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シエナとジジ
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カーテンを開けると、寝室に眩い朝日が差し込む。
夏の終わりの青い空に太陽が昇り、広い空に光が溢れる。王都メイエヴァードは晴天だった。
アウファトの寝室からは、美しい朝の街並みが見える。
青白い石の街並みを眩い朝日が照らす。
窓を開ければ、涼やかな風が吹き込んでくる。夏が終わり、秋が近付いているのを肌で感じる。
アウファトが見上げた空は、少し色が薄くなり、遠くなったような気がした。
白い光の差す寝室は、朝の涼やかな空気に満たされていた。
昨日、洗濯物は片付かなかったが、身体を休めることはできた。
今日は研究所に行かなければならない。ジェジーニアを一日中ここに閉じ込めておくわけにもいかないので、研究所に連れていくつもりでいた。街も見せてやれるし、そばにいられた方がジェジーニアも安心するだろうと思ったからだ。
朝の空気を部屋に入れ、自分も深く息を吸う。朝の澄んだ空気は、どこか晴れないアウファトの気持ちを少しだけ軽くしてくれた。
静かに髪を揺らす風を一頻り楽しんで、アウファトは窓を閉めた。
寝台の上で、ジェジーニアが身動ぎした。どうやら目を覚ましたようだった。
「あう?」
「おはよう。ジジ」
「ん、おはよう」
まだ眠いようで、その声は甘くふやけている。
目を擦りながらゆったりと身体を起こしたジェジーニアは寝台の上で大きく伸びをした。大きな翼を揺らし、尾を震わせるとあくびをひとつする。
ジェジーニアは下履きだけの姿で起き出すと、窓辺にいるアウファトにそっと抱きついた。
優しく包み込むような温もりに、アウファトは動きを止めた。鼓動が早まる。蘇るのは素肌を合わせた記憶だ。
「あう、痛くない?」
耳朶をくすぐるのはアウファトを気遣う柔らかな声だ。
アウファトに角が当たらないように擦り寄るジェジーニアは、その腕でしっかりとアウファトを捕まえている。
「ああ、もう大丈夫だ」
「ふふ、よかった」
ジェジーニアは表情を蕩かす。昨日からずっとこんな調子だった。何をするにもアウファトの様子を窺って、痛くないかと訊いてくる。無体を働いたことをまだ気にしているようだった。
驚きはしたが、アウファトはもう気にしていない。あれは事故のようなものだ。
それよりも、アウファトには昨日の曖昧な記憶の方が気になっていた。ひどく幸せな気分だった、という記憶だけが残っている。
何かとても大事なものを捕まえた気がしたのに、気がつけば手元には何も残っていなかった。すり抜けてしまったものがなんなのか、アウファトはずっと気になっていた。
清々しい空模様とは真逆の気分だったが、そんなことばかりも言っていられない。仕事だ。
「ジジ、今日は出かけるぞ」
「出かける?」
「ああ。仕事だ。俺の研究所に行く」
「しごと? ケン、キュー?」
耳慣れない言葉にジェジーニアは首を傾げる。ジェジーニアには縁遠い言葉なのかもしれない。
「ジジには楽しくないかもしれないが、ここに一人でいるよりはいいだろう」
「ン、あうと一緒がいい」
ジェジーニアをエンダールで買った服に着替えさせて、アウファトは制服に袖を通す。王立研究所の研究員には制服が支給される。今は風をよく通す素材でできた夏服だ。
朝食を済ませた後、ジェジーニアと連れ立って研究所へと向かう。
メイエヴァードの街を二人で歩くのは初めてだ。街は賑やかで、商人や旅人が行き交う。
エンダールとは違う街並みを、ジェジーニアは興味深そうに眺めた。
「リウストラみたいだ」
ふと、ジェジーニアが零した。
「そうだな、あの街を手本にしたらしいから」
「そうなんだ」
メイエヴァードはリウストラの街を手本に作られたと言われている。初代リガトラ王が作った街だ。
アウファトはジェジーニアと並んで歩く。
大きな道に出ても、もう手を繋がなくてもジェジーニアはアウファトのそばを離れそうになかった。
「ジジ、約束してくれるか?」
