22 / 54
恋人という関係
しおりを挟む
チェックアウトを済ませたのは、午前十時を過ぎた頃だった。煌びやかなロビーともこれでお別れかと思うと真山の胸には少しだけ寂しさが残る。
真山とソウイチが連れ立ってエントランスを出ると、外はすっかり明るくなって、春らしい暖かな陽射しが降り注いでいた。空は晴れ、白い雲が見える。頬を撫でる風は柔らかく、家が近くなら歩いて帰りたくなるようないい天気だった。
「マヤくん、この後はどうするんだ」
隣にいるスーツ姿のソウイチが真山を見上げた。
幸い今日は何もない日で、真山は寄り道でもしながらのんびり帰ろうと思っていた。
「え、帰るけど」
「もしよかったら、うちに来ないか」
「っ、え」
ソウイチからの突然の提案に、真山は思わず声を上げていた。
もうサービスのことを気にせず会える。躊躇う必要もないのだが、突然のことに真山はあからさまに動揺していた。
「少し話をしたいんだが、いいだろうか」
緊張した面持ちのソウイチにつられて、真山の鼓動が早まる。
「ん、いいよ」
専属契約が成立したこの状況で、ソウイチの家に行くということがどういうことか、わからないわけではない。
ずっと夢のままだった世界が現実のものになるということに戸惑いながらも、秘めやかに湧く期待に促されて真山は頷いた。
ソウイチに案内されるままついていった先はホテルの駐車場だった。
そこにあったのは、黒い高級外車のSUVだった。車にさほど詳しくない真山には正確な値段はわからないが、とにかく高いことだけはわかる。
「さあ、乗ってくれ」
圧倒された真山はソウイチに言われるまま助手席に乗り込んだ。
ソウイチの車は乗り心地も別格だった。
ソウイチの運転する車はゆっくりと走りだす。視界の高さと振動のない滑らかな乗り心地も相俟って、ふわふわと飛んでいるようだった。
車窓から見える都会の狭い空には白い雲が浮かんでいる。流れていくビル街の景色も、なんだか知らない世界のような気がした。
街路樹の桜が咲いている。煌めくように花びらが散るのを眺め、そんな時期だったと思い出す。
真山はまだどこか夢見心地で、これさえ夢の続きなのではないかと思った。頬を摘んでみると鈍く痛むので、どうも夢ではないようだった。
車はしばらく走った後、タワーマンションの地下駐車場に滑り込んだ。どうやらここがソウイチの自宅のようだった。
車を降りた二人は居住者専用エリアに入ってエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターひとつとっても、先ほどまでいたホテルほどではないが、モダンな内装で粗末さはない。
「すごいね」
独り言のように言った真山を、不思議そうにソウイチが見上げた。
「エレベーターが、か?」
「ううん。車もだし、マンションも。でかいんでしょ?」
「まあ、そう、だな」
「そーいちさん、こんなとこに住んでんの?」
「ああ」
ソウイチにとっては当たり前のことなのだろうが、真山が言うとソウイチ少しだけ嬉しそうに表情を緩めた。
凛とした表情が時々柔らかく緩むのが、たまらなく好きだった。これを自分だけに見せてくれているのかと思うと、真山の胸はざわめく。
二人を乗せたエレベーターは音もなく上昇を続けて、程なくして上層階に着いた。
内廊下のマンションは初めてだった。カーペットフロアの廊下はホテルのようで、真山は視線をあてもなく彷徨わせる。フロアには部屋は多くなさそうだった。
ソウイチに案内されたのは、その中の一室。黒に近いグレーの玄関ドアも高そうだった。
ソウイチは鍵を開けるとドアを開けてくれた。
「どうぞ」
「お邪魔します」
通された玄関から真山は圧倒された。
広くて、白い。玄関だけで真山の部屋と同じくらいありそうだった。左右の壁には天井まである収納、玄関脇にはなんと呼ぶのかわからないが収納用の部屋もある。
靴を脱いであがると、花のようないい匂いがした。ルームフレグランスの香りだろうが、これもきっと高いのだろう。
真山はリビングに通された。パーティーでもできそうな広いリビングは、真山の部屋がいくつ入るのかわからない。置いてあるのはモダンなデザインの黒い革張りのソファとテーブルのセット、観葉植物、それからテレビくらいで、どこか殺風景な印象を受けた。
テレビは真山の部屋にあるものの四倍くらいの大きさだった。家具以外の物は思ったより少ない。家具が整然と並んだ、手入れされて埃ひとつ見当たらない部屋だった。
