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期待*

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「あ、う」

 覆い被さるようにしていた桐野が身体を起こし、体を下にずらした。
 真山は離れた温もりを目で追う。すぐそばにいるのに、少しでも身体が離れるのはなんだか不安だった。
 真山の足元に陣取った桐野の手が、真山が擦り合わせた膝を優しく開く。
 真山は息を呑んだ。

 桐野にされるがまま、勃ち上がり震える昂りも、期待にひくつく窄まりも、すべて桐野の前に晒される。
 あられもない姿を桐野が見ていると思うと、真山の身体は勝手に熱を上げていく。
 表情を歪め羞恥に肌を染める真山を見て、桐野は嬉しそうに目を細めた。

「慎、僕しか見ていない。僕にだけ、見せてくれ」

 熱っぽく囁かれ、真山の腰が震えた。昂る花芯の先端からは透明な蜜が零れ、ひくつく薄い腹の上に垂れ落ちた。
 堪え性のない身体を見られるのは堪らなく恥ずかしいのに、桐野が表情を綻ばせるのが嬉しくて、真山は身体を震わせながら全てを晒した。
 柔らかくもない骨張った身体を、はしたなく反応する身体を、桐野は愛おしげにその瞳に映す。

「そ、いち」

 羞恥と歓喜が混ざり合い、零した声が揺れる。
 笑みを浮かべる桐野は、真山の下腹に顔を近づけていく。
 何をされるのか察して、真山は目が離せなかった。桐野に口で愛されるのは堪らなく幸せだと知っている。まもなく訪れるであろう快感に、密やかに喉を鳴らした。
 震え、蜜を零す昂りに、とろけるような唇が触れる。

「ふ、ぅ、そ、いち」

 熱い唇が、見せつけるようにゆっくりと真山の昂りを呑み込んでいく。
 腰が溶けるくらい気持ちよくて、真山は吐息を震わせた。

「あ、ぅ」

 熱い粘膜が真山を包む。熱く濡れる舌と粘膜は、否応無しに真山を高めていった。
 真山の瞳は劣情に濡れ、挑発するような桐野の視線を受け止める。
 濡れた音を立てて、真山の屹立が桐野の唇を出入りする。
 唾液を絡めて擦られ、生まれる粘度の高い快感に真山は息を詰めた。

「ッ、そ、ち、きもちい」

 緩急をつけた桐野が頭を上下させるのに合わせて、真山は腰を揺らす。
 桐野の頭を押さえつけて思い切り腰を振りたい衝動をなんとか堪えて、真山は桐野に合わせて緩慢な動きを繰り返す。身体の芯が甘く痺れて仕方ない。好きに動けない分、腹の底にもどかしさが募って、焦らされているようで余計に昂ってしまう。
 そんな真山に、桐野は満足げな視線を投げて寄越す。

「も、いく、から」

 真山が桐野の柔らかな髪を梳く。湧き上がる衝動に指が震えた。気を抜いたら、桐野の頭を力ずくで押さえつけてしまいそうだった。
 あくまで自分は雄なのだと思い出して、真山は苦笑いする。
 絡む唾液ごと張り詰めたものを吸い上げられ、真山は吐精の予感に背を反らし、腰を突き出す。

「あ、っく」

 細い管を駆け上がる熱いものに、思わず声が上がる。桐野の口の中で脈打ち、真山は呆気なく果てた。放たれた白濁が温かな桐野の口の中に何度も打ち付け、溜まっていく。

「は、あ」

 桐野が搾り取るように頭を動かす。吐精したばかりで敏感なところを柔く擦られて、真山は甘い声を上げた。
 桐野の喉が小さく音を立てて、真山が出したものを飲み込んだようだった。
 何度されても、こればかりは慣れない。そんなもの飲まなくてもいいのにという気持ちと、飲んでくれて嬉しいという気持ちが綯い交ぜになって、胸がきゅうっと締め付けられる。

「慎、いっぱい出せたな」

 桐野が口を離し、白く汚れた唇を舐めてみせる。その様があまりに淫靡で、真山は吐精の余韻に揺られながら息を呑んだ。
 鼓動が騒ぎ立て、過熱した肌には汗が滲む。

「っ、そ、いち、はやく」

 煽られるまま、真山は性急に続きをねだってしまう。溶けた頭では恥じらう気持ちはどこかへ追いやられ、もう快感のことしか考えられなかった。
 期待にひくつき、中に含んだとろみを滲ませる真山の後孔に、桐野の指先が触れた。

「ここ、だろう?」

 潤んだ後孔を桐野の指が撫でる。皺を確かめ、溢れるぬめりを塗り広げるように撫でられると、くすぐったくて余計にひくつかせてしまう。
 揶揄うように触れては離れるのを繰り返し、桐野の指先は潤んだ真山の蕾を優しく綻ばせていく。

「っう、そ、ち」

 しゃぶりついて甘える真山の蕾へ、桐野はそっと指先を埋めた。
 異物感ははじめだけで、熱い粘膜を擦られると、真山の中はすぐに快感を拾い始める。
 桐野は覚えているのだろう。探るように動く指先はすぐにしこりを見つけた。
 そこを優しくいじめるために、中を探る指が二本に増やされる。
 桐野の指で挟むようにじっくりと撫でられ、生まれる濃い快感が真山を苛む。再び芯を持つ真山の花芯は緩く反り、震えた。

「っう、また、いく」

 自分ばかり吐き出していて悔しいのに、桐野に与えられる快感には抗えない。
 眉を寄せる真山の視線を受け止めて、桐野は何もかも許すように優しく笑った。

「何度でもいってくれ」

 熱を孕んだ桐野の囁きは真山の鼓膜を震わせ、真山の身体に火をつける。

「慎、君の全部を見せてほしい。嫌いになんてならないから」
「ん」

 真山は桐野の言葉を噛み締め、頷いた。
 腹に埋まった桐野の指先は膨らんだしこりへの愛撫を止めない。
 挟まれ逃げられないしこりを押し潰すように撫でられ、身体の芯を駆け抜ける甘い痺れに真山は声を引き攣らせた。

「っ、いく、そぉ、いち、っあ」

 はしたなく腰を突き上げ、背をしならせ、高みに押し上げられた真山は瞳を濡らして啼く。
 天を仰ぐ昂りは脈打ち何度も白濁を吐いて、強張った身体が脱力してシーツに沈んだ。真山の痩せた腹の上には白く濁った水たまりができていた。
 だらしなく投げ出され震える脚の間、桐野は満足げに真山を見下ろしていた。

「慎、たくさんいけたな」

 優しく澄んだ声に言われると、真山の胸は温かな幸福感で満ちる。
 桐野の引き締まった腹の下、少しも触っていないのにすっかり逞しく育った桐野の猛りに真山の視線は吸い寄せられた。
 桐野の雄の象徴に真山は息を呑む。
 血管が浮き上がる逞しい幹はしゃくりあげ、丸く張った先端の裂け目からは透明な雫が溢れて張り出した雁首の段差まで垂れ落ちていた。
 これからこれを受け入れるのだと思うと、真山は期待にはしたなく喉を鳴らした。
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