「ん、約束? する。あうと約束する」
街を歩きながら、アウファトはジェジーニアに簡単な約束を持ちかけた。ジェジーニアが、この街で安全に暮らすためだ。
「勝手に俺から離れないこと」
「ン」
「おなかが減ったら、俺に言うこと。知らないやつからパンをもらったり、誰かから奪ったりしてはだめだ」
「うん」
「どこか苦しかったり、辛かったり、痛かったらすぐに言うこと」
「わかった。俺、あうから離れない。パンも取らない。苦しかったら言う」
ジェジーニアはアウファトの言葉を繰り返す。易しい言葉なので理解はできているようだった。行儀は決して悪くないが、それでもこの街で暮らすには不安が残る。ここは人間の街。ジェジーニアには暮らしにくいかもしれない。
「いい子だな、ジジ」
アウファトが褒めると、ジェジーニアは嬉しそうに喉を鳴らす。
聞き分けのいいジェジーニア。
今のジェジーニアを見ていると、あんなふうに強引なことをするようには思えなかった。
こんな短い期間に二度も発情するなんて、いよいよつがいというものが現実味を帯びてきた。
やはりあの壁に刻まれていたのは宣誓の言葉なのか。覚悟もないまま読み上げてしまったことを悔やんでも遅いが、今はジェジーニアをどうするか考えなくてはならない。
朝の賑やかな街。すれ違う顔見知りは皆不思議そうにジェジーニアを見る。
メイエヴァードにも竜人はいるが、それほど数は多くない。それにジェジーニアは背丈も大きく目立つ。珍しそうに遠巻きに眺めるくらいならいいが、絡まれると面倒だ。気性は穏やかそうだが、怒らないという保証もない。
なにせ竜王だ。失礼があってはならない。
アウファトは保護者であるのと同時に家臣のような気分だった。
研究室に着くと、もうシエナの姿があった。シエナは部屋の掃除をしていた。
アウファトは綺麗好きではあるが、彼のおかげで、部屋は快適に保てていると言っても過言ではない。
「おはよう、シエナ。いつもありがとう」
「アウファト様、おはようございます」
いつも通り挨拶を交わすアウファトの隣で、ジェジーニアはぐるると喉を低く鳴らし、眉を寄せて尾を左右に揺らす。どうやらシエナのことを警戒しているようだった。
「ジジ、シエナは悪いやつじゃない。助手だ」
唸るジェジーニアを宥めようと背中を撫でると、ジェジーニアは不思議そうな顔をしてアウファトを見た。
「ジョシュ?」
「ああ。弟みたいなものだ」
「あうの、弟……」
唸るような低音が止んだ。
「俺は、ジェジーニア。シエナ、ごめんなさい」
「いえ、俺の方こそ驚かせてしまってすみません、ジェジーニア。お会いできて光栄です」
シエナはジェジーニアに一礼すると、アウファトに向き直る。
「アウファト様、言葉は……」
古竜語しか喋れないと話していたのを思い出す。あの後、ジェジーニアは言葉を得た。その話もしなくてはいけなかったのを思い出してアウファトは肝を冷やす。
「ああ、その、体液から魔力の摂取ができるらしくて、俺の怪我の手当てをしてくれて、それで言葉を覚えたんだ」
さすがに自分の身に起こったことを包み隠さず話すのは躊躇われた。
「そうでしたか」
シエナは案外あっさり納得してくれた。シエナの物分かりの良さにアウファトは胸を撫で下ろした。
「あ、そうだ。ジェジーニアのために買ってきたんです」
シエナが応接用のテーブルから持ってきたのは深い茶色の紙袋だった。
ジェジーニアの目が輝く。どうやら袋の中身に気がついたようだった。
「僕のお気に入りのパンです。お口に合うといいのですが」
シエナが紙袋を差し出すと、ジェジーニアはアウファトの顔と紙袋を交互に見た。先程話した約束のことを気にしているだろう。
「シエナからならもらっても大丈夫だ」
「パン……シエナ、ありがとう」
ジェジーニアは満面の笑みでシエナから紙袋を受け取り、袋を覗き込む。嬉しそうに長い尾が揺れている。
「ふふ、パンだ」
ジェジーニアはシエナが買ってきてくれたパンが気に入ったようだった。
贈り物をもらって上機嫌なジェジーニアは、最初の警戒が嘘のように、すっかりシエナに心を許してしまった。