生活感の少ない整然とした部屋を眺めて呆けていると、ソウイチの手がそっと真山の背に触れた。
「マヤくん」
「あ、ごめん、見惚れてた」
「どうぞ、座ってくれ」
微笑むソウイチに促されるまま、真山は二人掛けのソファに座った。ソウイチはリビングの奥のキッチンに向かった。
リビングは広かった。ここだけで真山の部屋がいくつ入るだろう。奥にはキッチンがあって、ソウイチの姿が見えた。
座ったソファは柔らかく、真山の身体をしっかりと受け止めてくれた。滑らかな手触りの革のソファは、きっとこれもお高いのだろう。
そうやって初めて訪れたソウイチの家を満喫しているうちに、ソウイチがキッチンから戻ってきた。その手には、湯気のゆらめくマグカップがあった。
「すまない、あまり人を上げないからこんなものしかなくて」
真山の前に置かれたのはのコーヒーの入ったマグカップだった。
コーヒーのいい匂いがする。インスタントではなく、ちゃんと淹れたコーヒーの香りだ。
質素だが、質の良い暮らしが窺える。
「ありがとう」
真山の隣にソウイチが座る。二人掛けのソファがあるだけなので必然的にそうなるのだが、真山はなんとなく身を硬くした。
「マヤくん、名前を聞いていいだろうか」
隣に座ったソウイチが真っ直ぐに真山を見た。
「名前?」
「マヤくんが本名なのか?」
真山はようやくソウイチの言っている意味を理解した。
「真山慎だよ」
「ああ、だからマヤ、か」
「そう。登録するのはかわいい名前の方がいいらしいから」
「そうだな、かわいい名前だ」
くすくすと控え目に笑うソウイチは年上だとわかっていても愛らしい。中性的ではあるがちゃんと男だとわかる顔立ちをしているから、仕草がかわいいのだろう。
「俺は桐野宗一という」
ソウイチはスーツの内ポケットから革の名刺ケースを取り出した。そこから一枚名刺を抜き取り、真山に差し出した。名刺にはキリノグループと書かれている。聞いたことがある。不動産関連の有名企業だ。
真山は名刺を両手で受け取った。
そこには同じ名前が書かれていて、その上には、代表取締役社長という肩書きが見える。
「社長……ていうか宗一って、まんま使ってたの」
「あぁ。そういうものじゃないのか」
背筋を伸ばしてソファに浅く座る桐野は真面目な顔で、さも当たり前のことのように言った。
「いや、みんな身元バレるのとか嫌がるから、偽名というか、ニックネームが多いんじゃないかな」
「そうなのか……」
桐野は初めて知ったと言わんばかりに綺麗な指先で顎を撫でた。意外と世間知らずなところが垣間見えて、真山は思わず笑みをこぼした。
「ふふ、そーいちさんて、意外と抜けてるね」
真山につられて桐野の表情も綻ぶ。
「真山くん」
「慎でいいよ」
「慎くん」
桐野の澄んだ声で呼ばれると、自然に表情が緩んだ。その声がこれからずっと、自分を呼んでくれる。そう思うと真山の胸は温かく優しいもので満ちるのだった。
真山とソウイチが連れ立ってエントランスを出ると、外はすっかり明るくなって、春らしい暖かな陽射しが降り注いでいた。空は晴れ、白い雲が見える。頬を撫でる風は柔らかく、家が近くなら歩いて帰りたくなるようないい天気だった。
「マヤくん、この後はどうするんだ」
隣にいるスーツ姿のソウイチが真山を見上げた。
幸い今日は何もない日で、真山は寄り道でもしながらのんびり帰ろうと思っていた。
「え、帰るけど」
「もしよかったら、うちに来ないか」
「っ、え」
ソウイチからの突然の提案に、真山は思わず声を上げていた。
もうサービスのことを気にせず会える。躊躇う必要もないのだが、突然のことに真山はあからさまに動揺していた。
「少し話をしたいんだが、いいだろうか」
緊張した面持ちのソウイチにつられて、真山の鼓動が早まる。
「ん、いいよ」
専属契約が成立したこの状況で、ソウイチの家に行くということがどういうことか、わからないわけではない。
ずっと夢のままだった世界が現実のものになるということに戸惑いながらも、秘めやかに湧く期待に促されて真山は頷いた。
ソウイチに案内されるままついていった先はホテルの駐車場だった。
そこにあったのは、黒い高級外車のSUVだった。車にさほど詳しくない真山には正確な値段はわからないが、とにかく高いことだけはわかる。
「さあ、乗ってくれ」
