ぜんぶのませて

はち

文字の大きさ
上 下
26 / 34
きみのくちびるで

プレイ

しおりを挟む
 週末は大抵家で過ごす吉井と羽鳥だったが、プレイとして二人で外に出ることはあった。
 決まって夜。風呂上がり。

「保さん、コンビニ行かない?」
「え、うん、でも」

 羽鳥が部屋着にしているTシャツの胸元が濡れているのを吉井は知っている。それが理由で躊躇っていることも。

「パーカー羽織ったら、誰もわからないよ」

 だから、吉井はいつもより少しだけ抑えた声で、その躊躇いを取り払うように優しい声を耳元に吹き込む。
 その声に、羽鳥は少しだけ俯いて、頬を赤く色付かせた。

「……そうだね、じゃあ、行こうか」

 応える羽鳥の声に拒絶の色は欠片もなく、微かな喜びを滲ませていた。
 そうやって二人で近所のコンビニまで夜食だったり酒だったりを買いに行く。
 ほんの五分かそこらの距離でも、吉井が一緒なのでフェロモンに反応して羽鳥の身体はミルクを出す。
 駅から羽鳥の家まで二人で歩いたり、コンビニまで買い物に行ったり。羽鳥の恥ずかしがるところが見たくて、少しだけ外に連れ出すことはあった。
 αの羽鳥は穏やかな方だと思う。元々の性格や年齢のせいもあるだろうが、どちらかといえば吉井の方が気が強いくらいだ。
 そして、羽鳥には少しばかりMの気があることに吉井は気付いていた。本人にその自覚があるかはわからない。それでも、母乳が出る状態で外に連れ出すことを躊躇う様子はあっても嫌がることはなく、その後の搾乳での緩めの言葉責めも興奮材料になっているようだった。
 もちろん、プレイの後はたくさん褒めるし甘やかす。羽鳥との行為は、吉井にはすっかりなくてはならないものになっていた。
 部屋に戻って、支度をして、二人は足早に寝室に向かった。
 服を脱ぎ、ベッドに倒れ込んで、どちらからともなく抱き合う。互いの体温が混ざり合って、触れ合う部分はうっすらと汗を滲ませていた。
 横向きになって視線を絡める。

「保さん、どうだった?」
「すごい、ドキドキした」
「ふふ、いっぱい濡れてる」

 白い蜜で汚れた胸の肉粒を、吉井は指先で撫でる。そうしている間にも白い蜜はとろとろと溢れて吉井の指を汚した。

「ほまれ、くん」
「保さん、かわいい。乳首、大きくなったね」

 くすんだピンクだった肉粒は充血して赤くなっている。初めての頃に比べれば少し育ったように見えるそれを指先で掠めるように撫でると、羽鳥の唇からは控えめな甘い声が漏れる。

「ん、ほまれくんがいっぱい吸うから」

 羞恥を煽られた羽鳥は眉を寄せ、頬を染めた。
 行為の度に胸を弄られ、吸われて、羽鳥の胸はすっかり性感帯の一つになっていた。

「ふ、えっちだね。かわいい」
 
震える肉粒に唇を寄せ、細く息を吹きかけてやると、羽鳥は声を上擦らせて啼いた。

「や、あ」
「いっぱい溢れてきたね、保さん」

 指先でくるくると薄い乳輪をなぞってやると、羽鳥は身体を震わせる。

「搾乳器、使っていい?」
「ん、いいよ」

 羽鳥の了承を得て、吉井は身体を起こすとベッドサイドから洗って準備の済んだ搾乳器を手に取った。
 ベッドに横たわった羽鳥はクッションを積んで上体を起こした。
 ベッドサイドのルームランプに、羽鳥の胸板が照らされる。
 深さのある吸盤のような透明なカップを羽鳥の胸に密着させ、トリガーのようなレバーを押すと中の空気が抜けて搾乳器はミルクを吸い出す。

「っあ、すごい、吸われて」

 羽鳥が小さく身体を震わせた。
 羽鳥の膨らんだ乳首からは白い蜜がとろとろと溢れ、搾乳器の下についたボトルに溜まっていく。

「っあ、う」

 吉井がトリガーを押し込むたびに蜜を吸い出されて、羽鳥は甘い声で啼き、身体を捩った。

「ん、ふ」

 手の甲で恥ずかしげに口元を隠しても、漏れる嬌声は止められない。ゆっくりとトリガーを押すと、無機物が羽鳥の乳首を吸い、溢れるミルクを吸い上げて小ぶりなボトルの中に白い蜜を溜め込んでいく。

「ふふ、保さん、ぴくぴくしてる。気持ちいい?」
「ん、気持ちいい」

 吉井の手が、絞り出すように胸筋を揉む。
 胸を吸うのと違って、羽鳥の表情が見ていられるのは新鮮だった。赤みの差した目元は煽情的で、震える唇は唾液で濡れていた。
 吸われる乳首が震えるさまも見られて、吉井は思わず喉を鳴らした。

「っあ、ほまれ」

 滲み出るそばから、白い蜜が吸い上げられて下の小さなボトルにな溜まっていく。

「ほまれ」

 逞しい胸を揉まれながら、無機物に胸を吸われる羽鳥。恥ずかしいのか、気持ちいいのか、眉を寄せて、吉井を見る。

「っう、ほまれ」

 甘い声が繰り返し吉井を呼ぶ。

「はは、それ、めちゃくちゃエロい」

 呼ばれるたび、吉井の腹の底に熱く重たいものが溜まっていく。甘い声ばかり聞かされるのは耳に毒だ。
 もう、腹の下ではすっかり芯を持った性器が下生えから聳り立っている。

「ほまれ、吸って」

 吉井はトリガーをゆっくりと押し込み、吸引する。
 ぷくりと腫れた乳首が胸に押し付けられたカップの中で震え、白い蜜を吹き出す。
 吸い出された白い蜜がとろとろとボトルに溜まって、もう半分ほどになっていた。

「あ、う……ン」

 反対側に付け替えると、羽鳥は首を横に振る。

「んく、やだ、それじゃなくて」

 懇願するような、切実な声色だった。

「ほまれがいい。ほまれのくちびるで、すって」

 まさかそんなおねだりをされるとは思わず、吉井は搾乳器を外し、サイドテーブルに置いた。
 淡い金色のルームランプに照らされ、逞しい胸板の上では二つの肉粒が震えていた。
 吉井は迷わず唇を寄せた。

「あう」

 吸い付くと、羽鳥が甘えた声を上げる。
 αの羽鳥が、Ωの自分の手でこんなにも乱れるということが、堪らなく支配欲を刺激する。
 吉井はわざと舌を伸ばして、舌先で撫で上げる。
 舌先に触れる小さなしこりは、それだけで温かな蜜を飛ばした。

「んう」

 羽鳥は背を丸めて吉井の頭を抱き込み、身体を震わせる。

「ふ、えっちな味」

 甘い匂いに負けないくらい、羽鳥の蜜は甘かった。見上げた吉井が笑うと、羽鳥も笑った。

「いっぱい飲んで、いっぱいえっちになって、ほまれ」

 脳まで揺らすような、甘い声。そんなことを言われて、ぐらついていた理性の箍は簡単に外れた。
 吉井の手が弾力のある羽鳥の胸を揉みしだき、濡れた唇で膨らんだ乳首をきつく吸い上げる。
 とくんとくんと溢れる温かな蜜を啜り、白く汚れた唇で羽鳥を呼ぶ。

「ん、たもつさ」

 吸えば吸っただけ溢れてくる白い蜜は、吉井の理性を一枚ずつ剥がし、フェロモンをじわりと濃くした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

処理中です...