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18.火龍の神殿
26.火龍神殿の攻防。(その1)
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「ということだ、今までの敵より遥かに強敵だと思ってくれ。」
俺が皆に諜報部の人から聞いた話を説明した。
「久しぶりの闘いじゃ、腕が鳴るのじゃ。」
「ベティ、何度も説明したはずだが、お前は今回は闘いに参加するな。」
「なぜじゃ、わしがいればあんな連中すぐに片付くぞ。」
「お前、何にも話を聞いていないな。」
「お前を殺しにくるんだから。お前を守るために俺達は闘うの。分かるか。」
「分からん。目の前に敵がいたら闘うのみじゃ。」
俺は、がっくりしてしゃがみ込んでしまった。
どうすればいい。闘いが始まったらベティは、真っ先に闘いの中に飛び込むぞ。
「よし、分かった。ベティには一番美味しい役を与える。」
「礼拝堂の祭壇の正面で一番強いやつが来るのを待っている役だ。一番強い敵と戦えるのはこのチームで一番強いやつだ。それがベティお前だ。どうだ。」
「おー。分かった。わしが一番強いから一番強い敵と闘うんだな。分かったぞ。雑魚は任せる。」
ベティが単純でよかった。変に正義感とか出されると面倒で困るしな。
さて、当番で見張りを立てて龍殺しの一族が来るのを待ち構える覚悟をしていたところ、そいつらはいきなりやってきた。
諜報部の人は、それが分かっていてあのタイミングで話かけてきたのか。
龍殺しの一族が一週間後に来られたら俺達じゃ中だるみしてたろうな。
さて、チームの全員に非常事態を告げて、所定の場所に配置についてもらった。
神官達は、神殿の奥の部屋から出てこないように話してある。
神殿の従業員さん達には、温泉風呂の休憩所で一晩過ごしてもらった。
神殿近くの兵士の詰め所は、誰もいないかのようにもとても静かだった。
神殿の屋根の上から参道を見回すと、往来のない参道の階段を12人の男達が音もなく上ってくる。
探査で確認しても何の反応もない。魔法アイテムなのか魔法で隠蔽しているのか分からないが、かなり便利そうなスキルだな。
クリスにお願いして奪ってもらおうか真剣に悩んでしまった。
夜の暗い参道を上りきると神殿前の広場に龍殺しの男達がたたずんでいた。
もう一度、男達の数を数えてみると、あれ、さっきまで12人いたはずだ。まずい見失ったか。
諜報部の人が言っていたが、暗殺を生業にしているような連中を相手にするには、俺の経験やスキルではしょぼすぎた。
すると、阿行と吽行のゴーレムが突然動き出した。
阿行のゴーレムが向かう先には、誰もいないように見える。
突然、ゴーレムが何もないはずの場所でいきなり腕を振るった。すると誰もいないはずの場所から男が現れゴーレムが振るった腕によって吹き飛ばされていた。
吽行のゴーレムも誰もいないはずの場所でいきなり腕を振るいはじめた。
すると、こちらにも突然男が現れ側転をしながらゴーレムの攻撃をかわしていた。
阿行と吽行のゴーレムは、各2人の男と闘っているようだが、すぐに姿と気配が消えてしまうので正確な数が分からない。
神殿前の広場で、阿行と吽行のゴーレムが龍殺しの一族と格闘している少し後ろには、召喚された阿行と吽行が腕を組んで静かにたたずんでいた。
召喚された阿行と吽行は、神殿の入り口から侵入しようとする龍殺しの一族を阻止するためあえて動かないでいた。
突然、阿行と吽行が目にも止まらぬ速さで腕を横に付突き出した。
やはりだ。さっきまで誰もいないはずの場所に男が現れた。手には剣を構えて阿行と吽行の間合いからギリギリの所を円を描くように移動している。
しばらくすると、その男達も姿と気配が消えて見えなくなった。
これでは、いつまでたっても同じ事の繰り返しだ。
「榊さん、あの男達の姿か気配かのどちらかでも察知できれば、"覇者の弓"で仕留めることができるんですが、私の探査の魔法でも場所が特定できません。」
サティは、さっきから"覇者の弓"を構えて男達に矢を射ろうとしているが、姿も気配もすぐに消えてしまうため、狙いをつけあぐねていた。
「お困りのようですね。では、お姉さんが人肌脱ぎましょう。」
レディがそう言うと、自分のアイテムバックから陶芸教室で使っていたあの釉薬が入った小瓶を出すと、瓶の蓋を開けて神殿の広場に釉薬をばらまき始めた。
すると、神殿前の広場が青白く光り始めて、姿と気配を消していた男達の姿が浮かび上がった。
「そうか、いくら姿や気配を消しても釉薬が出す青白い光までは消すことはできないのか。」
その光景を見逃さなかったサティが"覇者の弓"で矢の連射を始めた。
"覇者の弓"から放たれた矢は、龍殺しの一族の男達めがけて目にも止まらぬ速さで飛び出していった。
気が付けば、4人の男達がサティの放った矢に射抜かれて神殿前の広場で事切れていた。
