34 / 44
アラナギ編
青い月夜に咲く2
しおりを挟む
「サクヤ、入れるぞ」
受け入れることを覚えたサクヤの胎に、アラナギの猛りがゆっくりと入ってくる。
「ふあ、あ、きもちい、アラナギ」
隘路を拓いていく逞しいアラナギの昂りは、柔らかなはらわたを擦り、サクヤに止めどなく快感を与えた。
「アラナギ、すき、すき」
縋り付くサクヤを身体の下に隠すようにアラナギが覆い被さる。サクヤの視界に映るのは、アラナギだけだった。
密着した身体をゆったりと揺すられながら、サクヤはアラナギを見上げる。
「サクヤ、お前の魂まで、俺の色にしてやる」
アラナギは飢えた獣のように唇を舐めた。低く穏やかでいて、獰猛なアラナギの声にサクヤの胸が震えた。もうとっくにそうなっているのにとサクヤは思う。
波立つ海に落ちて名前をもらったあの日から、アラナギはずっとサクヤの心をとらえて離さなかった。もう身も心も、魂までもがアラナギのものだ。
あの日、名をくれたアラナギが言った、もうどこにも行けないという意味がようやくわかった。骨の髄どころか、魂までもがアラナギに愛され染められていた。
「もう、とっくにそうなってるよ。俺は、あんたのものだよ、アラナギ」
アラナギは少し驚いた顔をしたが、揺れた金色の瞳はすぐに甘やかに細められる。
「愛している。サクヤ」
「俺も」
互いの言葉を確かめるように唇が重なる。触れるだけでは済まず、深く重なり合って舌が絡む。アラナギの厚い舌は優しくサクヤの舌を掬い、唾液を混ぜる。
サクヤは甘えるようにアラナギの舌を追う。
絡め取られてきつく吸われて、思わず声が漏れる。
離れた唇は、それでも名残惜しげに吐息の混ざる距離でサクヤを呼ぶ。
「サクヤ」
奥を隔てる襞に、アラナギの先端が押しつけられる。
「ふあ、ふか、い」
「まだ、奥があるだろう」
サクヤの胎は、もう最奥までアラナギを迎えることを覚えてしまった。与えられる快感の荒波も知っている。
「っひ、ア」
自分を飲み込む悦楽の波を思って、サクヤは喉を引き攣らせた。
「開けてくれ、サクヤ」
ねだる声とともに、アラナギの先端が奥を隔てる肉襞をこじ開ける。
「っ、あ!」
腹が熱く濡れた。
痛みはなく、ただ神経を焼き切るような快感がサクヤの中を駆け巡る。
勝手に涙は溢れ、背はしなり、脚が跳ねる。
襞を越えた最奥で、アラナギはゆっくりとサクヤの胎深くまでその猛りをもぐりこませていった。
根元まで収まると、アラナギは優しく腰を揺する。アラナギのものにはらわたを捏ねられて、溺れるような快感にサクヤは甘く啼く。
「っあ! あら、なぎ、ひゃ、う」
搾り取るようにうねる胎へと、アラナギの精が注がれる。何度も脈打ち、アラナギの温もりを纏う精がサクヤの胎を満たしていく。
腹が、膨らむ。
精で満たされる胎を揺すられ、卵が脈打つのがわかる。
胎で、卵が大きくなっている。
「アラナギ、たまご、お、きく、な、て」
「お前の快楽を食っているからな」
アラナギに丸く張った腹を撫でられるだけで肌がざわめく。
「あ、う……ン」
「もっと、食わせてやってくれ、サクヤ」
アラナギの律動が始まる。はらわたを捏ねられ、柔らかな腸壁を擦られて、サクヤは狂おしいほどの快感に呑まれた。
歓喜する粘膜はアラナギをきつく食い締め、中に埋まったアラナギの輪郭をはっきりとさせる。
腹の中の卵は脈打ち、少しずつ大きくなっているのがわかる。
卵が一際大きく脈打って、ゆっくりと腹の中を転がり始める。
