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黒き怒り
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その様を見ていた者がいた。地上ではないどこか。世界の果ての、竜王の宮で。
竜王には遠見の権能がある。竜王の宮にいながら、己の守る地の様子を知ることができた。
黒き竜王トルヴァディアは、虚空に映る様子を食い入るように見つめた。
その喉が怒りに低く鳴る様は、荒れ狂う雷鳴の轟きにも似ていた。
「やめろ、トルヴァディア。掟を、誓いを忘れたか」
その怒りを察して、傍にいた白き竜王フィノイクスが静かに諌める。
「あれを許せというのか。そんなこと、できるわけがない。最愛の者をあんな風に殺されて、許すことなどできるものか」
「馬鹿か、永遠に引き裂かれるぞ」
「それがどうした。俺はたった今、引き裂かれた」
トルヴァディアの言葉に、フィノイクスは言葉を失う。
「最愛の伴侶を失った。死んだも同然だ。神がなんだ。俺たちにこんなものを課して、最愛の者が穢され壊されるのを黙って見届けろと言うのか。そんなものに、俺は従わない」
低く唸るようなトルヴァディアの声。
「今までもこれからも、愛するのはフィーだけだ」
フィノイクスにも、言っていることはわかる。
だがそれはあまりに愚かで、それでいてトルヴァディアらしい言い分だった。
「バカだよ、お前は」
「すまない、フィノ」
トルヴァディアは悲しげに笑った。
「ジェジーニアを、頼む」
トルヴァディアの手元に現れたのは、彼の背丈よりも長い、黒い槍だった。
それは、竜王がこの世に造られて以来、黒き竜王に受け継がれる竜王の槍だった。
地には長く暗い影が落ちていた。
石畳を赤く染めるのは、黄昏ではなく王の血であった。
そこへ、黒い旋風が音もなく舞い降りた。
全てを薙ぎ払うかのような容赦のない強い風が吹きつけ、そこにいた誰もがそちらを見た。
風の起こった場所には、黒い影があった。
禍々しさすら感じる深い色の黄昏を背に、黒き竜王トルヴァディアが怒りを隠しもせずそこに佇んでいた。その身からは、黒い煙のようなものが立ち昇る。黒き竜王の権能である強い呪詛の力が具現化したものだった。
緩く曲線を描く四本の漆黒の角、大きな竜翼、長い尾は漆黒に煌めく鱗に覆われている。黒い鎧とたなびく外套を纏い、その手に握られるのは漆黒の槍だった。
漆黒の中に一際眩く輝く金の瞳は怒りを映し、燃えるように揺らめく。
その喉は地の底から響くような重く低い唸りをあげていた。
手に握られた竜王の槍のひとなぎで、王の亡骸の周りの人垣は残らず吹き飛んだ。竜王の呪詛を含む重い斬撃は容易く人をただの肉塊に変えた。竜王の力を前に、人は無力だった。
竜王はそのまま血溜まりを歩き、ゆっくりと王の亡骸の前まで進んだ。そして、自らが汚れることも厭わず血の海にその膝をついた。
最愛の者の無惨な姿を前に、立ち昇る怒りが鳴りを潜めた。
「フィー」
亡骸に向かって掛けられたその声は、愛しい者へ向けられる甘く優しいものだった。
竜王の手は美しい両目を失った痛々しい首へ伸び、優しく持ち上げた。温もりを無くし、血で汚れた唇へ、竜王は恭しく口づけを落とした。
王はそっと首を置き、その亡骸に自らの外套を剥いで掛け、隠した。
竜王はその場に残る人間を鋭く睨め付けた。その瞳に宿る怒りは再び温度を上げ、炎のように揺らめいた。
その場に残ったのは、心臓を食らったもの、はらわたを食らったもの、眼球を食らったものが二人。
竜王はひとなぎで眼球を食らったものを二人切り捨てた。目にも止まらぬ斬撃は二人の首を落とし、腹を裂いた。竜王は赤黒い血とともに零れ落ちた王の美しい眼球を取り戻した。