俺は、これならいい勝負になるのではないかと一瞬考えてしまったことを後悔した。
阿行と吽行のゴーレムに剣が突き刺さり、ゴーレムの体が崩れだしたのだ。
俺が皆に諜報部の人から聞いた話を説明した。
「久しぶりの闘いじゃ、腕が鳴るのじゃ。」
「ベティ、何度も説明したはずだが、お前は今回は闘いに参加するな。」
「なぜじゃ、わしがいればあんな連中すぐに片付くぞ。」
「お前、何にも話を聞いていないな。」
「お前を殺しにくるんだから。お前を守るために俺達は闘うの。分かるか。」
「分からん。目の前に敵がいたら闘うのみじゃ。」
俺は、がっくりしてしゃがみ込んでしまった。
どうすればいい。闘いが始まったらベティは、真っ先に闘いの中に飛び込むぞ。
「よし、分かった。ベティには一番美味しい役を与える。」
「礼拝堂の祭壇の正面で一番強いやつが来るのを待っている役だ。一番強い敵と戦えるのはこのチームで一番強いやつだ。それがベティお前だ。どうだ。」
「おー。分かった。わしが一番強いから一番強い敵と闘うんだな。分かったぞ。雑魚は任せる。」
ベティが単純でよかった。変に正義感とか出されると面倒で困るしな。
さて、当番で見張りを立てて龍殺しの一族が来るのを待ち構える覚悟をしていたところ、そいつらはいきなりやってきた。
諜報部の人は、それが分かっていてあのタイミングで話かけてきたのか。
龍殺しの一族が一週間後に来られたら俺達じゃ中だるみしてたろうな。
さて、チームの全員に非常事態を告げて、所定の場所に配置についてもらった。
神官達は、神殿の奥の部屋から出てこないように話してある。
神殿の従業員さん達には、温泉風呂の休憩所で一晩過ごしてもらった。
神殿近くの兵士の詰め所は、誰もいないかのようにもとても静かだった。
神殿の屋根の上から参道を見回すと、往来のない参道の階段を12人の男達が音もなく上ってくる。
探査で確認しても何の反応もない。魔法アイテムなのか魔法で隠蔽しているのか分からないが、かなり便利そうなスキルだな。
クリスにお願いして奪ってもらおうか真剣に悩んでしまった。
夜の暗い参道を上りきると神殿前の広場に龍殺しの男達がたたずんでいた。
もう一度、男達の数を数えてみると、あれ、さっきまで12人いたはずだ。まずい見失ったか。
諜報部の人が言っていたが、暗殺を生業にしているような連中を相手にするには、俺の経験やスキルではしょぼすぎた。
すると、阿行と吽行のゴーレムが突然動き出した。
阿行のゴーレムが向かう先には、誰もいないように見える。
突然、ゴーレムが何もないはずの場所でいきなり腕を振るった。すると誰もいないはずの場所から男が現れゴーレムが振るった腕によって吹き飛ばされていた。
吽行のゴーレムも誰もいないはずの場所でいきなり腕を振るいはじめた。
すると、こちらにも突然男が現れ側転をしながらゴーレムの攻撃をかわしていた。
阿行と吽行のゴーレムは、各2人の男と闘っているようだが、すぐに姿と気配が消えてしまうので正確な数が分からない。
神殿前の広場で、阿行と吽行のゴーレムが龍殺しの一族と格闘している少し後ろには、召喚された阿行と吽行が腕を組んで静かにたたずんでいた。
召喚された阿行と吽行は、神殿の入り口から侵入しようとする龍殺しの一族を阻止するためあえて動かないでいた。
突然、阿行と吽行が目にも止まらぬ速さで腕を横に付突き出した。
やはりだ。さっきまで誰もいないはずの場所に男が現れた。手には剣を構えて阿行と吽行の間合いからギリギリの所を円を描くように移動している。
しばらくすると、その男達も姿と気配が消えて見えなくなった。
これでは、いつまでたっても同じ事の繰り返しだ。
「榊さん、あの男達の姿か気配かのどちらかでも察知できれば、"覇者の弓"で仕留めることができるんですが、私の探査の魔法でも場所が特定できません。」
サティは、さっきから"覇者の弓"を構えて男達に矢を射ろうとしているが、姿も気配もすぐに消えてしまうため、狙いをつけあぐねていた。
「お困りのようですね。では、お姉さんが人肌脱ぎましょう。」
レディがそう言うと、自分のアイテムバックから陶芸教室で使っていたあの釉薬が入った小瓶を出すと、瓶の蓋を開けて神殿の広場に釉薬をばらまき始めた。
すると、神殿前の広場が青白く光り始めて、姿と気配を消していた男達の姿が浮かび上がった。
「そうか、いくら姿や気配を消しても釉薬が出す青白い光までは消すことはできないのか。」
その光景を見逃さなかったサティが"覇者の弓"で矢の連射を始めた。
"覇者の弓"から放たれた矢は、龍殺しの一族の男達めがけて目にも止まらぬ速さで飛び出していった。
気が付けば、4人の男達がサティの放った矢に射抜かれて神殿前の広場で事切れていた。
俺は、これならいい勝負になるのではないかと一瞬考えてしまったことを後悔した。
阿行と吽行のゴーレムに剣が突き刺さり、ゴーレムの体が崩れだしたのだ。
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