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第5話 傷跡2

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そして待ちに待った放課後。彼が私の教室に来るまで怪しまれないように自習しつつ待つ。終礼が終わってから30分ほどして彼が来た。

「お待たせ!ごめん、今日いきなり先生に荷物運び手伝わされてて遅くなった!帰りどこ寄るのがいいかな、カラオケとかどう?」

相変わらず綺麗な声をしてるなと思いつつ答える。

「そんな待ってないよ、荷物運びご苦労様。いいねカラオケ。」

帰りの荷物を纏める。友達と帰ることなんて滅多に無いからなんて話せばいいかわからない。

「女子と帰るなんて滅多に無いからなんか照れるな、松本(私の名前)はいっつも誰と帰るん?」

ここで彼と私との間に大きな隔たりを感じた。陰キャと陽キャの差。

「いつもは一人で帰ることが多いかも。ゆっくり考え事しながら歩くのが好きだし。」

頭をフル回転させて導いた極力当たり障りの無い答え。考え事をしながら帰るのは事実である。

「そーなんだ、ひとりの時間も良いよね!たまにあると心落ち着くし。」

私はそのひとりの時間ばかりでたまに、じゃないけどなと心の中で自虐しつつ頷く。よし、まだコミュニケーションは失敗してない。その後も今日の授業の話だとかお弁当の話、目立ちたがり屋の子がまたやらかしていた話等をしつつ帰る。ちょうど帰り始めてから20分後くらいに彼が話を切り出した。

「そういえばさ、前俺が送った声ってあれ何に使うん?疲れた時に聞く的な?」

少し踏み込んだ質問、まぁ同級生の女子から罵倒してくれと言われてなんで?と疑問を抱くのは特段おかしなことでは無い。罵倒してくれと言ってる私の方がよっぽどおかしい。

「まぁそんな感じ、頑張らないといけないなって時に聞くみたいな。」

まさか貴方の声で自慰をしましたとは言えない。苦し紛れな理由だがこれで誤魔化せるだろうか。

「なるほど?ストイックなんだね。」

誤魔化せた。良かった。そう話していると駅前のカラオケ店についた。

「学生証どこやったっけ……あった右ポケット入れてた、!松本もある?学生証」

この慣れている感じ。陰と陽の違い……。

「ある。」

学生証を取り出し受付のお姉さんへ見せる。

「学生料金で2名様ですね。何時間のご利用とされますか?」

一時間が一番短くて一番長いのがフリータイムの最大12時間。二時間ぐらいが妥当か……?

「どれくらいにする?門限あるなら二時間とかだけど……。」

「門限は無いからそっちの好きな時間でいいよ、私カラオケ来るの久々だし4時間ぐらいでも良いかな?」

「うん、俺も実は久々だし4時間にするか!」
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