
「ていうかちゃんと寝てなさい」
「すいません……」
ゆるふわ距離感バグ幼馴染の読み切りBLです♪
一応、有馬くんが攻めのつもりで書きましたが、お好きなように解釈していただいて大丈夫です。
作中の表現ではわかりづらいですが、有馬くんはけっこう見目が良いです。でもガチで桜田くんしか眼中にないので自分が目立っている自覚はまったくありません。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/110931919)

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ
雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。
浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。
攻め:浅宮(16)
高校二年生。ビジュアル最強男。
どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。
受け:三倉(16)
高校二年生。平凡。
自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。


家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!
灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。
何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。
仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。
思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。
みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。
※完結しました!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる