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第1章
14話
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零は心配な顔をして、俺の傍に駆け寄って俺の殴られたあとを確認するように俺のシャツを脱がした。
「健太郎、大丈夫?」
その瞬間、聖さんが俺の首にかかっている指輪を見つけた。
聖さんは指輪を見た瞬間時が止まったかのように動かなくなった。
「……………なんで…お前が……それを…」
聖さんは小さく震える声でそう言った。
俺は聞き取ることが出来なくて急に大人しくなった聖さんに驚いた。
「なんでお前がそれを持ってるんだよ!!」
聖さんは叫ぶようにそう言った。
聖さんの目はさっき以上に血走っていて、このまま殺されるような気がした。
そんな聖さんを見て永が止める力を強めた。
「なんで!なんで!お前が持ってるんだよ!!俺が健斗にあげた指輪を!」
この人が……このこの指輪を健斗にあげた人。
この人が……そうか、
「貴方が昔の健斗さんの相手ですね」
「ああ!そうだよ!」
やっぱりこの人が、
この指輪を健斗にあげた人
健斗の番のアルファ
俺の父親
そして、この人が健斗をずっと放置して死に追いやっている。
俺はこっそり持ってきていた折りたたみナイフを椅子に掛けていたコートのポケットから取り出すと、それに気づいた零や悠介に止められる前に永さんに押さえつけられているアイツに向かって刺した。
もしこのグループの中や俺の知っている人の中に健斗の番が居たらこのまま直ぐに殺してやろうと思って1度家に帰った時に持ってきていた。まさか本当に使うとは思わなかったけど、
俺は零に押さえつけられて、アイツから強制的に離れさせられる。
アイツは何が起きたのかわからず唖然として刺された傷口を見ていた。
アイツが刺された事に気づいた白さんや連さん、大雅さんがアイツ駆け寄った。
「お前!何したか分かってるだろうな?!」
勝莉さんが俺に殴りかかろうとしてくるのを零が止めてくれる。
俺は刺されて血が出ているアイツを眺めて嬉しいはずなのに、長年の夢が叶って嬉しいばずなのに何故か苦しくて、涙を流して泣いていた。
「お前のせいで父さんはずっと苦しんだんだ!」
俺はそうアイツに向かって、そして俺に言い聞かせるように叫んだ。
アイツのせいで父さんは十数年と苦しんだんだだからアイツは死んで当然だと思い込ませるように。
「お前が父さんと出会わなければ、番にならなければ、俺が産まれてこなければ、父さんは幸せだったのに!……………俺が産まれてこなければ……」
俺は号泣しながらそう叫んだ。
周りはそんな俺の言葉にびっくりしているようだ。零もびっくりしてこっちを見てきた。まぁ確かに零に何かを隠していたことなんて1度もなかったけど、俺のこの気持ちだけはずっと零にすら隠していた。
「えっ………ちょっと待ってどういうこと?」
「健斗と聖の子供が健?」
「でも健斗ってアルファじゃなかったっけ?」
悠介と大雅さんが俺に質問をしてくる。
やっぱり父さんは、後天性のオメガであることを誰にも言わなかったんだ、父さんは自分がオメガに変わってしまったことに物凄い負い目を感じていたから。
だけどこの事をアイツが知らないわけがないコイツは父さんを番にしてしまったから。
だから父さんはコイツを今もずっと待って自身の発情に飲み込まれて死にかけてしまっている。
「健太郎、いや健の父さん、健斗さんは後天性オメガで健太郎を産んだって…」
零にはその事を言った事はなかったけど玲奈さんに聞いたのか俺の父さんが後天性オメガだと言うことを知っていて、その事をみんなに言ってしまった。
その時俺の中で何か張り詰めていたのが切れたような気がした。
「父さんはお前をずっと待ってたのに……
ずっと……助けてくれるのを待ってたのに……
俺はずっとアンタが来るのを待ってたのに、」
俺は泣き崩れてしまった。
本当はずっと待ってた。本当の父親が俺と父さんを助けてくれるのを、探してきてくれるのを
ただ、父さんが何度も倒れてそして俺の耳にまで父さんの余命宣告の話が聞こえたその日。
俺は諦めた。
本当の父親は、父さんが死ぬまで放置して結局父さんが余命宣告されるまで助けに来なかった。
俺はその日から本当の父親に助けを求めることをやめた。そして、俺は助けてくれない本当の父親のことを恨むようになった。
「待ってたんだよ!俺はずっと!父さんを助けてくれるアンタのことを!」
零が俺を抱きしめてくれた。
零は優しく背中をさすってくれて、零のおかげで苦しかった呼吸がだんだんと楽になっていく。
「健太郎は余命宣告されて体も心も弱りきった健斗を一生懸命守ってるんだよ!1人で」
零が初めて大声をあげたのを聞いた気がする。
零は、俺の変わりにアイツに向かって怒ってくれた。
「零ありがとう」
俺は俺を守るように居る零を超えてアイツの目の前まで行く。
1度落ち着いたはずの呼吸がまた乱れる。
「俺はお前のことを一生許さない。」
俺はそう言った瞬間、目の前が真っ暗になってしまって、倒れ込んでしまう。
多分日ごろの疲れと、過度な緊張感によって血圧に異常が出て倒れてしまった。
「健太郎、大丈夫?」
その瞬間、聖さんが俺の首にかかっている指輪を見つけた。
聖さんは指輪を見た瞬間時が止まったかのように動かなくなった。
「……………なんで…お前が……それを…」
聖さんは小さく震える声でそう言った。
俺は聞き取ることが出来なくて急に大人しくなった聖さんに驚いた。
「なんでお前がそれを持ってるんだよ!!」
聖さんは叫ぶようにそう言った。
聖さんの目はさっき以上に血走っていて、このまま殺されるような気がした。
そんな聖さんを見て永が止める力を強めた。
「なんで!なんで!お前が持ってるんだよ!!俺が健斗にあげた指輪を!」
この人が……このこの指輪を健斗にあげた人。
この人が……そうか、
「貴方が昔の健斗さんの相手ですね」
「ああ!そうだよ!」
やっぱりこの人が、
この指輪を健斗にあげた人
健斗の番のアルファ
俺の父親
そして、この人が健斗をずっと放置して死に追いやっている。
俺はこっそり持ってきていた折りたたみナイフを椅子に掛けていたコートのポケットから取り出すと、それに気づいた零や悠介に止められる前に永さんに押さえつけられているアイツに向かって刺した。
もしこのグループの中や俺の知っている人の中に健斗の番が居たらこのまま直ぐに殺してやろうと思って1度家に帰った時に持ってきていた。まさか本当に使うとは思わなかったけど、
俺は零に押さえつけられて、アイツから強制的に離れさせられる。
アイツは何が起きたのかわからず唖然として刺された傷口を見ていた。
アイツが刺された事に気づいた白さんや連さん、大雅さんがアイツ駆け寄った。
「お前!何したか分かってるだろうな?!」
勝莉さんが俺に殴りかかろうとしてくるのを零が止めてくれる。
俺は刺されて血が出ているアイツを眺めて嬉しいはずなのに、長年の夢が叶って嬉しいばずなのに何故か苦しくて、涙を流して泣いていた。
「お前のせいで父さんはずっと苦しんだんだ!」
俺はそうアイツに向かって、そして俺に言い聞かせるように叫んだ。
アイツのせいで父さんは十数年と苦しんだんだだからアイツは死んで当然だと思い込ませるように。
「お前が父さんと出会わなければ、番にならなければ、俺が産まれてこなければ、父さんは幸せだったのに!……………俺が産まれてこなければ……」
俺は号泣しながらそう叫んだ。
周りはそんな俺の言葉にびっくりしているようだ。零もびっくりしてこっちを見てきた。まぁ確かに零に何かを隠していたことなんて1度もなかったけど、俺のこの気持ちだけはずっと零にすら隠していた。
「えっ………ちょっと待ってどういうこと?」
「健斗と聖の子供が健?」
「でも健斗ってアルファじゃなかったっけ?」
悠介と大雅さんが俺に質問をしてくる。
やっぱり父さんは、後天性のオメガであることを誰にも言わなかったんだ、父さんは自分がオメガに変わってしまったことに物凄い負い目を感じていたから。
だけどこの事をアイツが知らないわけがないコイツは父さんを番にしてしまったから。
だから父さんはコイツを今もずっと待って自身の発情に飲み込まれて死にかけてしまっている。
「健太郎、いや健の父さん、健斗さんは後天性オメガで健太郎を産んだって…」
零にはその事を言った事はなかったけど玲奈さんに聞いたのか俺の父さんが後天性オメガだと言うことを知っていて、その事をみんなに言ってしまった。
その時俺の中で何か張り詰めていたのが切れたような気がした。
「父さんはお前をずっと待ってたのに……
ずっと……助けてくれるのを待ってたのに……
俺はずっとアンタが来るのを待ってたのに、」
俺は泣き崩れてしまった。
本当はずっと待ってた。本当の父親が俺と父さんを助けてくれるのを、探してきてくれるのを
ただ、父さんが何度も倒れてそして俺の耳にまで父さんの余命宣告の話が聞こえたその日。
俺は諦めた。
本当の父親は、父さんが死ぬまで放置して結局父さんが余命宣告されるまで助けに来なかった。
俺はその日から本当の父親に助けを求めることをやめた。そして、俺は助けてくれない本当の父親のことを恨むようになった。
「待ってたんだよ!俺はずっと!父さんを助けてくれるアンタのことを!」
零が俺を抱きしめてくれた。
零は優しく背中をさすってくれて、零のおかげで苦しかった呼吸がだんだんと楽になっていく。
「健太郎は余命宣告されて体も心も弱りきった健斗を一生懸命守ってるんだよ!1人で」
零が初めて大声をあげたのを聞いた気がする。
零は、俺の変わりにアイツに向かって怒ってくれた。
「零ありがとう」
俺は俺を守るように居る零を超えてアイツの目の前まで行く。
1度落ち着いたはずの呼吸がまた乱れる。
「俺はお前のことを一生許さない。」
俺はそう言った瞬間、目の前が真っ暗になってしまって、倒れ込んでしまう。
多分日ごろの疲れと、過度な緊張感によって血圧に異常が出て倒れてしまった。
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