次いで竜王の槍はその穂先ではらわたを食らったものの心臓を突いた。深々と胸に突き刺さったそれは、容易く心臓を止めた。そして、竜王は男の腹を裂いてはらわたを取り戻した。
その場に残ったのは、心臓を奪ったもの。竜王はエンタロトと対峙した。
それは壮絶な打ち合いであった。
竜王の槍と、王を屠った断罪のための剣がぶつかる。
幾度となく鳴り響く剣戟の音。刃がぶつかり、擦れ合う甲高い金属音が、二人分の荒い呼吸が、黄昏の迫る王都に響いた。
竜王の重い斬撃に人間であるエンタロトが耐えられているのは、王の心臓と血、そして断罪の剣のおかげだった。将軍として鍛錬を積んできたエンタロトであっても、竜王の膂力の前にはその力など無いに等しい。
心臓を食らったエンタロトは幾度首を斬られても、心臓を潰されても倒れなかった。
王の心臓が齎す、長命の力であった。
竜王はエンタロトの腹を裂いて心臓を取り戻した。
しかし、心臓を食らったエンタロトはそれでも死ななかった。
エンタロトの足が、漆黒の外套に隠された亡骸を踏み躙る。
トルヴァディアがそれを許すはずもない。
地を揺るがすほどの重い咆哮を響かせ、竜王は槍を再びエンタロトへ向けて振るう。
そこへ生まれたわずかな隙を、エンタロトは見逃さなかった。エンタロトの仕組んだ罠だった。
その剣が、竜王の胸を貫いた。
王の賜った剣は、本来、道を誤った竜王を処断するためのもの。竜王のつがいたる白き王が賜った、竜王を殺すための唯一の剣だった。
鎧を貫き、胸へと深く突き立てられる刃は、竜王の心臓に到達していた。
竜王は膝をつき、槍を地に突き刺した。
竜王はエンタロトを睨み、笑い、呪詛を吐いた。
「王を奪った者たちよ。王をこわし、貶めた者たちよ、私はお前たちを赦さない。お前たちは未来永劫、己の罪を悔い、嘆き、苦しむがいい。お前の魂を削いでやる。お前の魂が、果てるまで、尽きるまで、永遠に、だ」
エンタロトはその声に怯むことなく、再び剣を構えた。
エンタロトの手によって首を落とされ、竜王は息絶えた。血で汚れた石畳の上に、竜王の身体が崩れ落ちる。
王の血の上に、竜王の血が広がった。
竜王は、つがい以外の生に深く関わってはならない。殺すこともである。
竜王の掟だった。
それを破ったものは二度と戻れない。
その魂は未来永劫暗く冷たい最果てに封じられ、生まれ変わることも叶わない。
神の代行者たる竜王に課せられた責務。
それを投げ打って、黒き竜王は伴侶を貶めたものを裁いた。呪った。
最愛の白き王を、悼んだ。
その身が、魂が、二度と彼に会えなくなっても構わなかった。
黒き竜王は愛情深い。
最愛の白き王を殺され、穢されたその怒りは察するに余りあるほどだった。
ジエクノウスはその役目を終え、ただの剣になった。
石畳に突き立てられた竜王の槍にエンタロトが手を掛けたが、それは微動だにせず、抜くことはできなかった。
太陽は地平の彼方へその姿を隠そうとしていた。
夜の闇が迫る中、エンタロトは静かに王都を去った。
そして、血濡れた王都には静かに雨が降り出した。
日が沈み、黄昏が夜の闇に変わる頃、白き王と黒き竜王の血を洗い流すと雨はやがて雪になり、全てを覆い隠した。
神が悼み、降らせたものだった。
神代の、終わりだった。
それ以降、王都は雪に閉ざされた。厚く暗い雲が晴れることはなかった。
全てを拒むように吹雪が吹き荒れ、誰もいなくなった街は冷たく閉ざされた。
美しい白い花に覆われた平原はいつしか白い雪に覆われ、冷たい静寂の中に沈んだ。
その後、しばらくしてエンタロトは死んだ。
王都リウストラ陥落から十年が経った後であった。
その最期は、壮絶であったという。
魂を削ぎ落とすという竜王の言葉の如く、その魂の深くまで食い込んだ黒き竜王の呪詛はその生を食い荒らした。
