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宗慈編
身体の支度
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「宗慈、胎は十分に慣れたようだね」
ミロクの声がした。闇に揺蕩う宗慈の意識は、甘い声に揺り起こされる。
「っあ!」
胎の奥から湧く濃厚な快感に、宗慈の口からは掠れた声が上がる。
「あ、うそ、みろく、さま……?」
目を開ける。視界に映るのは薄明るい部屋と、自分を見下ろすミロクの姿だった。
ミロクと身体を繋げていた。
ミロクはだらしなく拡がった宗慈の脚の間にその腰を割り込ませ、猛りを宗慈の胎へ深々と埋め込んでいた。
「おはよう、宗慈」
出産を終えた後の疲弊した身体はいうことを聞いてはくれない。たくさん産まれたのは覚えているが、もはや幾つだったのかは覚えていなかった。
そんな宗慈の胎は、ミロクを受け入れれば甘やかに収斂してミロクの猛りを歓待する。
自分の身に起きていることへの戸惑いも、すぐに快感が飲み込んでしまう。
「私ので擦ってやると中が嬉しそうにしがみつく。宗慈の身体は素直だね」
「あ、ぅ」
ミロクの異形の性器に胎を掻き回され、宗慈の身体は水から揚げられた魚のように跳ねた。
「宗慈、私の子を宿す準備をしようか」
優しく腹をさすられる。ミロクを見上げ、ついにやってきたその時に、宗慈は喉を鳴らした。
宗慈がその胎にミロクの子を宿すための準備は、時を忘れるくらい続いた。
快感を全身に与えられ続け、胎の中にあの粘液を、精を注がれ続けた。
止まない快感に身体中がじくじくと熱を持ち、どこもかしこも性感帯になったようだった。
「みろく、さま」
声を上げることもままならない。吐息はすっかり乱れ、口を閉じていることも難しい。口の端から溢れた唾液は顎まで濡らしている。
みっともない姿を晒しているのに、ミロクはその金色の温かな眼差しを向けるばかりだった。
「宗慈、中が熟れてきたね」
具合を確かめるように、肉壁越しのしこりを撫でられる。
「は……ぁ」
「もうすぐ、もうすぐだよ」
ミロクは宗慈をゆったりと揺さぶりながら、嬉しそうにあちこちを撫でていく。その手つきは優しく、宗慈を喜ばせるばかりだった。
「ねえ宗慈、お前を娶りたい。だめかな」
「め、と……?」
聞き慣れない単語に、宗慈は鸚鵡返しに聞き返した。声は掠れて、最後まで音にならなかった。
「お前を、花嫁として迎えたいんだ」
「はな、よめ? ……え?」
自分は男だ。見た目も特段美しいわけでもない。どこにでもいるような、普通の男で、取り柄と言えば体が丈夫なことくらいだ。花嫁という単語からはかけ離れた存在の自分に対して、ミロクがそんなことを言うことが信じられなかった。
「それこそ、俺以外がいいんじゃ……」
謙遜などではなかった。選ばれておいて捨てられるのなら、最初から選ばれないほうがいい。きっと、自分よりも相応しい誰かがいる。宗慈の胸に、怯えにも似た感情が去来する。
そんな宗慈を宥めるように、ミロクの手が頬を撫でた。
「宗慈。私は宗慈がいいんだ。だめかい?」
そんな甘やかな声で言われたら、断ることなんてできなかった。
「あ、う」
それでも、躊躇いはまだ残る。
「花嫁って、何をしたら……?」
「することは、何も変わらない。私の精を受けて、子を産んでほしい。山を豊かにして、新しいミロクを産んで、私と、ずっと一緒に居ておくれ」
甘やかに囁かれるその言葉は、ひどく魅力的なもののように思えた。
「もう帰してあげられないけど、いいかい?」
ミロクがその眉を下げ、申し訳なさそうに言う。
宗慈の胸に残る答えは、一つだけだった。
「……ミロク様がいいなら、おれは、いいです」
「ありがとう、宗慈。嬉しいよ」
自分のことなのに、過去のことはもう何も思い出せない。それでもよかった。
