ぜんぶのませて

はち

文字の大きさ
上 下
18 / 34
いっぱいのませて

時のない部屋

しおりを挟む
 もはや二人に時間の感覚はなかった。
 時計を確かめることも忘れ、ベッドサイドの照明だけが灯る薄明るい部屋で、互いを貪り合う。
 喉が乾けば水を飲み、ひたすら汗の滲んだ肌を合わせ、熱く濡れた粘膜を擦り合わせていた。
 俯せになった吉井に羽鳥が後ろからのしかかり、後孔に猛りを捩じ込む。柔らかく解された吉井の後孔は何度も注がれた白濁に濡れ、甘く熱い泥濘になっていた。

「う、あ、たもつ、さ」

 羽鳥の逞しい剛直は、張り出した雁首で吉井の前立腺を弾き、さらに奥へと潜る。

「っ、は、ほまれ」

 羽鳥は熟れた粘膜に白濁を塗り込むように擦る。吉井の腹の中は羽鳥の出した精液で満たされていて、緩く出し入れしただけで卑猥な水音が立った。粘膜は柔らかくまとわりつき、羽鳥の剛直を締め上げる。

「ん、は、ぁ」

 吉井は突っ伏し、震える手で波打ったシーツを握る。羽鳥はその手に手のひらを重ねた。吉井の手は熱かった。
 晒された吉井の項に、羽鳥がそっと唇を寄せる。

「っう!」

 吉井が身体を強張らせる。

「噛まないよ、安心して」

 羽鳥は宥めるように、赤い跡が無数に散る項にそっと舌を這わせた。

「たもつ、さ」

 羽鳥を振り返る吉井。とろんと蕩けた表情で羽鳥を見上げる。何か言いたげな唇に、ちゅ、と音を立てて唇を触れ合わせると、吉井は嬉しそうに笑った。

「ほまれ」

 羽鳥が先程よりも大きなストロークで抽挿を始めた。
 吉井の背中に、羽鳥の乳首が擦れる。溢れる白い蜜を塗り込めるように、羽鳥は吉井の背中に胸を擦り付ける。羽鳥の胸の肉粒がくすぐるように快感に震える背中を撫でていく。

「っは、ほまれ」
「っ、たもつ、さぁ」

 吉井が大袈裟に身体を震わせる。

「なか、ぁ、ずっと、いっ、ぇ」

 吉井の言う通り、吉井の中はずっと不規則に羽鳥の幹を締め上げていた。
 ふわりふわりと吉井のフェロモンが放たれ、羽鳥を昂らせる。

「っあ、お、きぃ」

 中で質量を増す羽鳥を、吉井の肉洞はいじらしく締め付ける。

「ほまれ、ほまれ」

 羽鳥はとちゅとちゅと優しく奥の襞を打つ。優しく突き上げられ、吉井は胎の奥を意識して、腹をひくつかせた。

「っ、ひゃ」

 くぐもった音を立て、丸く張った先端が最奥に届く。
 内臓を捏ねられる違和感はすっかり快感に上書きされ、吉井は絶頂へと押し上げられた。
 引き攣った喉は掠れた声を漏らすばかりで、羽鳥に最奥まで突き込まれるたび、うっすら開いた口からは言葉にならない喘ぎが溢れた。
 吉井の中は羽鳥が動くたびに快感を拾い上げ、絶頂から戻ってこれないまま、びくびくと身体を強張らせた。

「っう……!」

 吉井の身体から力が抜ける。身体がぐったりとシーツに沈むのと同時に、立ち込めていた濃いフェロモンが途切れた。
 羽鳥が剛直をゆっくり引き抜くと、口を開けた後孔からは白濁がとろとろと溢れた。

 意識が戻ると抱き合い、貪り合い、互いの体液に塗れて、互いの匂いに酔いながら、二人は飽きもせずに身体を重ねた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

処理中です...