魂と共に痩せ細り、苦痛に喘ぎ、悲痛な嘆きの中、最期を迎えたという。
竜王には遠見の権能がある。竜王の宮にいながら、己の守る地の様子を知ることができた。
黒き竜王トルヴァディアは、虚空に映る様子を食い入るように見つめた。
その喉が怒りに低く鳴る様は、荒れ狂う雷鳴の轟きにも似ていた。
「やめろ、トルヴァディア。掟を、誓いを忘れたか」
その怒りを察して、傍にいた白き竜王フィノイクスが静かに諌める。
「あれを許せというのか。そんなこと、できるわけがない。最愛の者をあんな風に殺されて、許すことなどできるものか」
「馬鹿か、永遠に引き裂かれるぞ」
「それがどうした。俺はたった今、引き裂かれた」
トルヴァディアの言葉に、フィノイクスは言葉を失う。
「最愛の伴侶を失った。死んだも同然だ。神がなんだ。俺たちにこんなものを課して、最愛の者が穢され壊されるのを黙って見届けろと言うのか。そんなものに、俺は従わない」
低く唸るようなトルヴァディアの声。
「今までもこれからも、愛するのはフィーだけだ」
フィノイクスにも、言っていることはわかる。
だがそれはあまりに愚かで、それでいてトルヴァディアらしい言い分だった。
「バカだよ、お前は」
「すまない、フィノ」
トルヴァディアは悲しげに笑った。
「ジェジーニアを、頼む」
トルヴァディアの手元に現れたのは、彼の背丈よりも長い、黒い槍だった。
それは、竜王がこの世に造られて以来、黒き竜王に受け継がれる竜王の槍だった。
地には長く暗い影が落ちていた。
石畳を赤く染めるのは、黄昏ではなく王の血であった。
そこへ、黒い旋風が音もなく舞い降りた。
全てを薙ぎ払うかのような容赦のない強い風が吹きつけ、そこにいた誰もがそちらを見た。
風の起こった場所には、黒い影があった。
禍々しさすら感じる深い色の黄昏を背に、黒き竜王トルヴァディアが怒りを隠しもせずそこに佇んでいた。その身からは、黒い煙のようなものが立ち昇る。黒き竜王の権能である強い呪詛の力が具現化したものだった。
緩く曲線を描く四本の漆黒の角、大きな竜翼、長い尾は漆黒に煌めく鱗に覆われている。黒い鎧とたなびく外套を纏い、その手に握られるのは漆黒の槍だった。
漆黒の中に一際眩く輝く金の瞳は怒りを映し、燃えるように揺らめく。
その喉は地の底から響くような重く低い唸りをあげていた。
手に握られた竜王の槍のひとなぎで、王の亡骸の周りの人垣は残らず吹き飛んだ。竜王の呪詛を含む重い斬撃は容易く人をただの肉塊に変えた。竜王の力を前に、人は無力だった。
竜王はそのまま血溜まりを歩き、ゆっくりと王の亡骸の前まで進んだ。そして、自らが汚れることも厭わず血の海にその膝をついた。
最愛の者の無惨な姿を前に、立ち昇る怒りが鳴りを潜めた。
「フィー」
亡骸に向かって掛けられたその声は、愛しい者へ向けられる甘く優しいものだった。
竜王の手は美しい両目を失った痛々しい首へ伸び、優しく持ち上げた。温もりを無くし、血で汚れた唇へ、竜王は恭しく口づけを落とした。
王はそっと首を置き、その亡骸に自らの外套を剥いで掛け、隠した。
竜王はその場に残る人間を鋭く睨め付けた。その瞳に宿る怒りは再び温度を上げ、炎のように揺らめいた。
その場に残ったのは、心臓を食らったもの、はらわたを食らったもの、眼球を食らったものが二人。
竜王はひとなぎで眼球を食らったものを二人切り捨てた。目にも止まらぬ斬撃は二人の首を落とし、腹を裂いた。竜王は赤黒い血とともに零れ落ちた王の美しい眼球を取り戻した。
次いで竜王の槍はその穂先ではらわたを食らったものの心臓を突いた。深々と胸に突き刺さったそれは、容易く心臓を止めた。そして、竜王は男の腹を裂いてはらわたを取り戻した。
その場に残ったのは、心臓を奪ったもの。竜王はエンタロトと対峙した。
それは壮絶な打ち合いであった。
竜王の槍と、王を屠った断罪のための剣がぶつかる。
幾度となく鳴り響く剣戟の音。刃がぶつかり、擦れ合う甲高い金属音が、二人分の荒い呼吸が、黄昏の迫る王都に響いた。
竜王の重い斬撃に人間であるエンタロトが耐えられているのは、王の心臓と血、そして断罪の剣のおかげだった。将軍として鍛錬を積んできたエンタロトであっても、竜王の膂力の前にはその力など無いに等しい。
心臓を食らったエンタロトは幾度首を斬られても、心臓を潰されても倒れなかった。
王の心臓が齎す、長命の力であった。
竜王はエンタロトの腹を裂いて心臓を取り戻した。
しかし、心臓を食らったエンタロトはそれでも死ななかった。
エンタロトの足が、漆黒の外套に隠された亡骸を踏み躙る。
トルヴァディアがそれを許すはずもない。
地を揺るがすほどの重い咆哮を響かせ、竜王は槍を再びエンタロトへ向けて振るう。
そこへ生まれたわずかな隙を、エンタロトは見逃さなかった。エンタロトの仕組んだ罠だった。
その剣が、竜王の胸を貫いた。
王の賜った剣は、本来、道を誤った竜王を処断するためのもの。竜王のつがいたる白き王が賜った、竜王を殺すための唯一の剣だった。
鎧を貫き、胸へと深く突き立てられる刃は、竜王の心臓に到達していた。
竜王は膝をつき、槍を地に突き刺した。
竜王はエンタロトを睨み、笑い、呪詛を吐いた。
「王を奪った者たちよ。王をこわし、貶めた者たちよ、私はお前たちを赦さない。お前たちは未来永劫、己の罪を悔い、嘆き、苦しむがいい。お前の魂を削いでやる。お前の魂が、果てるまで、尽きるまで、永遠に、だ」
エンタロトはその声に怯むことなく、再び剣を構えた。
エンタロトの手によって首を落とされ、竜王は息絶えた。血で汚れた石畳の上に、竜王の身体が崩れ落ちる。
王の血の上に、竜王の血が広がった。
竜王は、つがい以外の生に深く関わってはならない。殺すこともである。
竜王の掟だった。
それを破ったものは二度と戻れない。
その魂は未来永劫暗く冷たい最果てに封じられ、生まれ変わることも叶わない。
神の代行者たる竜王に課せられた責務。
それを投げ打って、黒き竜王は伴侶を貶めたものを裁いた。呪った。
最愛の白き王を、悼んだ。
その身が、魂が、二度と彼に会えなくなっても構わなかった。
黒き竜王は愛情深い。
最愛の白き王を殺され、穢されたその怒りは察するに余りあるほどだった。
ジエクノウスはその役目を終え、ただの剣になった。
石畳に突き立てられた竜王の槍にエンタロトが手を掛けたが、それは微動だにせず、抜くことはできなかった。
太陽は地平の彼方へその姿を隠そうとしていた。
夜の闇が迫る中、エンタロトは静かに王都を去った。
そして、血濡れた王都には静かに雨が降り出した。
日が沈み、黄昏が夜の闇に変わる頃、白き王と黒き竜王の血を洗い流すと雨はやがて雪になり、全てを覆い隠した。
神が悼み、降らせたものだった。
神代の、終わりだった。
それ以降、王都は雪に閉ざされた。厚く暗い雲が晴れることはなかった。
全てを拒むように吹雪が吹き荒れ、誰もいなくなった街は冷たく閉ざされた。
美しい白い花に覆われた平原はいつしか白い雪に覆われ、冷たい静寂の中に沈んだ。
その後、しばらくしてエンタロトは死んだ。
王都リウストラ陥落から十年が経った後であった。
その最期は、壮絶であったという。
魂を削ぎ落とすという竜王の言葉の如く、その魂の深くまで食い込んだ黒き竜王の呪詛はその生を食い荒らした。
魂と共に痩せ細り、苦痛に喘ぎ、悲痛な嘆きの中、最期を迎えたという。
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