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17.水神様と女神様

04.女神ラティア様の神殿へご挨拶。(その2)

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俺は、びくびくしながら女神アルティナ様から頼まれた和菓子の折詰とシュークリームの折詰を女神像の前の祭壇に並べた。

「ご依頼のありました甘味でございます。どうかお納めください。」

俺は、心で念じて膝をついた。
俺の後ろに並んでいた神官や神官見習い達100人もみな膝を付いて頭を垂れた。
すると、目の前に光の粒子が集まりやがてひとつの大きな光となり、その光の中から女神ラティア様が降臨された。
100人以上の神官達が一斉にひれ伏して女神様への祈りを唱え始めた。
神官の後ろにいた数千人の信徒も突然降臨した女神ラティア様の姿を見て膝を付き祈りを唱え始めた。

「お待ちしておりました。あなたが作った甘味が美味いと女神アルティナが自慢するので、創造神様までがあなたの甘味を食べたいと言い出してきかなくて、女神アルティナに言ってこちらまで来ていただきました。」

さすが女神様です。声が美しいです。涙が出そうなくらいの美声です。

「こちらが、ご所望の甘味でございます。こちらを女神ラティア様へ献上いたします。こちらが創造神様への献上品となります。どうぞお納めください。」

「わがままを言ってごめんなさい。」

「そう、ふたりはうまくやっていますか?」

ふたりとは、アレス(召喚の女王)とレディ(隕石の女王)のことだ。このふたりは、女神ラティア様に創造された武具(神器)で人化して俺と行動を共にしているのだ。

「はい、ふたりがいなかったら武具の回収も進んでいなかったでしょう。」

「アレス、レディ、彼の手となり足となって武具の回収を手伝ってくださいね。期待していますよ。」

女神ラティア様が満面の笑みでふたりに話かけた。

「はっ、神命、心に刻み込み、完遂する覚悟です。」

アレスとレディが女神ラティア様へ己の覚悟のほどを語った。

「あら、今日は水龍ちゃんも来ているのね。」

女神様は、水龍様に話かけた。

「ん、すまぬ。あまりに美味そうなので、おぬしに献上するはずの品をひと箱食べてしもうた。ゆるせ。」

水神様が横を向きながら甘味を食べたことを白状した。
女神ラティア様の額から汗が流れた。

「そ、そうですか…。しかたありません。これは貸しひとつですよ。」

「え、そっ、それは困るのじゃ。」

「貸しはなしなのじゃ。本当に困るのじゃ。貸しを返すのが大変なのじゃ。」

水神様が顔から汗を拭きだしながら両手をバタバタ降って困っていた。

「女神ラティア様、私共は当面こちらの街に滞在しております。甘味はできしだい献上いたしますので今回は、こちらでご勘弁ください。」

「分かりました。きっとですよ。」

「甘味。楽しみにしていますよ。」

女神ラティア様は、光の中に消え、光の粒子も拡散して消えていった。
祭壇に献上した折詰も全て消えていた。
俺たちは、女神ラティア様が消えた祭壇前から立ち上がり後ろを振り向いてみた。
すると、数千人の信徒からどよめきが起こった。

「女神ラティア様が降臨あそばされたぞ。」

「あの、祭壇の前で女神様と会話をしていたやつは何者だ!」

神官達は、祭壇前に押し寄せる信徒を押さえるだけで精一杯だった。こちらへ押し寄せるのも時間の問題のように見えた。
俺たちは、高位の神官に誘導されて、礼拝堂の奥の部屋へと半ば強引に連れていかれた。

「まさか女神ラティア様がご降臨あそばされるとは。私も神官になって数十年たちますが、この目で女神ラティア様を見ることができるなど夢にも思っていませんでした。」

高位の神官は、何気に俺の後ろにいるふたりに目をやった。
そこには、先ほど降臨あそばした女神ラティア様に瓜ふたつの顔がふたりもいたのである。
その場にいた神官全員が膝を付いた。

「あっ、あの、そちらのおふたりについてお聞きしてよろしいでしょうか。」

高位の神官が俺の後ろにいるふたりの存在が気になってしょうがない様子だ。

「あっ、わかります。女神ラティア様にそっくりですよね。」

「これはいったいどういうことなのでしょう。」

「ははは…。このふたりは、女神ラティア様が創造した神器が人化した者達です。」

神官達は絶句して言葉にならなかった。
もし、神官達の前で女神ラティア様と同じ顔のふたりと毎晩エッチなことをしているなんて言ったら殺されそうだ。

「今日は、用事がありますのでこれで失礼します。」

「しばらくこちらの街に滞在していますので、女神ラティア様に約束した甘味ができたらこちらにお持ちします。」

俺は、みんなの手を引いていそいで神殿裏から立ち去った。」

「あっ、あの待ってください。ああっ。」

神官が高位の神官に近づいた。

「よいですね、彼らに気づかれずに尾行してください。それと彼らの素性を大至急調べなさい。」

「最優先事項です。」

神官は、数人の神官に目配せをした。するとそこにいたはずの数人の神官の気配も姿も消えていた。
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