圧倒された真山はソウイチに言われるまま助手席に乗り込んだ。
ソウイチの車は乗り心地も別格だった。
ソウイチの運転する車はゆっくりと走りだす。視界の高さと振動のない滑らかな乗り心地も相俟って、ふわふわと飛んでいるようだった。
車窓から見える都会の狭い空には白い雲が浮かんでいる。流れていくビル街の景色も、なんだか知らない世界のような気がした。
街路樹の桜が咲いている。煌めくように花びらが散るのを眺め、そんな時期だったと思い出す。
真山はまだどこか夢見心地で、これさえ夢の続きなのではないかと思った。頬を摘んでみると鈍く痛むので、どうも夢ではないようだった。
車はしばらく走った後、タワーマンションの地下駐車場に滑り込んだ。どうやらここがソウイチの自宅のようだった。
車を降りた二人は居住者専用エリアに入ってエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターひとつとっても、先ほどまでいたホテルほどではないが、モダンな内装で粗末さはない。
「すごいね」
独り言のように言った真山を、不思議そうにソウイチが見上げた。
「エレベーターが、か?」
「ううん。車もだし、マンションも。でかいんでしょ?」
「まあ、そう、だな」
「そーいちさん、こんなとこに住んでんの?」
「ああ」
ソウイチにとっては当たり前のことなのだろうが、真山が言うとソウイチ少しだけ嬉しそうに表情を緩めた。
凛とした表情が時々柔らかく緩むのが、たまらなく好きだった。これを自分だけに見せてくれているのかと思うと、真山の胸はざわめく。
二人を乗せたエレベーターは音もなく上昇を続けて、程なくして上層階に着いた。
内廊下のマンションは初めてだった。カーペットフロアの廊下はホテルのようで、真山は視線をあてもなく彷徨わせる。フロアには部屋は多くなさそうだった。
ソウイチに案内されたのは、その中の一室。黒に近いグレーの玄関ドアも高そうだった。
ソウイチは鍵を開けるとドアを開けてくれた。
「どうぞ」
「お邪魔します」
通された玄関から真山は圧倒された。
広くて、白い。玄関だけで真山の部屋と同じくらいありそうだった。左右の壁には天井まである収納、玄関脇にはなんと呼ぶのかわからないが収納用の部屋もある。
靴を脱いであがると、花のようないい匂いがした。ルームフレグランスの香りだろうが、これもきっと高いのだろう。
真山はリビングに通された。パーティーでもできそうな広いリビングは、真山の部屋がいくつ入るのかわからない。置いてあるのはモダンなデザインの黒い革張りのソファとテーブルのセット、観葉植物、それからテレビくらいで、どこか殺風景な印象を受けた。
テレビは真山の部屋にあるものの四倍くらいの大きさだった。家具以外の物は思ったより少ない。家具が整然と並んだ、手入れされて埃ひとつ見当たらない部屋だった。
生活感の少ない整然とした部屋を眺めて呆けていると、ソウイチの手がそっと真山の背に触れた。
「マヤくん」
「あ、ごめん、見惚れてた」
「どうぞ、座ってくれ」
微笑むソウイチに促されるまま、真山は二人掛けのソファに座った。ソウイチはリビングの奥のキッチンに向かった。
リビングは広かった。ここだけで真山の部屋がいくつ入るだろう。奥にはキッチンがあって、ソウイチの姿が見えた。
座ったソファは柔らかく、真山の身体をしっかりと受け止めてくれた。滑らかな手触りの革のソファは、きっとこれもお高いのだろう。
そうやって初めて訪れたソウイチの家を満喫しているうちに、ソウイチがキッチンから戻ってきた。その手には、湯気のゆらめくマグカップがあった。
「すまない、あまり人を上げないからこんなものしかなくて」
真山の前に置かれたのはのコーヒーの入ったマグカップだった。
コーヒーのいい匂いがする。インスタントではなく、ちゃんと淹れたコーヒーの香りだ。
質素だが、質の良い暮らしが窺える。
「ありがとう」
真山の隣にソウイチが座る。二人掛けのソファがあるだけなので必然的にそうなるのだが、真山はなんとなく身を硬くした。
「マヤくん、名前を聞いていいだろうか」
隣に座ったソウイチが真っ直ぐに真山を見た。
「名前?」
「マヤくんが本名なのか?」
真山はようやくソウイチの言っている意味を理解した。
「真山慎だよ」
「ああ、だからマヤ、か」
「そう。登録するのはかわいい名前の方がいいらしいから」
