異世界でカフェを開店しました。

甘沢林檎

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7巻

7-2

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   第三章 大商会から提案されました。


「ここに来るのも久しぶりだな」

 アシュリー商会の大きな建物を見ながら、ジークがぽつりと呟いた。
 翌日、リサはアレクシスから言われた通り、ジークをともなって商会へとやってきた。

「いつもは担当のシーゲルさんに連絡するだけで事足りるから、直接ここに来ることなんてほとんどないもんね」

 ジークとそう話しながら、リサは正面玄関に足を踏み入れた。
 アシュリー商会は四階建ての建物で、一階は主に商取引に関する申し込みをしたり、会計をしたりするための窓口となっている。
 リサはこれまでも何回か来たことがあるので、慣れた様子でカウンターの方へと歩を進めた。
 カウンターの中にいる女性が、リサの顔を見るなり笑顔を見せる。何度か会ったことがある彼女は、リサの顔を覚えていてくれたようだ。
 その女性のもとへ行くと、リサは昨日アレクシスからもらったカードを見せた。

「いらっしゃいませ、リサ様、ジーク様。代表から話は聞いております。お部屋へご案内いたしますね」

 受付の女性はそう言って、カウンターの奥へ向かう。
 すぐに戻ってきた彼女の後ろには、一人の男性がいる。

「私がご案内させていただきます。こちらへどうぞ」

 男性の言葉に従い、リサとジークは彼の後について歩き始めた。


 リサたちが案内されたのは、三階にある一室だった。
 これまでアレクシスと会う時は二階にある彼の執務室に通されていたので、リサはおや? と首を傾げる。
 男性がドアを開けると、そこは豪華な内装の部屋だった。高そうな調度品の数々が並んでいる。
 雰囲気的にはクロード家の応接室に近いので、おそらく商談相手をもてなすための部屋なのだろうとリサは推測した。
 室内には既にアレクシスとユージーンがいて、リサたちをこころよく迎えてくれる。

「今日はわざわざ足を運んでくれて、ありがとう」
「こちらこそ、お招きいただきありがとうございます」

 リサがうやうやしくお礼を伝えると、アレクシスに向かいのソファを勧められた。そこにジークと並んで座る。
 案内してくれた男性は四人にお茶を出してから、静かに部屋を出ていった。

「話の前に、言っておかなくてはいけないことがあるね」

 アレクシスはリサとジークを順番に見てから、急に顔をほころばせた。

「二人とも、婚約おめでとう」

 そう言って、アレクシスはにんまりと笑う。つい数日前に婚約したばかりなのに、もう知っているとは。リサは驚きながらも笑みを浮かべる。

「ありがとうございます、アレクさん」
「ありがとうございます」

 それぞれお礼を述べたリサとジークに、アレクシスは情報源をさらりと暴露した。

「いやぁ、昨日シアの店に立ち寄った時に聞いたんだよ。妙に忙しそうだと思ったら、『リサちゃんの花嫁衣装のデザインをしてる最中なので、アレク兄様に構っている暇はありません!』って言われちゃってね」

 肩を竦めるアレクシスに、リサは思わず苦笑する。
 婚約が決まってからの、アナスタシアの張り切り具合は半端ではない。目をらんらんと光らせながら、リサの体のサイズを計測する姿が思い出された。
 リサはこちらの世界の伝統や慣習にうといので、花嫁衣装のことはもちろん、結婚式に関する色々なことをアナスタシアに任せている。
 彼女から聞いた話では、この世界では婚約から結婚まで、最低でも半年は開けるのが普通らしい。中には例外もあるが、リサの養父であるギルフォードが爵位を持っていることもあり、出来るだけ慣例にのっとらなければならないそうだ。
 アナスタシアは「半年どころか、もっと時間が欲しいくらいなのに!」と言っていたが、リサはもう二十六歳。半年後は二十七歳になっている。十八歳から二十歳が結婚適齢期と言われるこちらの世界では、かなり遅い結婚と言えた。
 また、子供を産んで育てることを考えると、出来るだけ早い方がいいと思ったため、婚約期間の最低ラインギリギリである半年後に結婚式と披露宴を行うことになっている。

