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05.いつつめ

06.双子のスキル(その1)

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とある日ベティ(龍神)は、ディオネとレアを連れて魔獣が大量に出没するという草原へとやってきた。
近くの村から火龍新神殿に魔獣退治をして欲しいと懇願されたためだった。

さて、ベティ(龍神)は、ディオネとレア、それとお付きの神官4人でのんびりと草原を歩いていた。
すると、いるわいるわ。草原中が魔獣だらけだった。

「しかし、どこからこんなに魔獣が沸いたのかの。毎年魔獣退治は欠かさずにやっておったはずじゃがな。」

ベティ(龍神)は、国内を年に数回は周って魔獣退治をっていた。そして狩った魔獣の部位の売り上げを魔獣討伐を依頼してきた村や街と火龍神殿で折半していた。
村や街にしてみれば、魔獣を倒したベティ(火龍神殿)に魔獣討伐の依頼料を払い、かつベティ(龍神)が倒した魔獣は全てベティの物になるのが相場であった。

しかしベティ(龍神)は、魔獣の部位の売り上げを折半にしたことで、村や街は臨時収入により潤っていた。

「どれ、あの丘の上から状況を確認してみるのじゃ。」

ベティ達が草原を歩くと、魔獣達が餌場に迷い込んだ獲物と勘違いして寄って来るのだが、そんな魔獣は、敵の力量も測れない低級な魔獣ばかりだった。
そんな魔獣達は、お付きの神官達が剣のひと振りであっさりと退治していった。

ベティ(龍神)に付き従っている神官は、ただの神官ではなかった。
どちらかと言えば、神官と神殿騎士の両方の能力を兼ね備えた者達だった。

冒険者のランクで言えばSランクを遥かに凌駕する者達ばかりが集まり、ベティ(龍神)の護衛を勤めていた。

火龍神殿の通常の神官服の生地は白地だが、ベティ(龍神)の護衛を勤める神官達の神官服は、白地で裾に向かって赤く染まる特別製だ。

この裾が赤い神官服を着た神官は、戦闘専門の神官、いや名目は神官となっているが、実質は神殿騎士であった。
ベティの戦闘力に憧れて世界中から集まってきた強者共から選りすぐった輩だ。
ただ、火龍神殿の主のベティ(龍神)は、ゆるい性格のためか集まった強者共も、いわゆる戦闘狂というよりもおかしな性格というか変わり者が多かった。



ベティは、丘の上に立つと当たりを見回した。
すると、何やらダンジョンの入り口の様なものが草原の外れに出来ており、そこから魔獣がぽつぽつと草原に沸いて出て来ていた。

「ほお、ダンジョンか。小さいがダンジョンが出来ておるのか。」

ベティは、探査の魔術で草原の外れにあるダンジョンの内部構造を調べた。

「ほう、20層からなるダンジョンじゃな。まだ出来て間もないようじゃ。」

「ベティ様、いかがされますか。我々がダンジョンに入って魔獣を退治してまいりましょうか。」

お付きの神官がベティにダンジョン討伐を懇願した。
ベティは、無い知恵を絞って考えた。
元々ベティは、考えるよりも行動が先に出る脳筋の類だった。

「そうじゃな、本来ならダンジョン内に入って魔獣を倒しながら、最奥のダンジョンマスターを討伐するのが好みなのじゃが、今回は近くの村から魔獣討伐の依頼が来ておるかなの。簡単に済ませてしまうのじゃ。」

