ミロクの山

はち

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悠真編

山神の寵愛

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 悠真、とミロクは何度も甘やかな声で名を呼ぶ。悠真にはもう、その名前と、ミロクだけが全てだった。

 もうずっと長いこと、纏うものは床に落ちたままで、その袖に悠真の腕が通ることはなかった。
 一糸纏わぬ姿のまま、悠真は柔らかな布団とミロクの身体の間に収められて愛されていた。

 絶え間なく与えられる快感は波のように悠真の意識を洗い、ミロクのことしか考えられなくなっていた。
 だらしなく開かれた脚の間、痩せた尻に何度もミロクの腰が打ち付けられる。
 胎の奥を突かれ捏ねられ、悠真は濁りの少ない迸りを吐いて果てた。

 悠真は、ミロクの花嫁になった。愛され、その胎でミロクの卵を産む。もう、元いた場所のことも、悠真の意識には残っていない。

 幾つ卵を産んだのかわからない。すっかりミロクに馴染んだ悠真の胎は、随分と多くの卵を産むようになっていた。
 ミロクに卵を入れられ、精を受け、快楽に揺られて卵を育てる。
 悠真はすっかりその行為の虜だった。

 悠真の腹は膨らんで、そこに幾つもの卵が入っているのがわかる。

「みぉ、ぅ、ひゃ、あ、も、れぅ、かぁ」

 舌がもつれ、言葉の体をなさない喘ぎのような声が上がる。それでもミロクはわかっているのか、律動を止め、ゆったりと猛りを引き抜く。
 中を擦りながらミロクが出ていく快感に、悠真は甘く啼き、身体を震わせる。
 埋めるものがなくなって、ひくつく後孔からは白濁が溢れた。

「あう、たあぉ、れ、う」

 内側から押し拡げて出てくる白い球体はしこりをすり潰し、悠真を絶頂へと押し上げる。

「あ、ひゃ」

 震える花芯が透明な飛沫を吐く。
 濡れた音を立てて、次々に出てくる白い球体。

「らぇ、あう、い、へぅかぁ」

 連なるように吐き出される卵は、あっという間に十五を数えた。
 それでも、卵は止まらない。

「あうぅ」

 粘液と白濁の混ざったものを纏い蕾を押し拡げ出てくる卵は、中のしこりを擦り、長く続く快感で悠真を苛んだ。
 出すもののなくなった花芯は震えながら天を仰いでいる。

「んう!」

 最後にひとつ、ひとまわり大きな卵が産まれた。

「っ、は、あ」

 悠真は胸を大きく喘がせた。
 二十を超える卵が産み落とされた。
 それは弾けるように割れると、中から黒い子蛇が生まれ、消えていく。

「よく頑張ったな、悠真」
「みぉくひゃ」

 労いの言葉に、溶けきった表情がさらに綻ぶ。甘やかな喜びに満ちた笑みをミロクに向ける悠真の頬を、ミロクは愛おしげに撫でた。

「可愛い子。お前のおかげでこの山も随分と豊かになった」
「ん」
「お前の胎も、すっかり熟れたようだ」

 悠真は半分瞼の落ちた目でミロクを見上げる。ミロクが言う言葉の意味を、ほとんどわかっていないようだった。

「私の子を、産んでくれるか?」
「んう、みぉく、ひゃ、ぉ……?」

 快感の嵐でもうすっかり蕩けてしまった悠真の舌は、甘ったれた声で溶けた言葉を紡ぐことしかできない。
 ミロクの唇が、汗の滲むこめかみに触れた。慈しむような口づけに、緩みきった悠真の表情は甘く綻ぶ。

「ん、うむ、たまご、うむ」

 悠真は譫言のように繰り返す。蕩けた笑みに応えるようにミロクは満足げに笑むと、悠真の薄くなった腹を撫でた。

「たくさん、産んでおくれ。お前の胎に、卵が宿ったら、ね」
「ひあ」

 敏感になった悠真の身体はそれだけで跳ねる。

「疲れただろう。今日はもうおやすみ」
「ん、ぁ」

 優しくあちこちに触れるミロクの唇の感触を追いながら、悠真の意識は微睡の闇に溶け出していった。
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