「僕もめいっ子の花嫁姿を楽しみにしているよ」

 そのアレクシスの言葉に、リサは再び笑みを浮かべた。

「はい。もちろんご招待させていただきますので、ぜひいらしてください」

 この世界でのリサの知り合いは、こちらにやってきてからの五年弱の間に出会った人しかいない。義理ではあるものの、伯父として結婚を祝ってくれるアレクシスの存在は、とてもありがたかった。
 リサとジークの婚約話が一段落したところで、アレクシスがいよいよ本題に入る。

「今日二人に来てもらったのは、カフェ・おむすびについて、聞きたいことがあったからなんだ」
「うちのお店についてですか?」

 リサが思わず聞き返すと、アレクシスは頷いてから再び口を開いた。

「単刀直入に言ってしまえば、二号店を出す予定はないかと聞きたかったんだよ」

 そのアレクシスの言葉にリサは驚く。そして、隣に座るジークに視線を向けた。
 カフェの二号店と言われてまず頭に浮かんだのは、今年の夏の出来事だった。リサたちが隣国スーザノウルへ慰安旅行に出かける少し前、カフェ・おむすびの二号店を名乗る店が王都に出来たのだ。
 とはいえ、もちろん本物の二号店ではない。アシュリー商会が販売しているカフェ・おむすびのレシピを参考にはしているものの、クオリティの低い料理ばかり出している、いわゆる模倣店だった。
 二号店と聞いた瞬間、リサはついそれを思い出してしまったのだ。
 それはジークも同じだったらしく、苦々しい表情をしている。

「ああ、ごめん。嫌なことを思い出させちゃったかな? でも、あの模倣店のことも今回の話に多少関わっているんだ」
「あの店のことが?」
「そう。カフェ・おむすびは人気店でありながら、王都にたった一店舗しかない。あの店に模倣されたのは、それが原因とも言えるんじゃないかな。さらにカフェ・おむすびは、お店自体の規模も大きくないから、一度に入れる客数が少ない。お客さんが多い時間帯は並ばなければ入れないし、入る前に諦めてしまうお客さんもいる。例の店が、そういったお客さんたちの受け皿になっていたことはいなめない」

 そのアレクシスの言葉は、リサの胸を突いた。
 カフェ・おむすびはおよそ二十席しかなく、ランチの時間帯には毎日行列が出来る。ティータイムになると客足は落ち着くが、それでも満席のことが多かった。ケーキや軽食などはテイクアウトも出来るものの、来店客数に対して、カフェのキャパシティは明らかに小さすぎる。
 リサも前々からわかってはいた。けれどもカフェと料理科の仕事を両立させるのに忙しくて、ついつい問題を後回しにしていたのだ。

「以前から、今のカフェ・おむすびだけでは、需要をまかないきれないと思っていました。ただ、その問題に取り組む時間や労力が足りなくて……」

 リサが顔を曇らせながら言うと、ジークも同意する。

「そうだな。その問題から目をそむけていたことは確かだ」

 リサとジークがカフェと料理科の両方に尽力していることを、アレクシスも知っている。そのせいか、苦しそうな顔で話す二人の姿に、彼は苦笑した。

「二人は十分に努力しているから、気にむ必要はないよ。けれど、現状が最善ではないということもわかっているはずだ。アシュリー商会ではカフェのレシピや調理器具、食材を販売していることもあって、カフェに対する意見がちらほら聞こえてくる。残念ながら、それは決していいものばかりではないんだ」

 そのアレクシスの言葉を聞いて、リサとジークは緊張に身を硬くした。

「商品を買い付けに来る人の中には、国外からの商人もいる。そういった人たちはたいてい滞在日数が決まっているから、カフェ・おむすびに行くチャンスも限られているんだ。カフェに入れなかった場合、期待していた分だけ悔いが残るみたいだよ。彼らをがっかりさせるのは、君たちとしても本意ではないだろう。だからこそ、手を打ってほしいと僕は思っている」