「まずは、草原に溢れた魔獣をどうにかせねばなるまい。」

そこでベティ(龍神)は、ふとある事に気が付いた。

「そういえば、おぬしらは"龍神の業火"を見た事はあったかの。」

ベティの何気ない言葉に、お付きの神官達は、ぴくりとまゆを上げて即座に反応した。

「いえ。まだ一度も見た事はございません。」

「そうか、ならせっかくなのじゃ。この場で"龍神の業火"がどういったものか見せるのじゃ。」

「ただな、龍神の業火は広範囲殲滅魔法じゃ。危ないからわしの後ろに下がっておれ。」

「ディオネとレアもよく見ておくのじゃ。龍神になれば、この"龍神の業火"が使えるようになる。」

「ディオネとレアが"龍神の業火"を使えるようになるには、あと数百年はかかると思うが、それまでに鍛錬を積む事じゃ。」

ベティは、数歩ほど皆の前に出ると、龍神のみが会得できるスキルを唱えた。

「龍神の業火。」

すると、草原の数kmの範囲に青い炎が揺らめきだし、やがてあちこちから数百の青い炎の柱が現れ草原を縦横無尽に暴れ回る魔獣達の体を焼き尽くし始めた。

この青い炎で焼かれた魔獣達は、己の体を炎で焼かれる痛みを感じない。
しかし、気が付くと体が青い炎で覆われいつの間にか灰の塊と化して地面に崩れ落ちていく。

草原の魔獣達は、ものの数秒で灰と化して草原からその存在を消していった。
お付きの神官達は、言葉が出ずにただ"龍神の業火"の破壊っぷりを眺めていた。

「まっ、まさかこんなスキルがあろうとは。龍神の力とは凄まじいの一言につきる。」

「ベティ様が言っておられた魔族と魔獣を数万単位で退治するというのは、この事でしたか。」

「これでは、我々が何万と束になって戦いを挑んだところで、どうにかなる物ではない。」

「恐ろしいと言う以外の言葉が見つけられません。」

ディオネとレアも、初めて見た姉の"龍神の業火"に返す事が思い浮かばなかった。

「…姉さん、すごい。」

「龍神ってこんな力を持っているの。」

だが、ベティはあまり浮かない顔をしていた。

「この"龍神の業火"はの。一度に何度も使えんのじゃ。魔力の消費量が半端なくての。」

「なので、戦争にはあまり向かん。仲間に守られて初めて使えるスキルじゃ。撃ったら逃げる。これに尽きるのじゃ。」

焼け野原になった草原にポツポツと灰の塊が残る中を、若いダンジョンに向かって歩くベティ達。
やがて若いダンジョンの入り口の前へと来ると、ベティは、皆に向かって言った。

「本来であれば、このダンジョンに入って皆で魔獣を討伐しながら最奥のダンジョンマスターを討伐すべきなのじゃが、今回は近くの村から魔獣退治を懇願されているからの、一気にダンジョンを討伐してしまうのじゃ。」

「では、今から見せるのはな、一番やってはいかんことじゃ。」

「とは言え、わししかできん芸当じゃがの。」

ベティ(龍神)がそう言うと、ダンジョンの入り口に立ち龍神のスキルを唱えた。

「龍神の業火。」

ベティの放った龍神の業火は、ダンジョンの入口からダンジョンの内部へと入り、ダンジョン内の魔獣という魔獣を次々と焼き尽くしていった。

しばらくするとダンジョン内を焼き尽くしていた青い炎は消え、1体の魔獣すらいない静かなダンジョンだけが残された。
ベティが探査の魔術でダンジョン内をくまなく探査してみたが、魔獣の反応は皆無だった。

「探査の魔術には、魔獣の反応がないようじゃ。これでダンジョン討伐も終わりじゃ。」

お付きの神官達は、ただ呆気に取られるだけだった。

「えっ。えーと。あの一撃で20層からなるダンジョンの魔獣を全て討伐したというのですか。いったいどれだけの力を秘めているのか。」

「もう、何も言えん。ベティ様がいれば、この世界の国々を統一できるのではないか。」

ベティは、神官が発したその言葉に反応した。

「安心せい。わしは、国の祭りごとに興味などない。興味があるのは美味い食い物だけじゃ。」

「では、帰るぞ。」

ベティは、そう言うと皆をひきつれて魔獣討伐を懇願して来た近くの村へと戻ろうとした時だった。
ベティの目の前に宝珠が出現した。
これは、ダンジョンマスターを討伐した際に、褒賞として出される宝珠のようだった。

「なんじゃ、今の一撃でダンジョンマスターも討伐してしまったのか。つまらんのじゃ。」

お付きの神官達は、もう一言も発する事ができなかった。
ディオネもレアもお互いの顔を見ながら目を見張った。

姉のベティは、ダンジョンに入らずにダンジョンマスターを一撃で葬ってしまったのだ。
龍神の持つ力とは、こんなにもすごいものなのか。

自分達は、これを目指さなけばならないのか。
あまりの姉の凄さに、体が小刻みに震えるディオネとレアであった。

しかし、ただ震えるだけではなかった。
ディオネは、思った。あの力が欲しい。いや、あの力を越える力が欲しいと。

以前、女神様に願った時は、人化の術を授かった。
まさか女神様に願ったらこんな力が手に入るのかと。

いや、願って手に入る様な簡単なものではないはず。しかし、願ってみてダメなら諦めよう。
その時は、素直に龍神へと到達する長い道を一歩ずつ歩もう。

しかしディオネは、心の奥底から沸き上がる何かを感じていた。

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ワンモア・フリーライフ・オンライン

続けております。
11人制の武闘で褒賞目当てでMasterⅤに留まっていましたが、フレンドさんにおだてられてLegendに到達しました。
1周年記念で★5キャラやら妖精が潤沢に揃ったおかげです。
運営さんありがとうございます。

ただ、喜んでばかりもいられません。
ワンモアを始めてあまり日数の立っていない初心者さんを選んでフレンド登録依頼をしています。
理由は、ワンモアが進まなくなって辞めてしまわないように少しでもサポートするためです。
大きなお世話かもしれませんが。※現在、生産Lv130。

「無言トレード(生産依頼)OKです。いつでもどうぞ」としていますが、いつの間にかワンモアをやらなくなってしまうようです。
たまにで良いので戻って来て欲しいですね。
復帰お待ちしております。
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