「ふあ、うまえぅ、あぁ、ぃ、れう、かぁ」
もう呂律も回らないサクヤは、それでも必死にアラナギに訴える。腹の中を、卵が降りてくる。
アラナギは胎を埋めるものをゆったりと引き抜く。それもまたサクヤには快感で、はしたなく腰を震わせた。
アラナギに拓かれた隘路を、卵が降りてくる。中を押し拡げながら降りてくる弾力なある柔らかな感触に、サクヤは吐息を荒げた。
拡がったサクヤの蕾から湿った音を立てて産まれ落ちる、粘液を纏った白い球体。
それは連なるように立て続けに産まれ、サクヤの脚の間に転がる。
「んう、あ」
最後の一つを産み落とし、サクヤは大きく胸を喘がせた。余韻で脚が震え、胎の奥はまだ甘く疼いている。
「サクヤ、上手に産めたな」
余韻に満たされ放心したたサクヤに寄り添い、アラナギは、慈しむようにまだ熱い頰を撫でる。
「あ……おれ……」
サクヤは惚けた声でアラナギを見上げる。
「ほら、これだ」
「あ……」
アラナギの手から渡されたのは、真っ白い、艶のある球体だった。手のひらに乗るくらいの大きさのそれは、青い月明かりを受けて青白い艶を放っている。
サクヤは手の上のそれを美しいと思った。
「アラナギ」
自分の腹から産まれた丸い卵が、愛おしいと思う。サクヤは瞳を濡らし、真っ白い卵を慈しむように撫でた。
「うれしい」
「きっとお前に似た愛らしい子が生まれる」
サクヤの艶やかな黒髪を撫で、アラナギが囁く。
サクヤはゆっくりと瞬きして、その表情を綻ばせた。
青い月夜、水底で美しく花開いた花嫁の魂は、海の神に永く深く愛される。花嫁の放つ金の卵は豊かな海を育み、やがて生まれる海祇の子を迎える。
青く深い水底で、海祇の営みは続く。
受け入れることを覚えたサクヤの胎に、アラナギの猛りがゆっくりと入ってくる。
「ふあ、あ、きもちい、アラナギ」
隘路を拓いていく逞しいアラナギの昂りは、柔らかなはらわたを擦り、サクヤに止めどなく快感を与えた。
「アラナギ、すき、すき」
縋り付くサクヤを身体の下に隠すようにアラナギが覆い被さる。サクヤの視界に映るのは、アラナギだけだった。
密着した身体をゆったりと揺すられながら、サクヤはアラナギを見上げる。
「サクヤ、お前の魂まで、俺の色にしてやる」
アラナギは飢えた獣のように唇を舐めた。低く穏やかでいて、獰猛なアラナギの声にサクヤの胸が震えた。もうとっくにそうなっているのにとサクヤは思う。
波立つ海に落ちて名前をもらったあの日から、アラナギはずっとサクヤの心をとらえて離さなかった。もう身も心も、魂までもがアラナギのものだ。
あの日、名をくれたアラナギが言った、もうどこにも行けないという意味がようやくわかった。骨の髄どころか、魂までもがアラナギに愛され染められていた。
「もう、とっくにそうなってるよ。俺は、あんたのものだよ、アラナギ」
アラナギは少し驚いた顔をしたが、揺れた金色の瞳はすぐに甘やかに細められる。
「愛している。サクヤ」
「俺も」
互いの言葉を確かめるように唇が重なる。触れるだけでは済まず、深く重なり合って舌が絡む。アラナギの厚い舌は優しくサクヤの舌を掬い、唾液を混ぜる。
サクヤは甘えるようにアラナギの舌を追う。
絡め取られてきつく吸われて、思わず声が漏れる。
離れた唇は、それでも名残惜しげに吐息の混ざる距離でサクヤを呼ぶ。
「サクヤ」
奥を隔てる襞に、アラナギの先端が押しつけられる。
「ふあ、ふか、い」
「まだ、奥があるだろう」