素直で、純粋なジェジーニア。
アウファトはその身に悪意の牙が及ばないよう、祈るばかりだった。
夏の終わりの青い空に太陽が昇り、広い空に光が溢れる。王都メイエヴァードは晴天だった。
アウファトの寝室からは、美しい朝の街並みが見える。
青白い石の街並みを眩い朝日が照らす。
窓を開ければ、涼やかな風が吹き込んでくる。夏が終わり、秋が近付いているのを肌で感じる。
アウファトが見上げた空は、少し色が薄くなり、遠くなったような気がした。
白い光の差す寝室は、朝の涼やかな空気に満たされていた。
昨日、洗濯物は片付かなかったが、身体を休めることはできた。
今日は研究所に行かなければならない。ジェジーニアを一日中ここに閉じ込めておくわけにもいかないので、研究所に連れていくつもりでいた。街も見せてやれるし、そばにいられた方がジェジーニアも安心するだろうと思ったからだ。
朝の空気を部屋に入れ、自分も深く息を吸う。朝の澄んだ空気は、どこか晴れないアウファトの気持ちを少しだけ軽くしてくれた。
静かに髪を揺らす風を一頻り楽しんで、アウファトは窓を閉めた。
寝台の上で、ジェジーニアが身動ぎした。どうやら目を覚ましたようだった。
「あう?」
「おはよう。ジジ」
「ん、おはよう」
まだ眠いようで、その声は甘くふやけている。
目を擦りながらゆったりと身体を起こしたジェジーニアは寝台の上で大きく伸びをした。大きな翼を揺らし、尾を震わせるとあくびをひとつする。
ジェジーニアは下履きだけの姿で起き出すと、窓辺にいるアウファトにそっと抱きついた。
優しく包み込むような温もりに、アウファトは動きを止めた。鼓動が早まる。蘇るのは素肌を合わせた記憶だ。
「あう、痛くない?」
耳朶をくすぐるのはアウファトを気遣う柔らかな声だ。
アウファトに角が当たらないように擦り寄るジェジーニアは、その腕でしっかりとアウファトを捕まえている。
「ああ、もう大丈夫だ」
「ふふ、よかった」
ジェジーニアは表情を蕩かす。昨日からずっとこんな調子だった。何をするにもアウファトの様子を窺って、痛くないかと訊いてくる。無体を働いたことをまだ気にしているようだった。
驚きはしたが、アウファトはもう気にしていない。あれは事故のようなものだ。
それよりも、アウファトには昨日の曖昧な記憶の方が気になっていた。ひどく幸せな気分だった、という記憶だけが残っている。
何かとても大事なものを捕まえた気がしたのに、気がつけば手元には何も残っていなかった。すり抜けてしまったものがなんなのか、アウファトはずっと気になっていた。
清々しい空模様とは真逆の気分だったが、そんなことばかりも言っていられない。仕事だ。
「ジジ、今日は出かけるぞ」
「出かける?」
「ああ。仕事だ。俺の研究所に行く」
「しごと? ケン、キュー?」
耳慣れない言葉にジェジーニアは首を傾げる。ジェジーニアには縁遠い言葉なのかもしれない。
「ジジには楽しくないかもしれないが、ここに一人でいるよりはいいだろう」
「ン、あうと一緒がいい」
ジェジーニアをエンダールで買った服に着替えさせて、アウファトは制服に袖を通す。王立研究所の研究員には制服が支給される。今は風をよく通す素材でできた夏服だ。
朝食を済ませた後、ジェジーニアと連れ立って研究所へと向かう。
メイエヴァードの街を二人で歩くのは初めてだ。街は賑やかで、商人や旅人が行き交う。
エンダールとは違う街並みを、ジェジーニアは興味深そうに眺めた。
「リウストラみたいだ」
ふと、ジェジーニアが零した。
「そうだな、あの街を手本にしたらしいから」
「そうなんだ」
メイエヴァードはリウストラの街を手本に作られたと言われている。初代リガトラ王が作った街だ。
アウファトはジェジーニアと並んで歩く。
大きな道に出ても、もう手を繋がなくてもジェジーニアはアウファトのそばを離れそうになかった。
「ジジ、約束してくれるか?」
「ん、約束? する。あうと約束する」
街を歩きながら、アウファトはジェジーニアに簡単な約束を持ちかけた。ジェジーニアが、この街で安全に暮らすためだ。
「勝手に俺から離れないこと」
「ン」