「そうだな、かわいい名前だ」
くすくすと控え目に笑うソウイチは年上だとわかっていても愛らしい。中性的ではあるがちゃんと男だとわかる顔立ちをしているから、仕草がかわいいのだろう。
「俺は桐野宗一という」
ソウイチはスーツの内ポケットから革の名刺ケースを取り出した。そこから一枚名刺を抜き取り、真山に差し出した。名刺にはキリノグループと書かれている。聞いたことがある。不動産関連の有名企業だ。
真山は名刺を両手で受け取った。
そこには同じ名前が書かれていて、その上には、代表取締役社長という肩書きが見える。
「社長……ていうか宗一って、まんま使ってたの」
「あぁ。そういうものじゃないのか」
背筋を伸ばしてソファに浅く座る桐野は真面目な顔で、さも当たり前のことのように言った。
「いや、みんな身元バレるのとか嫌がるから、偽名というか、ニックネームが多いんじゃないかな」
「そうなのか……」
桐野は初めて知ったと言わんばかりに綺麗な指先で顎を撫でた。意外と世間知らずなところが垣間見えて、真山は思わず笑みをこぼした。
「ふふ、そーいちさんて、意外と抜けてるね」
真山につられて桐野の表情も綻ぶ。
「真山くん」
「慎でいいよ」
「慎くん」
桐野の澄んだ声で呼ばれると、自然に表情が緩んだ。その声がこれからずっと、自分を呼んでくれる。そう思うと真山の胸は温かく優しいもので満ちるのだった。
5
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
それが運命というのなら
藤美りゅう
BL
元不良執着α×元不良プライド高いΩ
元不良同士のオメガバース。
『オメガは弱い』
そんな言葉を覆す為に、天音理月は自分を鍛え上げた。オメガの性は絶対だ、変わる事は決してない。ならば自身が強くなり、番など作らずとも生きていける事を自身で証明してみせる。番を解消され、自ら命を絶った叔父のようにはならない──そう理月は強く決心する。
それを証明するように、理月はオメガでありながら不良の吹き溜まりと言われる「行徳学園」のトップになる。そして理月にはライバル視している男がいた。バイクチーム「ケルベロス」のリーダーであるアルファの宝来将星だ。
昔からの決まりで、行徳学園とケルベロスは決して交わる事はなかったが、それでも理月は将星を意識していた。
そんなある日、相談事があると言う将星が突然自分の前に現れる。そして、将星を前にした理月の体に突然異変が起きる。今までなった事のないヒートが理月を襲ったのだ。理性を失いオメガの本能だけが理月を支配していき、将星に体を求める。
オメガは強くなれる、そう信じて鍛え上げてきた理月だったが、オメガのヒートを目の当たりにし、今まで培ってきたものは結局は何の役にも立たないのだと絶望する。将星に抱かれた理月だったが、将星に二度と関わらないでくれ、と懇願する。理月の左手首には、その時将星に噛まれた歯型がくっきりと残った。それ以来、理月が激しくヒートを起こす事はなかった。
そして三年の月日が流れ、理月と将星は偶然にも再会を果たす。しかし、将星の隣には既に美しい恋人がいた──。
アイコンの二人がモデルです。この二人で想像して読んでみて下さい!
※「仮の番」というオリジナルの設定が有ります。
※運命と書いて『さだめ』と読みます。
※pixivの「ビーボーイ創作BL大賞」応募作品になります。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。


両片思いのI LOVE YOU
大波小波
BL
相沢 瑠衣(あいざわ るい)は、18歳のオメガ少年だ。
両親に家を追い出され、バイトを掛け持ちしながら毎日を何とか暮らしている。
そんなある日、大学生のアルファ青年・楠 寿士(くすのき ひさし)と出会う。
洋菓子店でミニスカサンタのコスプレで頑張っていた瑠衣から、売れ残りのクリスマスケーキを全部買ってくれた寿士。
お礼に彼のマンションまでケーキを運ぶ瑠衣だが、そのまま寿士と関係を持ってしまった。
富豪の御曹司である寿士は、一ヶ月100万円で愛人にならないか、と瑠衣に持ち掛ける。
少々性格に難ありの寿士なのだが、金銭に苦労している瑠衣は、ついつい応じてしまった……。

キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる