ぜんぶのませて

はち

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いっぱいのませて

どこにもいかないで

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 羽鳥は意識が戻るたび吉井と深く身体を繋げた。
 吉井のフェロモンは昨日とは比にならないくらい濃く、羽鳥を昂らせた。
 羽鳥の理性は完全に削ぎ落とされ、剥き出しのαの本能が残された。
 濃厚な吉井のフェロモンに誘われ、αの発情、ラットがきた。
 身体を深く繋いだまま、羽鳥はもう力の入らない吉井を独り占めするように身体の下に閉じ込める。
 吉井を抱き寄せる腕はいつものように温かく優しい。
 カーテンの閉ざされた二人きりの薄暗い部屋で、それでもなお誰にも見せないように、羽鳥は大事に大事に吉井を体の下に隠す。

「ほまれ」

 荒い呼吸に混じって、唸り声のような、情欲に濡れた声が漏れる。その声はどこか切なげな響きで吉井の鼓膜を震わせた。
 鳶色の瞳を欲情に澱ませて、羽鳥は吉井を見下ろす。
 吉井はそのヘーゼルアイで羽鳥を見上げると蕩けた笑みを浮かべた。
 羽鳥は吉井の首筋に鼻先を埋め、上気した肌に吸い付いて赤い跡を残していく。匂いの濃い首の周りに柔く歯を立て、薄い皮膚を強く吸い上げる。
 吉井は羽鳥の首に力の入らない腕を回して縋り付いた。

「ん、ぅ、たも、ひゃ」

 肉厚な舌で汗の滲む首筋を舐め上げると、吉井はぶるりと身体を震わせ、か細く啼いた。

「っふ、ほまれ、ほまれ」

 羽鳥はそれに応えるように吉井を抱きすくめた。
 吉井の匂いは否応無しに羽鳥を昂らせ、吉井の中で羽鳥の刀身はその質量を増す。
 吉井の緩い戦慄きに刺激されながら、羽鳥は奥の襞を小突く。
 吉井の熱い手が、縋り付くように羽鳥の腕を掴む。

「ひゃ、ぉ、んは、……ぁ」

 力任せに揺すられ、吉井は呂律の回らない口で甘ったるい喘ぎを漏らした。

「ほまれ」

 羽鳥が腰をゆったりと回し、びくびくと跳ねる吉井を愛おしむように、更なる快感を刷り込んでいく。
 散々嬲られた吉井の肉襞は甘えるように羽鳥に吸い付いた。
 誘うような吉井の襞に、羽鳥は何度も先端を叩きつける。体液に塗れた襞をとちゅとちゅとノックしてやると、最奥はくぐもった音を立てて容易く羽鳥を飲み込んだ。
 ひ、と吉井が喉を引き攣らせ、頭を擡げ震える吉井の性器からは透明な体液が噴き出す。
 白い喉を晒し、身体を震わせる吉井の柔らかな粘膜を、羽鳥はなおも責め立てる。

「ほまれ、すき、どこにも、いかないで」

 羽鳥は痛いくらいに張り詰めた怒張で、浅瀬から最奥まで掘削するようなピストンを繰り返す。
 ぼちゅ、ぼちゅ、と重たい音が響き、繋がったところからは白濁が泡立ち溢れていく。
 羽鳥の胸からは白い蜜が何度も噴き出した。吉井の身体を白い蜜が汚し、甘い匂いに染めていく。

「ぁ、ぉ」

 快感の渦に飲まれた虚な目が羽鳥を見上げる。
 羽鳥が吉井の最奥を突き上げ、引き締まった吉井の腹が震えた。不規則に脚が跳ね、羽鳥の肉杭を深々と咥え込んだ吉井の隘路はきゅんきゅんと戦慄いて羽鳥を締め付けた。

「は、ほま、れ」

 熱い奔流を最奥に叩きつけるように放つ。
 何度も脈打ち、未だ涸れない白濁をたっぷりと注ぎ込む。
 胎の中を満たす熱に、吉井はうっとりと表情を溶かした。
 羽鳥はゆったりと腰を揺らし、とろとろと溢れる白濁まで中に塗り込んでいく。
 吉井の身体が脱力してシーツに沈む。
 羽鳥はなおも腰を振り続け、溢れるほど熱い白濁を注ぎ込んだ。
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