「おなかが減ったら、俺に言うこと。知らないやつからパンをもらったり、誰かから奪ったりしてはだめだ」
「うん」
「どこか苦しかったり、辛かったり、痛かったらすぐに言うこと」
「わかった。俺、あうから離れない。パンも取らない。苦しかったら言う」
ジェジーニアはアウファトの言葉を繰り返す。易しい言葉なので理解はできているようだった。行儀は決して悪くないが、それでもこの街で暮らすには不安が残る。ここは人間の街。ジェジーニアには暮らしにくいかもしれない。
「いい子だな、ジジ」
アウファトが褒めると、ジェジーニアは嬉しそうに喉を鳴らす。
聞き分けのいいジェジーニア。
今のジェジーニアを見ていると、あんなふうに強引なことをするようには思えなかった。
こんな短い期間に二度も発情するなんて、いよいよつがいというものが現実味を帯びてきた。
やはりあの壁に刻まれていたのは宣誓の言葉なのか。覚悟もないまま読み上げてしまったことを悔やんでも遅いが、今はジェジーニアをどうするか考えなくてはならない。
朝の賑やかな街。すれ違う顔見知りは皆不思議そうにジェジーニアを見る。
メイエヴァードにも竜人はいるが、それほど数は多くない。それにジェジーニアは背丈も大きく目立つ。珍しそうに遠巻きに眺めるくらいならいいが、絡まれると面倒だ。気性は穏やかそうだが、怒らないという保証もない。
なにせ竜王だ。失礼があってはならない。
アウファトは保護者であるのと同時に家臣のような気分だった。
研究室に着くと、もうシエナの姿があった。シエナは部屋の掃除をしていた。
アウファトは綺麗好きではあるが、彼のおかげで、部屋は快適に保てていると言っても過言ではない。
「おはよう、シエナ。いつもありがとう」
「アウファト様、おはようございます」
いつも通り挨拶を交わすアウファトの隣で、ジェジーニアはぐるると喉を低く鳴らし、眉を寄せて尾を左右に揺らす。どうやらシエナのことを警戒しているようだった。
「ジジ、シエナは悪いやつじゃない。助手だ」
唸るジェジーニアを宥めようと背中を撫でると、ジェジーニアは不思議そうな顔をしてアウファトを見た。
「ジョシュ?」
「ああ。弟みたいなものだ」
「あうの、弟……」
唸るような低音が止んだ。
「俺は、ジェジーニア。シエナ、ごめんなさい」
「いえ、俺の方こそ驚かせてしまってすみません、ジェジーニア。お会いできて光栄です」
シエナはジェジーニアに一礼すると、アウファトに向き直る。
「アウファト様、言葉は……」
古竜語しか喋れないと話していたのを思い出す。あの後、ジェジーニアは言葉を得た。その話もしなくてはいけなかったのを思い出してアウファトは肝を冷やす。
「ああ、その、体液から魔力の摂取ができるらしくて、俺の怪我の手当てをしてくれて、それで言葉を覚えたんだ」
さすがに自分の身に起こったことを包み隠さず話すのは躊躇われた。
「そうでしたか」
シエナは案外あっさり納得してくれた。シエナの物分かりの良さにアウファトは胸を撫で下ろした。
「あ、そうだ。ジェジーニアのために買ってきたんです」
シエナが応接用のテーブルから持ってきたのは深い茶色の紙袋だった。
ジェジーニアの目が輝く。どうやら袋の中身に気がついたようだった。
「僕のお気に入りのパンです。お口に合うといいのですが」
シエナが紙袋を差し出すと、ジェジーニアはアウファトの顔と紙袋を交互に見た。先程話した約束のことを気にしているだろう。
「シエナからならもらっても大丈夫だ」
「パン……シエナ、ありがとう」
ジェジーニアは満面の笑みでシエナから紙袋を受け取り、袋を覗き込む。嬉しそうに長い尾が揺れている。
「ふふ、パンだ」
ジェジーニアはシエナが買ってきてくれたパンが気に入ったようだった。
贈り物をもらって上機嫌なジェジーニアは、最初の警戒が嘘のように、すっかりシエナに心を許してしまった。
素直で、純粋なジェジーニア。
アウファトはその身に悪意の牙が及ばないよう、祈るばかりだった。
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