 アレクシスがカフェ・おむすびのことをこんなに考えてくれているとは知らず、リサはありがたさと申し訳なさで胸がいっぱいになる。
 大商会の代表が、個人経営の店に対してここまで口を出すのは、ある意味過干渉と言えるかもしれない。それでも、こうして時間を取ってまで苦言を呈してくれるのは、リサにとってものすごくありがたいことだった。

「アレクさん、ありがとうございます。これは私たちが自分で考えて解決しなければならない問題なのに、わざわざ時間を取ってまでお話ししてくださって……」
「いやいや、僕もカフェ・おむすびの商品には、だいぶ稼がせてもらっているからね。これからもさらに稼がせてもらいたいと思っているし」

 アレクシスは、おどけた表情で肩を竦めた。
 リサは小さく笑い、ジークもかすかに笑みを浮かべる。

「二号店を作る他に、今の店舗より広い場所へ移転するっていう手もある。なんにせよ、カフェ・おむすびをどうしていくかを決めるのは君たちだ。じっくり考えて答えを出してくれたら嬉しいよ」

 そう言って、アレクシスは表情をゆるませる。

「はい。他のメンバーとも話し合ってみます」

 リサがしっかりとした口調で答え、ジークも大きく頷いた。



   第四章 新たな計画を立てます。


 リサたちがアシュリー商会を出たのは、まだ夕暮れ前だった。まずはアレクシスから言われたことについて二人で話し合おうと、リサの自宅であるクロード邸へと移動する。
 クロード邸の応接室に入った二人は、侍女にお茶のセットを運んでもらい、テーブルを挟んで話し合いを始めた。

「正直、アレクシスさんに言われたことは、耳が痛かったね」
「そうだな。お客さんを待たせてるっていう自覚はあるし、店の席数が少なすぎることもわかっていたから」

 カフェ・おむすびを始めた時は、まさかここまで人気になるとは思ってもいなかった。むしろ、今の規模でも大きすぎるとさえ感じていたのだ。

「現状を改善する方法は二つ。二号店を作るか、もっと広い店舗へ移転するかだな」

 ジークは視線を落としたまま腕を組み、先程アレクシスに言われた二つの方法を口にした。
 リサはそれらについて、じっくりと考える。
 どちらも簡単なことではないとわかっていたが、リサには一つだけゆずれない点があった。

「……正直、移転はしたくない」

 ぽつりと呟かれた言葉に、ジークは顔を上げてリサの表情をうかがう。
 無言で理由を問う彼の視線を受けて、リサは言葉を続けた。

「あの場所にお店を開こうと思ったのは、道具街の雰囲気が好きなのもあるけど、何より隣にサイラス魔術具店のアンジェリカやガントさんがいたからなんだ。移転しても彼らとの付き合いは続くと思うけど、物理的な距離が出来ると、どうしても疎遠になってしまう気がして……」

 そう言いながら、リサはテーブルの上に座る精霊のバジルに視線を向けた。バジルは先程から、リサとジークの話し合いをじっと見守っている。
 リサがあの場所にカフェを開こうと思った時、一緒にいたのはこのバジルだった。
 バジルもその時のことを思い出したのか、懐かしそうに微笑む。そして、ふわりと飛び上がるとリサが膝の上に重ねて置いている手にぴとりと抱き着いた。
 そんなバジルの姿にリサも笑みを浮かべ、それから改めてジークの顔を見つめた。視線をまっすぐ彼に向けたまま、はっきりと告げる。

「だから、出来れば二号店を作る方向でいきたい」

 情に流されるのは、経営者としては間違っているのかもしれない。だが、あの道具街で店を始めたからこそ、出会えた人たちがいる。そしてあの店が、いつしかこの世界でのリサの居場所となっていた。
 そんなリサの気持ちが伝わったのか、ジークがややあってから頷く。

