140字小説まとめ

川本鏡花

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筆を折っためしい

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人生の目標と据えたのは、文筆で名を後世に残すことだった。
生来のめしいが、是をしたためることを禍福と呼ばず如何様に。

筆を折ったからこそ想ふ。
倖せだった。

世が世なら、わたしは言葉を識らず終を迎えたろうに。
あゝ些かの目的も見えぬ人生よ。
どうか最後に、この眼にひかりを。
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