140字小説まとめ

川本鏡花

文字の大きさ
上 下
52 / 165

依存の庭

しおりを挟む
惰性に溺れて二年が経った。抱いた後、すぐ煙草に火を点ける姿を何度見ただろうか。
唇を重ねても味はしなかった。それでも幾度と傷痕にふれた其れは、恋人みたいにわたしを優しく甘く依存の庭に堕とす。

愛情と欲情をはき違えてはダメだと言い聞かせる。
ただの、都合の良い関係、だって。
しおりを挟む

処理中です...