1 / 9
第1話
しおりを挟む
はじめは好きなことについて聞きたくてインスタのDMで話しかけた。同じ学校だが、ほとんど話したことがなくてそれが初会話。
私の緊張とは裏腹に彼は優しく答えてくれた。
それから彼がインスタのノートでボカロ曲を流していたりすると
「この曲知ってる?」
と自分の好きなボカロ曲を勧めたり、今日の授業について話しかけたりするようになった。クラスが違うので授業の内容もかなり違っていて相手の話を聞くのは楽しかった。
時々好きな人のことも聞けたり。
私がメンヘラ気味なのは自覚しているし裏垢ではかなり頭のおかしいことを呟いていたりする。
でも彼は私の言動や行動を否定しなかった。普通は嫌いな奴に対して死んで欲しいだとか好きな人の筆跡をオブラートに包んで食べた、なんて事を聞いたらおかしいだろとか言ってくる人が大半だ。
でも、彼は私のことを否定しなかった。彼も少し考えがぶっ飛んでいた、というのもあるだろうが。
彼には一定の倫理観はあったので私が死にたいとかあいつを殺して私も死にたいなんて言って病んでいる時は毎回ちゃんとその気持ちを受けとめて
「死なないでね。」
と優しく言ってくれる。その時、既に好きになっていたのかもしれない。好きな人は未読無視3週間だとか既読無視1週間なんてのが何回もあって完全に私は脈ナシだとわかっていたから。
インスタでは沢山話したけれど、クラスも違うし実際に話す勇気は無かった。その彼はいつも友達に囲まれてるから余計に話しかけづらい。他の友達に手を振る振りをしてこっそり手を振るくらいしか出来なかった。向こうには好きな人がいると知っていたのもあってそれも話しかけにくさの要因となっていた。
関係性が変わり始めたのはそれから1ヶ月くらい経って私が物凄く疲れていた日のことだ。私自身が過去の出来事などが起因していて、かなりの被虐趣味者なのだが勿論それを誰かに話すなんて事はしなかった。女の子同士だと恋バナをすることはあるがそういった話は全くした事が無かった。皆と比べて私は普通なのか、それとも異常なのか、それが酷く気になっていたが自分からそういった話を振る勇気なんて無いため話をした経験は0だ。
よりにもよってそういった話を好きな人に振ってしまった。学校の授業で日本文学について学んだ、という話をしていてどの話が好き?みたいなことを聞いたのだ。彼がいくつかの作品について述べた後私も好きな作品について聞かれたので述べた。その中に谷崎潤一郎の作品を1つ入れてみたのである。(谷崎潤一郎⇒ノーベル文学賞を取りかけた偉大な作家。被虐趣味的な小説を多く書いた。)
心の底で自分の話を聞いてもらいたかったのかもしれない。被虐趣味的な願望に気づいて貰えたらいいな、と思った。
「谷崎潤一郎の作品って読んだことないな、どんな感じの作風なん?」
そう聞かれた。その時の私は疲れていたんだ、と精一杯の言い訳をしておく。
「純文学的な文章の美しさとマゾヒスティックな内容が谷崎潤一郎の特徴かな。」
そんなことを言ってしまった。彼がなんて返答したかは覚えていない。もう一度言っておくが私はその時非常に疲れていたんだ。その話は他の作家の話をしたりして徐々に熱も小さくなっていき終わった。
私の小さな秘密の告白も終わったのだ。
その次の日結構不味い事を言ってしまったのではないかとは思ったがその事を掘り返す訳にはいかないので何事も無かったかのように振舞おう、と思った。
それからまた10日くらいを経てからである。
その日は私のメンタルがボロボロだった。返ってきたテストは得意な教科の点数が平均点以下で好きな人(まだこの時点では「彼」ではなく別の人に好意を寄せていた。Aくんとしておく)に話しかけたら途中、他の女が割り込んできて最後まで話したいことを話せなかったし降水確率が10%だったのに私が帰ろうと思った時土砂降りになった。雨風に打たれながら私の心の中みたいな天気だな、と思った。
また言い訳しておくとその日は色々な出来事があって精神が非常に不安定だったのである。普通の精神の日ならこんなことを言わないはずである。
「ちょっとお願いがあるんだけど、私のこと罵って欲しいの。」
こう言った日から彼と私の関係性が大きく変わっていった気がする。
私の緊張とは裏腹に彼は優しく答えてくれた。
それから彼がインスタのノートでボカロ曲を流していたりすると
「この曲知ってる?」
と自分の好きなボカロ曲を勧めたり、今日の授業について話しかけたりするようになった。クラスが違うので授業の内容もかなり違っていて相手の話を聞くのは楽しかった。
時々好きな人のことも聞けたり。
私がメンヘラ気味なのは自覚しているし裏垢ではかなり頭のおかしいことを呟いていたりする。
でも彼は私の言動や行動を否定しなかった。普通は嫌いな奴に対して死んで欲しいだとか好きな人の筆跡をオブラートに包んで食べた、なんて事を聞いたらおかしいだろとか言ってくる人が大半だ。
でも、彼は私のことを否定しなかった。彼も少し考えがぶっ飛んでいた、というのもあるだろうが。
彼には一定の倫理観はあったので私が死にたいとかあいつを殺して私も死にたいなんて言って病んでいる時は毎回ちゃんとその気持ちを受けとめて
「死なないでね。」
と優しく言ってくれる。その時、既に好きになっていたのかもしれない。好きな人は未読無視3週間だとか既読無視1週間なんてのが何回もあって完全に私は脈ナシだとわかっていたから。
インスタでは沢山話したけれど、クラスも違うし実際に話す勇気は無かった。その彼はいつも友達に囲まれてるから余計に話しかけづらい。他の友達に手を振る振りをしてこっそり手を振るくらいしか出来なかった。向こうには好きな人がいると知っていたのもあってそれも話しかけにくさの要因となっていた。
関係性が変わり始めたのはそれから1ヶ月くらい経って私が物凄く疲れていた日のことだ。私自身が過去の出来事などが起因していて、かなりの被虐趣味者なのだが勿論それを誰かに話すなんて事はしなかった。女の子同士だと恋バナをすることはあるがそういった話は全くした事が無かった。皆と比べて私は普通なのか、それとも異常なのか、それが酷く気になっていたが自分からそういった話を振る勇気なんて無いため話をした経験は0だ。
よりにもよってそういった話を好きな人に振ってしまった。学校の授業で日本文学について学んだ、という話をしていてどの話が好き?みたいなことを聞いたのだ。彼がいくつかの作品について述べた後私も好きな作品について聞かれたので述べた。その中に谷崎潤一郎の作品を1つ入れてみたのである。(谷崎潤一郎⇒ノーベル文学賞を取りかけた偉大な作家。被虐趣味的な小説を多く書いた。)
心の底で自分の話を聞いてもらいたかったのかもしれない。被虐趣味的な願望に気づいて貰えたらいいな、と思った。
「谷崎潤一郎の作品って読んだことないな、どんな感じの作風なん?」
そう聞かれた。その時の私は疲れていたんだ、と精一杯の言い訳をしておく。
「純文学的な文章の美しさとマゾヒスティックな内容が谷崎潤一郎の特徴かな。」
そんなことを言ってしまった。彼がなんて返答したかは覚えていない。もう一度言っておくが私はその時非常に疲れていたんだ。その話は他の作家の話をしたりして徐々に熱も小さくなっていき終わった。
私の小さな秘密の告白も終わったのだ。
その次の日結構不味い事を言ってしまったのではないかとは思ったがその事を掘り返す訳にはいかないので何事も無かったかのように振舞おう、と思った。
それからまた10日くらいを経てからである。
その日は私のメンタルがボロボロだった。返ってきたテストは得意な教科の点数が平均点以下で好きな人(まだこの時点では「彼」ではなく別の人に好意を寄せていた。Aくんとしておく)に話しかけたら途中、他の女が割り込んできて最後まで話したいことを話せなかったし降水確率が10%だったのに私が帰ろうと思った時土砂降りになった。雨風に打たれながら私の心の中みたいな天気だな、と思った。
また言い訳しておくとその日は色々な出来事があって精神が非常に不安定だったのである。普通の精神の日ならこんなことを言わないはずである。
「ちょっとお願いがあるんだけど、私のこと罵って欲しいの。」
こう言った日から彼と私の関係性が大きく変わっていった気がする。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる