140字小説まとめ

川本鏡花

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徒花

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踏みしめた桜の花弁は、潰れて無惨に色を変えた。
人は皆、散り際がいちばん美しいと云う。
堕ちた後に、その末期に、目を留めたこともないくせに。

ほら、見てごらん。
二度と咲くことのできない姿を。

無様なわたしを。

ようく見たらば、一欠片の憐れみをば。
世俗を儚み、散る徒花に。
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