22 / 36
悠真編
花嫁の身体
しおりを挟む
「皆、門から花嫁を迎え、腹に精を注ぐ。そうやって子をなす。私の父もそうだった。母を迎え、子をなした。それが私だ」
ミロクの口から穏やかな声で語られたのは、ミロクたち神の営みのようだった。
「その、花嫁の名は」
その花嫁の名が気になった。近年の遭難者なら、名前がわかるからだ。
「ソウジ」
その名を聞いて思い当たるのは一人だけだった。
槙野宗慈、五年前、ミロク山で行方不明になった男と同じ名だ。偶然とは思えなかった。
だが、五年では計算が合わない。彼はどう見ても二十は越えた年齢のように見える。
困惑を色濃く浮かべる悠真の内心を見透かすように、ミロクは微笑んだ。
「私は、産まれて五年ほどになる」
悠真の頭に浮かんだ疑念を見透かすかのような言葉に、悠真の背を冷たいものが這い降りた。
「ご、ねん……」
本当に、槙野宗慈が花嫁となり、産んだのだろうか。もしそうなら自分も、同じように子を産むことになるのだろうか。
そんな怯えとも戸惑いともつかない感情が悠真の胸を埋める。
心臓はずっと鼓動をうるさく響かせていた。
「若輩者だが、不満か?」
ミロクの目が、笑むようにそっと細められた。
甘い花の香りがする。
梔子の花のような甘く優しい香りだった。
その匂いを吸い込むと、どういうわけか身体が熱を帯び始めた。
息をするだけで、腹の底が熱を持って疼く。初めての感覚だった。
まだ食事はたくさん残っているのに。
身体が熱い。
服の下で、性器が熱く硬くなっているのがわかる。触ってもいないのに、悠真にはどうしてこうなっているのかわからなかった。
この、花の匂いのせいだろうか。
唇から漏れる吐息は火傷しそうな熱さだった。
「どうした?」
「っは、身体、変」
「ユウマ」
ミロクが隣に座る。
目上げた先、美しい金の瞳が真っ直ぐに見下ろしている。
縋るように見上げると、ミロクが目を細めた。
「大丈夫か、ユウマ」
「ん」
ミロクの手が、頬を撫でる。上気した頬に触れるひんやりした手のひらが心地好い。
「熱いな。のぼせてしまったか」
ちがう。
そう言いたいのに、声が出ない。
悠真が首を横に振ると。
「どうしたらいいか教えてくれるか、ユウマ。お前を楽にしてやりたい」
「あ……」
それを言ってしまっていいのか、悠真は考える。甘い香りに鈍った頭で、必死に考える。
「さわ、って」
相手は、おそらく神様だ。そんなことをしていい相手なのかわからない。そんな迷いは、茹だった頭では無いも同然だった。
悠真はミロクの手を取って、昂る股座に押し当てた。
「さわって、ミロクさま」
言ってしまった。漏れ出た声は甘く蕩けて、自分の発したものだとは思えなかった。胸の奥も頭の芯も甘く蕩けて、止めることなどできなかった。
「いいよ、ユウマ」
悠真の身体は軽々とミロクの膝の上に抱き上げられ、後ろから抱き込まれた。
「っは、あ」
下履きをずり下ろしたミロクの手は、悠真の性器を握って擦る。芯の入った花芯はすっかり先走りで濡れそぼっていた。
「お前のここは愛らしいな、ユウマ」
そんなふうに言われて恥ずかしいのに、昂った身体にはそれすら興奮材料になっていた。
ミロクの白い手が反り返る性器を擦る。
気持ちいい。
視界がぼやける。口はだらしなく開き、唇の端からは唾液が垂れ落ちた。
「っあ、いく、みろくさま」
悠真は腰を揺らし、ミロクの手で果てた。吐精は一度では止まらず、出しても出しても、白濁が噴き出た。ミロクの手の中で、悠真の昂りは芯を失うことなく、脈打つ。
「っ、あ、かえらな、きゃ」
譫言のように悠真が漏らす。
「ふふ、帰るのなら、門まで送ろう」
そう言いながらも、ミロクは手を止めてはくれない。
「お前が望むなら、何度でもあの門を開こう。お前だけに、ね」
ミロクは帰してくれようとしている。なのに。
ミロクからする甘い花の香りは、悠真の思考を優しく溶かしていく。
ずっと腹が熱い。帰らなきゃいけない。レポートもある。なのに。
「みろくさまぁ」
声まで甘く蕩け、身体はミロクを欲しがってやまない。
「ふあぁ、いく、いく」
堪らず、悠真はミロクの手に自らの手を重ねる。
性器を擦って慰めても治らない。
身体がすっかりおかしくなってしまったような気がする。
ミロクに触れられたい。
奥深くまで、ミロクが欲しい。
「もっと、ほしい。ミロクさま」
唇が震える。
「奥まで、ミロクさまがほしい」
そこの言葉を紡いだのが自らの唇だと、悠真は言ってから気がついた。
ミロクは、甘やかに微笑み、悠真の頬を優しく撫でた。