サクヤの胎は、もう最奥までアラナギを迎えることを覚えてしまった。与えられる快感の荒波も知っている。
「っひ、ア」
自分を飲み込む悦楽の波を思って、サクヤは喉を引き攣らせた。
「開けてくれ、サクヤ」
ねだる声とともに、アラナギの先端が奥を隔てる肉襞をこじ開ける。
「っ、あ!」
腹が熱く濡れた。
痛みはなく、ただ神経を焼き切るような快感がサクヤの中を駆け巡る。
勝手に涙は溢れ、背はしなり、脚が跳ねる。
襞を越えた最奥で、アラナギはゆっくりとサクヤの胎深くまでその猛りをもぐりこませていった。
根元まで収まると、アラナギは優しく腰を揺する。アラナギのものにはらわたを捏ねられて、溺れるような快感にサクヤは甘く啼く。
「っあ! あら、なぎ、ひゃ、う」
搾り取るようにうねる胎へと、アラナギの精が注がれる。何度も脈打ち、アラナギの温もりを纏う精がサクヤの胎を満たしていく。
腹が、膨らむ。
精で満たされる胎を揺すられ、卵が脈打つのがわかる。
胎で、卵が大きくなっている。
「アラナギ、たまご、お、きく、な、て」
「お前の快楽を食っているからな」
アラナギに丸く張った腹を撫でられるだけで肌がざわめく。
「あ、う……ン」
「もっと、食わせてやってくれ、サクヤ」
アラナギの律動が始まる。はらわたを捏ねられ、柔らかな腸壁を擦られて、サクヤは狂おしいほどの快感に呑まれた。
歓喜する粘膜はアラナギをきつく食い締め、中に埋まったアラナギの輪郭をはっきりとさせる。
腹の中の卵は脈打ち、少しずつ大きくなっているのがわかる。
卵が一際大きく脈打って、ゆっくりと腹の中を転がり始める。
「ふあ、うまえぅ、あぁ、ぃ、れう、かぁ」
もう呂律も回らないサクヤは、それでも必死にアラナギに訴える。腹の中を、卵が降りてくる。
アラナギは胎を埋めるものをゆったりと引き抜く。それもまたサクヤには快感で、はしたなく腰を震わせた。
アラナギに拓かれた隘路を、卵が降りてくる。中を押し拡げながら降りてくる弾力なある柔らかな感触に、サクヤは吐息を荒げた。
拡がったサクヤの蕾から湿った音を立てて産まれ落ちる、粘液を纏った白い球体。
それは連なるように立て続けに産まれ、サクヤの脚の間に転がる。
「んう、あ」
最後の一つを産み落とし、サクヤは大きく胸を喘がせた。余韻で脚が震え、胎の奥はまだ甘く疼いている。
「サクヤ、上手に産めたな」
余韻に満たされ放心したたサクヤに寄り添い、アラナギは、慈しむようにまだ熱い頰を撫でる。
「あ……おれ……」
サクヤは惚けた声でアラナギを見上げる。
「ほら、これだ」
「あ……」
アラナギの手から渡されたのは、真っ白い、艶のある球体だった。手のひらに乗るくらいの大きさのそれは、青い月明かりを受けて青白い艶を放っている。
サクヤは手の上のそれを美しいと思った。
「アラナギ」
自分の腹から産まれた丸い卵が、愛おしいと思う。サクヤは瞳を濡らし、真っ白い卵を慈しむように撫でた。
「うれしい」
「きっとお前に似た愛らしい子が生まれる」
サクヤの艶やかな黒髪を撫で、アラナギが囁く。
サクヤはゆっくりと瞬きして、その表情を綻ばせた。
青い月夜、水底で美しく花開いた花嫁の魂は、海の神に永く深く愛される。花嫁の放つ金の卵は豊かな海を育み、やがて生まれる海祇の子を迎える。
青く深い水底で、海祇の営みは続く。
16
お気に入りに追加
94
あなたにおすすめの小説








【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる