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11巻

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   プロローグ


 少女は、薄汚れた冊子の表紙をでる。何度も何度もめくったせいで、少しくたびれているが、彼女にとっては大切なものだった。
 これが彼女の世界を変えたと言っても過言かごんではないだろう。どんな冒険譚ぼうけんたんや恋愛小説もかなわない。この冊子に書かれたすべてが彼女に夢を見せてくれた。
 そして今。
 時折軽く揺れる魔術式の馬車に乗り、彼女はさらにときめく場所へ向かっていた。

「次は中央広場~、中央広場です」

 車掌しゃしょうが次の停車駅をアナウンスする。
 少女は冊子に挟んでいたメモを取り出し、そこに書かれた駅名を確かめる。
 どうやら次が最寄り駅らしい。
 窓枠に吊るされた小さいベルを指ではじくと、リィンと軽やかな音が車内に響いた。そのベルは降車を知らせるためのものだ。

「次~、停まります」

 車掌しゃしょうがそう言って間もなく。魔術式の馬車は、ゆっくりと速度を落としていく。
 停車した馬車から降りた少女は、メモを頼りに歩き出した。
 中央広場から道具街に入る道。そこは少し日陰になっているが、レンガの敷かれた道から立ちのぼる熱気に、彼女の頬には汗がつたってくる。
 つば広の帽子が、透けるような白い肌を太陽から隠してくれているものの、慣れない気温にクラリとした。
 けれど、少女は足を止めない。

「あった……ここだわ」

 彼女が立ち止まったのは、一軒のお店の前。
 赤いドアと、壁に埋め込むように設置されたガラスのショーケース。
 軒下のきしたに吊るされた看板を見上げて、店名を確かめる。

「カフェ・おむすび。ようやく来られたのね、わたくし!」

 噛みしめるようにつぶやいた彼女は、つば広の帽子を取る。真っ白なその帽子よりも、さらに白く輝く長い髪がさらりと揺れた。
 メモを冊子に挟み込み、帽子と一緒にかばんにしまう。
 カランとさわやかな音と共にドアが開くと、甘い香りが鼻腔びこうくすぐる。想像していたよりも素敵な空間に胸がおどった。



   第一章 卒業課題を考えています。


 時はさかのぼり、暖かな春風が吹くフェリフォミア王国の王都。王宮から少し離れた小高い丘へ、制服を着た少年少女が歩いていく。楽しげに笑いながら、あるいは眠そうにあくびをしながら。
 彼らが向かうのはフェリフォミア国立総合魔術学院――通称・学院だ。
 学院は十歳から十二歳までの子供が学ぶ初等科と、その上にある五つの専門課程に分かれている。
 以前は騎士科、魔術師科、魔術具科、一般教養科の四課程しかなかったのだが、二年半前に料理科が設立された。新たに建造された料理科の校舎は、敷地の中で最も奥まった場所にある。
 その料理科の校舎にも、生徒が続々と登校してきた。一期生たちが最終学年である三年生になった今、後輩の数も増え、とてもにぎやかになっている。
 彼らが登校してくる様子が窓から見える二階の職員室では、講師たちが集まり、朝の会議をおこなっていた。

「おはようございます。先週くらいから春野菜が市場に出回っているので、実習の献立こんだてはそれに合わせて調整をお願いします」

 黒髪の女性が職員室内の講師たちに向かってそう話す。
 彼女はリサ・クロカワ・クロード。元の名前は黒川理沙くろかわりさで、地球からやってきた異世界人だ。この料理科の設立時より、監修と主任講師を務めている。それだけではなく、王都でも屈指くっしの人気店であるカフェ・おむすびのオーナー兼店長をしていた。
 設立時はリサを含めて四名しかいなかった講師も、今や十名以上になった。料理科の授業は座学より実技に重きを置いているため、王宮の厨房ちゅうぼうで働いていた元料理人が多い。
 それ以外に動植物学や栄養学を専門とする講師も数名いる。さらに今年度からは給仕やマナーの授業が始まったので、元執事である講師も加わり、講師陣の顔ぶれは豊かになった。