ミロクの口から穏やかな声で語られたのは、ミロクたち神の営みのようだった。
「その、花嫁の名は」
その花嫁の名が気になった。近年の遭難者なら、名前がわかるからだ。
「ソウジ」
その名を聞いて思い当たるのは一人だけだった。
槙野宗慈、五年前、ミロク山で行方不明になった男と同じ名だ。偶然とは思えなかった。
だが、五年では計算が合わない。彼はどう見ても二十は越えた年齢のように見える。
困惑を色濃く浮かべる悠真の内心を見透かすように、ミロクは微笑んだ。
「私は、産まれて五年ほどになる」
悠真の頭に浮かんだ疑念を見透かすかのような言葉に、悠真の背を冷たいものが這い降りた。
「ご、ねん……」
本当に、槙野宗慈が花嫁となり、産んだのだろうか。もしそうなら自分も、同じように子を産むことになるのだろうか。
そんな怯えとも戸惑いともつかない感情が悠真の胸を埋める。
心臓はずっと鼓動をうるさく響かせていた。
「若輩者だが、不満か?」
ミロクの目が、笑むようにそっと細められた。
甘い花の香りがする。
梔子の花のような甘く優しい香りだった。
その匂いを吸い込むと、どういうわけか身体が熱を帯び始めた。
息をするだけで、腹の底が熱を持って疼く。初めての感覚だった。
まだ食事はたくさん残っているのに。
身体が熱い。
服の下で、性器が熱く硬くなっているのがわかる。触ってもいないのに、悠真にはどうしてこうなっているのかわからなかった。
この、花の匂いのせいだろうか。
唇から漏れる吐息は火傷しそうな熱さだった。
「どうした?」
「っは、身体、変」
「ユウマ」
ミロクが隣に座る。
目上げた先、美しい金の瞳が真っ直ぐに見下ろしている。
縋るように見上げると、ミロクが目を細めた。
「大丈夫か、ユウマ」
「ん」
ミロクの手が、頬を撫でる。上気した頬に触れるひんやりした手のひらが心地好い。
「熱いな。のぼせてしまったか」
ちがう。
そう言いたいのに、声が出ない。
悠真が首を横に振ると。
「どうしたらいいか教えてくれるか、ユウマ。お前を楽にしてやりたい」
「あ……」
それを言ってしまっていいのか、悠真は考える。甘い香りに鈍った頭で、必死に考える。
「さわ、って」
相手は、おそらく神様だ。そんなことをしていい相手なのかわからない。そんな迷いは、茹だった頭では無いも同然だった。
悠真はミロクの手を取って、昂る股座に押し当てた。
「さわって、ミロクさま」
言ってしまった。漏れ出た声は甘く蕩けて、自分の発したものだとは思えなかった。胸の奥も頭の芯も甘く蕩けて、止めることなどできなかった。
「いいよ、ユウマ」
悠真の身体は軽々とミロクの膝の上に抱き上げられ、後ろから抱き込まれた。
「っは、あ」
下履きをずり下ろしたミロクの手は、悠真の性器を握って擦る。芯の入った花芯はすっかり先走りで濡れそぼっていた。
「お前のここは愛らしいな、ユウマ」
そんなふうに言われて恥ずかしいのに、昂った身体にはそれすら興奮材料になっていた。
ミロクの白い手が反り返る性器を擦る。
気持ちいい。
視界がぼやける。口はだらしなく開き、唇の端からは唾液が垂れ落ちた。
「っあ、いく、みろくさま」
悠真は腰を揺らし、ミロクの手で果てた。吐精は一度では止まらず、出しても出しても、白濁が噴き出た。ミロクの手の中で、悠真の昂りは芯を失うことなく、脈打つ。
「っ、あ、かえらな、きゃ」
譫言のように悠真が漏らす。
「ふふ、帰るのなら、門まで送ろう」
そう言いながらも、ミロクは手を止めてはくれない。
「お前が望むなら、何度でもあの門を開こう。お前だけに、ね」
ミロクは帰してくれようとしている。なのに。
ミロクからする甘い花の香りは、悠真の思考を優しく溶かしていく。
ずっと腹が熱い。帰らなきゃいけない。レポートもある。なのに。
「みろくさまぁ」
声まで甘く蕩け、身体はミロクを欲しがってやまない。
「ふあぁ、いく、いく」
堪らず、悠真はミロクの手に自らの手を重ねる。
性器を擦って慰めても治らない。
身体がすっかりおかしくなってしまったような気がする。
ミロクに触れられたい。
奥深くまで、ミロクが欲しい。
「もっと、ほしい。ミロクさま」
唇が震える。
「奥まで、ミロクさまがほしい」
そこの言葉を紡いだのが自らの唇だと、悠真は言ってから気がついた。
ミロクは、甘やかに微笑み、悠真の頬を優しく撫でた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
49
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる