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とろける琥珀と石油王
新しい楽しみ
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ルイとともに起き出したユーシーは、ジェイを抱えてキッチンに行くと真っ先にアダムに礼を言った。
「アダム、ありがとう」
「元気になったようでよかったです。朝食は食べられそうですか」
「うん」
アダムが微笑む。
三人揃って席について食事をする。ジェイも一緒だ。
「家の案内がまだでしたね。食事が終わったらしましょうか」
「うん」
「それから、街を見に行きたければ、案内しますよ」
ユーシーはちらりとルイを見てからアダムを見た。勝手に表に出ても大丈夫なのかと思ったからだ。
「行っておいで」
ルイは穏やかに微笑む。
「困ったことがあったら、アダムに言ってね」
「ん、わかった」
「サボってた分の仕事をしないといけないから暫く忙しいけど、夜は一緒に過ごそう」
香港にいる間、ルイは結構な頻度で構ってくれた。やっぱりさぼってたのかとユーシーは表情を緩めた。
朝食の後、ユーシーはアダムと片付けを一緒にして、家の案内をしてもらった。
家の作りはだいたい把握した。ユーシーが香港で住んでいた家に比べたら随分と大きな家だった。二階にはルイの部屋とユーシーの部屋、ルイの仕事部屋と、他に空き部屋が二つとトイレ。一階にはバスルームとトイレと、アダムの部屋、キッチンとダイニングとリビングと、ピアノのある部屋、それからガレージだ。
明るくて広い家は、ユーシーの知らない世界だった。
広いリビングには、ソファがある。ユーシーとルイとアダムと、ジェイが座ってもまだ余裕がある。案内が終わってリビングに戻ってきたユーシーとアダムはソファに座った。
「ルイの仕事が落ち着いたら、映画でも見ましょうか。ユーシーは映画は観ますか」
「うん」
「それならよかった。ルイも喜びます」
映画鑑賞は、ユーシーの数少ない趣味の一つだ。香港にいた時は小さなスマートフォンの画面で観ることの方が多かったが、ここでは大きなテレビの画面で観られるようだった。
いつも、映画を見るのはひとりの時だった。誰かと映画を観るなんて、時々ジンが一緒に観てくれた以外に経験はない。
「三人で観ましょうか」
「うん」
ここでの楽しみがひとつできて、ユーシーは胸が温かくなった。
案内が終わった後、ユーシーは大事をとってリビングでのんびりと過ごした。
ジェイと一緒にリビングのソファで眠って、陽がだいぶ傾いてきた頃。
「ユーシー」
心地好い微睡みから呼び戻す穏やかな声がした。瞼を持ち上げる。一緒に眠っていたジェイは、どこかへ行ってしまったようだった。代わりに、毛布がかけられていた。きっとアダムがしてくれたのだろう。
「アダム……おはよ」
「よく眠れましたか」
「うん」
ユーシーが身体を起こす。ソファですっかり眠ってしまっていたようだった。
「行きましょうか。晩御飯の買い出しもしないといけないので」
ユーシーがソファから立ち上がる。リビングから見える窓の外は、もう夕暮れが近いようだった。
「アダム、ありがとう」
「元気になったようでよかったです。朝食は食べられそうですか」
「うん」
アダムが微笑む。
三人揃って席について食事をする。ジェイも一緒だ。
「家の案内がまだでしたね。食事が終わったらしましょうか」
「うん」
「それから、街を見に行きたければ、案内しますよ」
ユーシーはちらりとルイを見てからアダムを見た。勝手に表に出ても大丈夫なのかと思ったからだ。
「行っておいで」
ルイは穏やかに微笑む。
「困ったことがあったら、アダムに言ってね」
「ん、わかった」
「サボってた分の仕事をしないといけないから暫く忙しいけど、夜は一緒に過ごそう」
香港にいる間、ルイは結構な頻度で構ってくれた。やっぱりさぼってたのかとユーシーは表情を緩めた。
朝食の後、ユーシーはアダムと片付けを一緒にして、家の案内をしてもらった。
家の作りはだいたい把握した。ユーシーが香港で住んでいた家に比べたら随分と大きな家だった。二階にはルイの部屋とユーシーの部屋、ルイの仕事部屋と、他に空き部屋が二つとトイレ。一階にはバスルームとトイレと、アダムの部屋、キッチンとダイニングとリビングと、ピアノのある部屋、それからガレージだ。
明るくて広い家は、ユーシーの知らない世界だった。
広いリビングには、ソファがある。ユーシーとルイとアダムと、ジェイが座ってもまだ余裕がある。案内が終わってリビングに戻ってきたユーシーとアダムはソファに座った。
「ルイの仕事が落ち着いたら、映画でも見ましょうか。ユーシーは映画は観ますか」
「うん」
「それならよかった。ルイも喜びます」
映画鑑賞は、ユーシーの数少ない趣味の一つだ。香港にいた時は小さなスマートフォンの画面で観ることの方が多かったが、ここでは大きなテレビの画面で観られるようだった。
いつも、映画を見るのはひとりの時だった。誰かと映画を観るなんて、時々ジンが一緒に観てくれた以外に経験はない。
「三人で観ましょうか」
「うん」
ここでの楽しみがひとつできて、ユーシーは胸が温かくなった。
案内が終わった後、ユーシーは大事をとってリビングでのんびりと過ごした。
ジェイと一緒にリビングのソファで眠って、陽がだいぶ傾いてきた頃。
「ユーシー」
心地好い微睡みから呼び戻す穏やかな声がした。瞼を持ち上げる。一緒に眠っていたジェイは、どこかへ行ってしまったようだった。代わりに、毛布がかけられていた。きっとアダムがしてくれたのだろう。
「アダム……おはよ」
「よく眠れましたか」
「うん」
ユーシーが身体を起こす。ソファですっかり眠ってしまっていたようだった。
「行きましょうか。晩御飯の買い出しもしないといけないので」
ユーシーがソファから立ち上がる。リビングから見える窓の外は、もう夕暮れが近いようだった。
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