魂が、ミロクの方に引かれているような、そんな感覚すらも嬉しく思う。この美しい存在のものになれることが、ただ嬉しかった。
ミロクの声がした。闇に揺蕩う宗慈の意識は、甘い声に揺り起こされる。
「っあ!」
胎の奥から湧く濃厚な快感に、宗慈の口からは掠れた声が上がる。
「あ、うそ、みろく、さま……?」
目を開ける。視界に映るのは薄明るい部屋と、自分を見下ろすミロクの姿だった。
ミロクと身体を繋げていた。
ミロクはだらしなく拡がった宗慈の脚の間にその腰を割り込ませ、猛りを宗慈の胎へ深々と埋め込んでいた。
「おはよう、宗慈」
出産を終えた後の疲弊した身体はいうことを聞いてはくれない。たくさん産まれたのは覚えているが、もはや幾つだったのかは覚えていなかった。
そんな宗慈の胎は、ミロクを受け入れれば甘やかに収斂してミロクの猛りを歓待する。
自分の身に起きていることへの戸惑いも、すぐに快感が飲み込んでしまう。
「私ので擦ってやると中が嬉しそうにしがみつく。宗慈の身体は素直だね」
「あ、ぅ」
ミロクの異形の性器に胎を掻き回され、宗慈の身体は水から揚げられた魚のように跳ねた。
「宗慈、私の子を宿す準備をしようか」
優しく腹をさすられる。ミロクを見上げ、ついにやってきたその時に、宗慈は喉を鳴らした。
宗慈がその胎にミロクの子を宿すための準備は、時を忘れるくらい続いた。
快感を全身に与えられ続け、胎の中にあの粘液を、精を注がれ続けた。
止まない快感に身体中がじくじくと熱を持ち、どこもかしこも性感帯になったようだった。
「みろく、さま」
声を上げることもままならない。吐息はすっかり乱れ、口を閉じていることも難しい。口の端から溢れた唾液は顎まで濡らしている。
みっともない姿を晒しているのに、ミロクはその金色の温かな眼差しを向けるばかりだった。
「宗慈、中が熟れてきたね」
具合を確かめるように、肉壁越しのしこりを撫でられる。
「は……ぁ」
「もうすぐ、もうすぐだよ」
ミロクは宗慈をゆったりと揺さぶりながら、嬉しそうにあちこちを撫でていく。その手つきは優しく、宗慈を喜ばせるばかりだった。
「ねえ宗慈、お前を娶りたい。だめかな」
「め、と……?」
聞き慣れない単語に、宗慈は鸚鵡返しに聞き返した。声は掠れて、最後まで音にならなかった。
「お前を、花嫁として迎えたいんだ」
「はな、よめ? ……え?」
自分は男だ。見た目も特段美しいわけでもない。どこにでもいるような、普通の男で、取り柄と言えば体が丈夫なことくらいだ。花嫁という単語からはかけ離れた存在の自分に対して、ミロクがそんなことを言うことが信じられなかった。
「それこそ、俺以外がいいんじゃ……」
謙遜などではなかった。選ばれておいて捨てられるのなら、最初から選ばれないほうがいい。きっと、自分よりも相応しい誰かがいる。宗慈の胸に、怯えにも似た感情が去来する。
そんな宗慈を宥めるように、ミロクの手が頬を撫でた。
「宗慈。私は宗慈がいいんだ。だめかい?」
そんな甘やかな声で言われたら、断ることなんてできなかった。
「あ、う」
それでも、躊躇いはまだ残る。
「花嫁って、何をしたら……?」
「することは、何も変わらない。私の精を受けて、子を産んでほしい。山を豊かにして、新しいミロクを産んで、私と、ずっと一緒に居ておくれ」
甘やかに囁かれるその言葉は、ひどく魅力的なもののように思えた。
「もう帰してあげられないけど、いいかい?」
ミロクがその眉を下げ、申し訳なさそうに言う。
宗慈の胸に残る答えは、一つだけだった。
「……ミロク様がいいなら、おれは、いいです」
「ありがとう、宗慈。嬉しいよ」
自分のことなのに、過去のことはもう何も思い出せない。それでもよかった。
魂が、ミロクの方に引かれているような、そんな感覚すらも嬉しく思う。この美しい存在のものになれることが、ただ嬉しかった。
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