「他に何か連絡事項がある先生はいますか?」

 リサはそう言って室内を見回す。他の講師からは特にないようだ。

「では朝の会議はこれで終わりにしますが、この後、三年生の先生方は残ってください」

 リサが会議を締めくくると、一、二年生を担当する講師たちはそれぞれの机に戻っていった。

「リサ先生、三年生だけの話って?」

 そう話しかけてきたのは、茶色の長髪を一つにたばねた男性講師だ。
 彼は、キース・デリンジェイル。元は王宮で副料理長をしていた。現在は料理科の専属講師として、カフェと料理科を行き来するリサをよくサポートしてくれている。

「三年生といえば、もしや卒業課題の件ですかな?」

 ロマンスグレーの髪をした、老年の男性講師が言った。
 彼はセビリヤ・コルン。動植物学が専門だ。キースと同じく、料理科の設立時から教壇きょうだんに立っている。

「そうなんです。どんな課題にしようか悩んでいて……」

 今年の夏、料理科の一期生たちが卒業する。
 彼らが料理科で学んだことの集大成を見せてほしいとリサは考えているが、いかんせんこれが難しく、考えあぐねていた。
 普段の課題とは一味違い、なおかつ生徒一人一人の個性や力量が発揮できるようなもの。そんな課題がいいとは思っているが、なかなか形にできず悩んでいる。

「生徒たちにレシピを考えてもらうってのはどうだ?」

 キースがそう提案してくれたが、リサは難しい顔をしたまま答える。

「その方向で私も考えてるんですけど、なんの制約もなく自由にさせるというのは、どうなのかなぁって……」
「制約かぁ……確かに課題となったら、こっちは採点しなければならないわけだし、ある程度の基準も必要だよな」

 リサの言葉にキースも納得したらしく、腕を組んでうなった。

「料理科で初めての卒業生ですからなぁ。来年以降の卒業生も同じ課題に取り組ませるなら、安易なものにはできませんな」

 セビリヤの言葉にリサはうなずく。彼の言う通り、来年以降のことも考慮しないといけないのだ。

「来週には生徒たちに発表しようと考えているので、いい案があれば今週中に教えていただけると助かります」
「了解~!」
「考えてみましょう」

 キースとセビリヤから同意を得たところで、始業の鐘が鳴った。リサたちは話を切り上げ、それぞれ担当の授業へ向かう準備をする。
 講師の一人がドアを開けて廊下に出ると、遅刻ギリギリで登校してきた生徒が慌てて走っていくのが見えた。
「やっば!」と焦る生徒に、「早く教室に入らないと遅刻扱いにするぞー!」と言う講師の声が聞こえる。ほぼ恒例の朝のやりとりを微笑ましく聞きながら、リサも職員室を出た。


 数時間後。午後の授業を一つ終えたリサが職員室に戻ると、よく見知った顔があった。

「お疲れ様、ジーク」
「ああ、リサも授業お疲れ」

 さらりとした銀髪に、青い瞳の男性講師が、ほんの少しだけ口元をゆるませた。
 彼はジーク・ブラウン・クロード。リサの夫であり、彼女と同じようにカフェと料理科を行き来している。
 今日は午後の最後の授業のみ担当しており、昼過ぎまではカフェで仕事をしていた。一方のリサはもう授業がないため、彼と入れ替わりにカフェへ行く予定だ。

「そういえば、午前中にシーゲルさんが来て、これを渡すように言われたんだ」

 そう言ってジークは封筒を取り出し、リサに渡した。
 シーゲルというのは、カフェ・おむすびに食材や備品を納品しているアシュリー商会の担当者だ。とても感じのいい中年男性で、もう数年来の付き合いになっている。
 そのシーゲルが持ってきたという封筒に、リサは目を落とした。表にリサの名前が書かれており、裏には『アレクシス』のサインがあった。

「アレクさん? 何か用事かな?」

 アレクシスはアシュリー商会の代表で、リサの養母アナスタシアの兄でもある。

「シーゲルさんは、できれば早めに読んでほしいと言ってたが……」

 ジークの言葉を聞き、リサはすぐに封筒を開けた。手紙の内容は、食材について相談したいことがあるので近々会えないかというものだった。

「食材のことで相談があるんだって」

 漠然ばくぜんとした内容に少し首を傾げながら、内容を伝える。

「それならカフェにも関わりがありそうだし、次の休業日にでも話を聞きに行ったらどうだ?」
「そうする」

 何か新しい食材でも見つかったのだろうかと、淡い期待を胸に、リサはジークの言葉にうなずいた。



   第二章 食材の供給がなくなると困ります。


 カフェの休業日は、ちょうど学院の創立記念日で、料理科もお休みだった。
 リサはジークと共に、彼の愛馬シャロンに乗って、王都の中央通りを進んでいた。
 中央通りは王宮からまっすぐに延びる大きな通りで、老舗しにせの高級店がのきつらねている。その中に、ひときわ目を引く大きな建物があった。
 その四階建ての建物がアシュリー商会。フェリフォミア随一の大商会だ。
 リサたちは入り口でシャロンを預かってもらい、建物の中に進む。受付で名乗ると、すんなり奥に通された。
 案内されたのは、商談用の応接室だ。二人掛けのソファーが二つとローテーブル。壁際には絵画や花が飾られており、コンパクトでありながらも落ち着ける空間になっている。
 職員がれてくれたお茶を飲みつつ待っていると、いくらも経たないうちに部屋のドアがノックされた。

「忙しいところ、呼び出してすまないね。今日は来てくれてありがとう」

 そう声をかけてきたのは、美中年と呼びたくなる男性だ。口髭くちひげの似合う彼は、アレクシス・ジゼル・アシュリー。このアシュリー商会の代表で、リサの義理の伯父である。
 そして、もう一人は――

「やぁ~ん! ジークくんは、いつ見てもいい男ね~」

 そう言ってジークの肩をバシバシ叩いている。コクーン型の濃い紫のワンピースに、辛子からし色の細身のパンツを穿いたその人は、名をキャロルという。
 紫の長い髪は毛先に向かうにつれて金髪になり、ふんわりとしたパーマがかかっていた。れっきとした男性だが、顔にはバッチリ化粧をしていて、女性のような話し方をする。いわゆるオネエというやつだ。

「アレクさん、キャロルさん、こんにちは」
「まあ、リサちゃんも久しぶり~! 元気にしてた?」
「はい。この間は料理科の生徒たちが、お世話になりました」
「ああ、いいのよ~! 私もいい刺激を受けたし、生徒ちゃんたちは、みんないい子だったしね~」

 少し前に、料理科の三年生が進路の参考にするため、いろいろな職場を体験した。その際、アシュリー商会の開発部門も体験させてもらっている。
 リサ自身、キャロルとは長い付き合いだ。新たな食材を開拓したり、フェリフォミアにはなかった料理を作ったりする際、何かと相談することが多い。アシュリー商会を通じてカフェ・おむすびのレシピを販売しており、また商会が独自に販売する商品の開発にも関わっているからだ。
 その窓口となるのが開発部門のキャロルである。
 そんなキャロルと代表のアレクシスが、揃ってなんの用事だろうとリサは思う。それを察してか、アレクシスがリサとジークに座るように勧め、彼とキャロルも向かい側に腰を下ろした。

「今日来てもらったのは、食材の件だとあらかじめ伝えていたよね」
「はい。具体的なことは書かれてませんでしたが……」
「手紙に書くよりも直接説明した方が早いかと思ってね」

 そう言って、アレクシスが居住まいを正したので、リサもつられるように背筋を伸ばした。

「リサちゃんのおかげで、ここ数年うちの商品はかなり増えたし、これまで扱わなかった食材も販売するようになった。ただ、それらの売上げが最近伸び悩んでいるように感じる」

 リサがこの世界に来て、いろんな料理を作ったことで、それまで見向きもされていなかった食材がアシュリー商会で取り扱われるようになった。また、リサ自身が開発にたずさわった食品も多くある。
 前者は米やチョコレート。後者は醤油しょうゆや味噌などがそうだ。
 それらはカフェ・おむすびのレシピと共に販売されており、当然カフェでも料理に使われている。

「まさか、製造や取り扱いをやめちゃうなんてことは……」

 リサは青ざめた。カフェに欠かせない食材のほとんどはアシュリー商会から仕入れている。それがなくなってしまうと、作れなくなる料理が数多くあるのだ。
 リサの反応を見たアレクシスは、少し焦ったように「いやいや」と否定する。

「そういうわけじゃない。ただ将来的に、可能性がなくはないんだ。こっちも商売だからね」

 アレクシスは苦笑しつつ話す。伯父として気遣ってくれているのを感じるが、リサはしょんぼりしてしまう。
 そんな時、パンパンと手を叩く音が響いた。
 リサが顔を上げれば、キャロルが両手を合わせたままニッコリと笑っている。

「もう! 代表もリサちゃんもまだそうなると決まったわけではないんだから、ジメジメしないでよ~! 今日はそうならないために相談するんでしょう、代表!」
「おお、そうだったな」

 アレクシスがハッとして、気を取り直したように説明する。

「キャロルの言うように、そうなる前に手を打っておきたいと思って、二人に来てもらったんだ。具体的に言うと、カフェのレシピ以外にも消費をうながせるような施策を打ち出したくてね」
「レシピ以外で……」

 アレクシスの言葉に、リサは「うーん」とうなりながら考え込む。
 カフェで使う食材の取り扱いがなくなるのは死活問題だ。かといって、すぐにいい案が浮かぶはずもない。
 リサは隣に座るジークをちらりと見る。彼もあごこぶしをあてて考え込んでいた。

「ちなみになんですが……」

 リサはそう前置きして、アレクシスとキャロルに聞く。

「アシュリー商会としては、どのくらいの売上げを目指したいのですか?」
「どのくらいって言われたら、そりゃあ際限なく売れることが望ましいけれど、そうだなぁ……まず商品自体を広く知ってもらう。その上で購入者の母数が増えて、かつカフェや料理科のように定期購入してくれる大口の取引先ができるというのが理想かな」
「それはなかなか……」

 具体的な金額で答えるのは難しいようで、ざっくりと説明してくれたが、アレクシスの理想の高さにリサは苦笑した。
 宙を見上げながら、うーんと頭をひねる。そして、ふと元の世界のことを思い出した。

「あの、料理コンテストとかどうですかね? 特定の食材を使ったレシピを募集して、その中からすぐれたものを選ぶんです」

 リサが思い出したのは、とある料理サイトが定期的におこなっていたイベントだ。スポンサー企業の食品を使ったレシピを募集し、コンテストを開いていた。
 またプロの料理人が料理を作って対決するテレビ番組も多くあった。優勝者には賞金と、その食品を一年分プレゼント……などという副賞が与えられていた記憶がある。
 だが、コンテストをするにしても、タダではできないだろう。消費をうながすためにお金をかけるのは本末転倒な気がして、リサは「やっぱりだめですよね」と言いかけたが――

「いいよ、リサちゃん!!」
「……え?」

 アレクシスの言葉をすぐに理解できず、リサは首を傾げた。アレクシスは、先程の悩んでいた顔から一転、とても明るい表情をしている。

「コンテスト! すごく画期的な発想だわ!」

 キャロルも興奮したようにはずんだ声で言った。

「え、いいんですか……? お金がかかっちゃうんじゃ……」
「見込みがないものにはお金をかけられないが、見込みがあるならそれは立派な投資だ。しっかり計画を練れば、成功する可能性は充分にある!」
「は、はぁ……」

 アレクシスの力説に、リサは自信のないまま返事をする。思いつきで言ってしまったが、本当にコンテストでいいのかと不安だった。

「まあ、ただコンテストを開くだけではダメだから、慎重に詰めていかなければならないが……」
「そうね。どうせやるなら、できるだけ多くの人が参加できるようにするべきだわ。この際だから国籍、年齢、性別問わず誰でも参加可能にしたらどうかしら?」
「それはまた規模が大きい話ですね……」

 キャロルの提案に、ジークが呆気にとられた様子でつぶやいた。

「国外からもつのるのか……旅費や宿泊費をうちが負担するかどうかの問題もあるし、開催地の設定が難しくなるから、どうにか人数を絞らなければならないな」

 投資といえども、費用は抑えなければならないと、アレクシスが考え込む。

「だったら、審査を複数回に分けたらどうでしょう? 例えば一次審査は書類審査とレシピ審査。そこで選ばれた数名だけを集めて、二次審査で実際に料理してもらうとか」
「なるほど。それなら参加は手紙で受け付けられるし、費用も抑えられる」

 リサのアイデアを即採用と言わんばかりに、アレクシスは手帳を広げ、万年筆でメモをとる。

「あと、そのコンテストを需要の拡大にどう繋げるかが問題よね。注目はされるかもしれないけれど、もう一押し欲しいところだわ……」

 キャロルの言葉に、リサは再び考え込む。投資、需要拡大、コンテスト……とキーワードを一つ一つ思い浮かべてみた。
 ――カフェや料理科のように定期購入してくれる大口の取引先ができるというのが理想かな。
 先程のアレクシスの言葉を思い出し、そこでハッとする。

「あの!」

 突然声を上げたリサに、それぞれ考え込んでいた三人が一斉に視線を向けた。

「投資の額が増えてしまうかもしれませんが、優勝した人にはお店を開く権利をあげたらどうでしょう!」
「……お店を開く権利? それはどういう……?」

 アレクシスは意味がわからないらしく、リサに聞き返す。

「お店を開くっていうのは、正確には『アシュリー商会のサポートを受けてお店を開く』ってことです。お店を開くのは簡単じゃありません。私の場合、たまたま養父母とアレクさんからの大きなサポートがありましたが、普通の人はそうはいきませんよね? お店を持ちたくても持てない人がたくさんいるはずです。コンテストの優勝者なら腕前は確かだと思いますし、その人がお店を開いてカフェのように繁盛したら、食材を定期購入してくれる大口の取引先になるのでは?」
「なるほど。投資する相手の力量をあらかじめ見極めることができるというのは、とてもいいね!」
「お店を開いてからもリサちゃんみたいに食材の活用法を考えてもらえそうだし、いいことずくめじゃない! さすがリサちゃんね! いいとこ気付くわ~」

 アレクシスとキャロルが賛同してくれて、リサはほっとした。
 そこで、黙って考えていたジークが口を開く。

「なあ、リサ。料理科の卒業課題があるだろう。それと絡められないか?」
「卒業課題?」

 思いもしなかった方向からの提案に、リサは一瞬ぽかんとしてしまう。

「卒業課題に何か制約を設けたいんだろう? それならコンテストの一次審査と同じ課題にするのはどうかと思ったんだが……」

 ジークの言葉に食いついたのは、代表のアレクシスだった。

「その卒業課題とは……詳しく聞いてもいいかい?」

 アレクシスの問いを受け、リサが説明をする。

「今年の夏、料理科の一期生たちが卒業するので、その前に大きな課題を出すことにしたんです。内容はまだ決まってないんですが、生徒自身が考えた創作料理のレシピにしようかと思って。ただ、何の制約もなく自由にやらせるのもどうかと迷っていて……」

 リサの説明に補足するようにジークが続けた。

「料理科初の卒業生になるので、来年以降のことも考えて、それにふさわしい課題にしようとリサは考えているんです。必須食材という制約があればより難度が上がるし、生徒それぞれの個性も出る。さらにそのレシピでコンテストに応募できるとなれば、やる気に繋がるのではないかと」
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