ぜんぶのませて

はち

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つがいになる日

熱い身体

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 吉井は、体の怠さと熱さに小さく呻いた。目を開けると、波打つシーツと散らばった羽鳥のインナーが見えた。気をやってからどれくらい経ったのかわからない。怠くて動きたくない。なのに、腹の底はずっと熱を持って疼いていた。
 吉井が小さく息を吐くと、熱を孕んだ吐息が唇を掠めていく。

「ほまれ」

 吉井が自分を呼ぶ声に視線だけ持ち上げると、羽鳥の姿が見えた。隣で水を飲んでいた羽鳥は、唇を重ねて、口に含んだ水を飲ませてくれた。
 羽鳥の温もりが移った水を喉を鳴らして飲み込むと、濡れた唇を拭われる。
 意識も少しだけ覚醒して、吉井は喉の渇きを認識する。

「も、と、ほしい」

 吉井がねだると、羽鳥は微笑んで吉井の気が済むまで飲ませてくれた。水分を摂ると少しだけ怠さが薄れた気がした。
 羽鳥は吉井の隣に寝そべる。

「ほまれ、大丈夫?」

 腕枕をされ、頭を撫でられる。羽鳥の甘い匂いと温もりが心地好い。

「ん」
「ふふ。よかった。たくさん、いったね」

 羽鳥に撫でられた腹には、吐精の痕跡は残っていない。羽鳥が拭いてくれたようだった。

「たもつさん、はら、あつい」

 腹だけでない。身体中が熱い。なのに、羽鳥の熱と合わさるとそれはひどく心地よいものになった。

「ん、あ」

 羽鳥に擦り寄る吉井の身体を、白いものが汚す。羽鳥の胸に滲んだミルクだった。甘い香りを立ち昇らせるそれに、吉井ははしたなく喉を鳴らした。

「たもつさん、ミルク、でてる」
「ん、胸、張って痛いんだ。ほまれ、飲んでくれる?」

 羽鳥の声が甘えるように吹き込まれる。

「ん、のむ。飲ませて、たもつさん」

 笑みとともに吉井を抱いて仰向けになった羽鳥の胸はすでに溢れる白い蜜で濡れていた。吉井は迷うことなく、誘われるままに白く濡れた胸板へと舌を這わせた。丹念に舌で舐め取り、震える肉粒を口に含む。硬くしこる肉粒を舌先で撫でると羽鳥が甘く啼いて、堰を切ったように温かな蜜が溢れ出た。
 吸っても吸っても止まらない、白く温かな蜜は優しく吉井を満たしていく。膨らんだ肉粒を舐めて吸って、吉井は夢中で羽鳥から溢れる蜜を啜った。
 左右交互に吸って羽鳥のミルクが落ち着く頃には、吉井はすっかり元気になっていた。

「たもつさん、おれ、うごく、から、したい」
「ん、いいよ」

 吉井は身体を起こし、仰向けに横たわる羽鳥の腰のあたりに跨る。羽鳥の性器はすっかり芯を持って反り返っていた。
 吉井は羽鳥の猛りに手を添え、後孔に宛てがう。期待にひくつく後孔に、熱い猛りの先端を押し当てる。吉井がゆっくりと腰を落としていくと、後孔は食むように羽鳥を呑み込んでいく。

「は、ぁ」

 吉井の自重で、後孔は羽鳥の猛りを深くまで飲み込んでいく。羽鳥の先端が奥の窄まりに当たると、吉井は胸に手をついて腰を上下に揺すった。
 吉井が動くたびに、羽鳥の先端が奥の襞を小突き、それに合わせて吉井の腰が跳ねた。
 吉井の勃ち上がった昂りはとろとろと先走りを零しながら揺れる。
 だらしなく開いた口は熱い吐息を吐き出し、端からは唾液が垂れて顎へと伝い落ちる。

「あう、たもつひゃ、きもちい?」

 すっかり蕩けて呂律の回らなくなった声で、吉井は甘ったるく羽鳥を呼ぶ。

「ん、すごく気持ちいい」
「よかったぁ、ぁ」

 吉井の表情が悦びに溶ける。
 途端に放たれた吉井のフェロモンに羽鳥の身体が反応して、肉粒からは白い蜜が噴き出す。

「ふふ、ほまれくん、上手だね」

 吉井が腰を揺するのに合わせて、羽鳥は腰を突き上げる。繋がったところはいやらしく水音を立て、溢れた愛液が泡立っていた。

「ひ、あ、たも、つ、さ、のみ、た、ぁ」

 吉井は羽鳥の胸板を揉みながら、腰を振る。時折白い蜜に塗れた指をしゃぶる様はひどく淫靡だった。

「ん、ふ」

 吉井はちゅ、と音を立てて指を舐り、羽鳥を煽っていく。
 緩く腰を揺らす吉井に合わせ、羽鳥は優しく突き上げる。

「あう、っや、いく、たもつさ」
「ん、俺も、いく」

 羽鳥はしっかりと腰を掴んで、先程までより強く、吉井の動きに合わせて突き上げた。跡がつきそうなくらい強く、羽鳥の大きな手が吉井の華奢な腰を押さえつける。
 吉井の中はきゅうきゅうと搾り取るように羽鳥を締め上げた。

「っあ、あ、いく、い、ぅ」
「ふ、おれ、も」

 揺れる吉井の昂りから白濁が飛ぶ。中は不規則にきゅうきゅうと締まり、羽鳥は吉井の中に脈打ちながら熱い白濁を吐き出す。

「っは、あ、たもつ、さ、出て、ぅ」

 背をしならせ、息も絶え絶えな吉井。そうしている間も、羽鳥の吐精は続いた。溜まっていた精液を一滴残らず注ぎ込むような、長く勢いのある射精だった。
 白く濁った奔流が吉井の最奥を打つたび、吉井は喉を引き攣らせ、短い悲鳴のような声を上げた。
 吉井は背をしならせ、喉を晒して腹に放たれる熱に感じ入っている。腹につきそうなほど勃ち上がった性器は震え、とろとろと力なく白濁を吐いていた。
 吐息を終え少し落ち着いた羽鳥が小刻みに震える吉井を見上げた。

「ほまれくん、少し休もうか」

 羽鳥の手が腰を撫でると、吉井は濡れた瞳を揺らして羽鳥を見た。

「ん、やだ、もっと、する」

 吉井はいつもより積極的で貪欲だったが、やる気はあれど吉井の身体はもうふにゃふにゃで、胸についた手も震えていた。
 流石にこれ以上騎乗位を続けるのは無理そうで、羽鳥は吉井の身体を支えながら横たえ、シーツに押し付けた。

「じゃあ、こっちね」
「ん、ぁ、たもつさん、ミルク、いっぱい出てる」

 吉井が羽鳥を見上げ、白い蜜を零す肉粒を指先で撫でると羽鳥は身体を震わせた。
 白い蜜が吹き出し、吉井の指を汚す。

「っあ、ほまれくん」
「ふふ、おいしい」

 吉井が白く濡れた指を舐め、淫靡に微笑む。
 羽鳥は蜜に塗れた吉井の唇を塞いだ。

「んう」

 舌を絡め、絡め取って甘い舌を吸い上げる。
 白い蜜を舐めた後の吉井の口内は溶けるように熱く、甘かった。

「ん、っは、たもつ、さん」
「かわいい。ほまれ、もっと、中で出していい?」

 身体を繋いだまま、羽鳥が腰をぐるりと回す。中を埋めるものに粘膜を刺激され、吉井は甘く答える。

「ん、いい、よ。だして」

 吉井の答えに、羽鳥は吉井の顔中にキスを落とした。
 羽鳥が力強く腰を打ち付けるたび、重たい水音が響く。
 とろとろと溢れる白蜜が吉井の腹に、胸板に散る。

「た、ぉつ、さ、ぁ、お、くぅ」

 羽鳥は呂律の回らない吉井の、奥の窄まった場所を捏ねる。
 吉井の限界が近付いていた。蠕動する粘膜が、羽鳥をきつく締め上げる。

「んっ、ぃあ、──ッ!」

 吉井が身体を突っ張らせる。
 白い喉を晒し、身体をしならせて、吉井は達した。昂りは震えながら白濁を垂らし、脚を痙攣させ、中は搾り取るようにうねる。
 しゃぶりつく奥に、羽鳥は堪らず白濁を放った。



 それから、二人は時間を確かめることも忘れ、ひたすら互いを貪るように身体を重ねた。
 もう、昼か夜かもわからない。カーテンの向こうの様子など、何も気にならなかった。ただベッドの上にある互いの身体だけが二人の意識を独占していた。
 脳髄まで熱く熟れた本能に染まりきって、二人は交わす言葉も少ないまま肌を合わせ、その熱を混じらせた。
 布団に突っ伏して身体を伸ばした吉井に、羽鳥が覆い被さる。
 吉井の項には、羽鳥の歯が何度も甘く立てられる。傷つけないように、熱い肌に硬い歯が触れるだけ。吉井は項を何度も甘く噛まれながら、後ろからゆったりと奥を突かれた。すっかりふやけた意識の中、吉井は何度も絶頂に押し上げられ、果てた。
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