「わかった。リサがそう言うなら、二号店を作る方向で話を進めていこう」

 二号店を開くより移転する方がまだ楽だと、彼もわかっているのだろう。それでもリサの決意に満ちた顔を見て、反対しても無駄だと思ったのかもしれない。

「実はアレクさんから二つの方法を提案された時点で、リサは移転はしたくないんじゃないかと薄々思っていたんだ」
「そうなの?」
「ああ。アレクさんに言われて移転するくらいなら、とっくに移転してるだろうからな。それを今までしていないってことは、あの場所を離れがたいと思っているんじゃないかって」

 ジークは肩を竦めて言った。

「確かにそうだね」

 彼の言う通りだと思い、リサは小さく笑う。

「それはそうと、実際に二号店を作るとなったら、色々と考えなきゃいけないぞ」
「うん。資金の調達に移転先の店舗探し、必要備品の手配に……何より人材が問題だね」

 大まかに挙げてみても、これだけのことを準備しなければならない。その中で最も重要なのが人材探しだった。
 カフェ・おむすびの現在の従業員数は、リサを含めて五人。お店の規模から考えると多いとも言えるが、リサとジークが料理科の講師と兼業しているため、これでもギリギリだった。
 今の状態で店長のリサか、もしくは副店長のジークが二号店の指揮を執るというのは、かなり難しいだろう。
 しかし、一つだけ手がある。リサがそれを思い浮かべてニヤッと笑うと、ジークも同じタイミングで笑みを浮かべた。

「やっぱ、これしかないかな」
「そうだな」

 二人はそう言って頷き合った。


 翌日の開店前。リサとジークはまかないを食べながら、カフェのメンバーに昨日のことを話した。

「え、二号店ですか!?」

 驚きの声を上げたのはヘレナだった。

「そう。前々から思ってたカフェの問題点を、アレクさんにずばっと指摘されちゃってね……指摘されたからには何もしないわけにはいかないし、何よりいいきっかけだからね。思い切って計画を進めようと思うんだ」

 リサがアレクに指摘された問題点を説明すると、ヘレナ、オリヴィア、アランの三人も思い当たる節があるのか、苦々しい表情を浮かべた。
 オリヴィアが悲しげな顔で言う。

「いつもお客さんをお待たせしちゃっているのは、わかっていたんだけれどね。席数が限られているから仕方ないとはいえ、せっかく来てくれたお客さんが諦めて帰っちゃうのを見るのは、心苦しかったわ」

 その言葉に同意するように、ヘレナもますます顔を曇らせた。
 接客担当のヘレナとオリヴィアは、リサ以上にお客さんの様子を間近で見てきたのだ。二人は口には出さないが、待たされることへの苦情も聞かされていたに違いない。
 リサは申し訳なくなり、二人に謝った。

「ヘレナとオリヴィアにはホールの仕事だけじゃなく、待たされるお客さんへの対応もしてもらってたから、本当に悪いと思ってる」
「いえ、それだけ人気があるということでもありますから、このくらい平気です!」

 ヘレナがリサを励ますように言った。

「そうね。だけど一人でも多くの人がカフェの料理を食べられるのなら、二号店を作るのはいいことだと思うわ」

 オリヴィアがリサの意見に笑顔で賛同する。
 ここでリサはアランに目を向けた。彼はヘレナとオリヴィアの言葉を頷きながら聞いているが、さっきから一言も発していない。

「アランくんはどう思う?」
「え? えっと、いいと思いますよ! 前みたいに誰かに真似されるんじゃなくて、リサさんが作る二号店ですもんね」

 アランはいつものように、ニコニコと笑みを浮かべて言った。
 それを聞いて、リサとジークは顔を見合わせる。

「そっか。それならよかった。実は二号店の店長を、アランくんに任せたいと思ってるの」
「……え? ええーー!? い、いや、だってジークさんは!?」
「俺は料理科と兼業しなければならないから時間的に無理だし、そろそろお前にすべてを任せても大丈夫だと思っていたからな。リサともそう話したんだ」

 そのジークの言葉を聞くと、アランはますます信じられないというように、目を大きく見開いた。
 リサは驚きのあまり声も出せない様子のアランから、ヘレナに視線を移した。

「それで、副店長はヘレナにお願いしたいの」
「えぇ!? 私がですか!?」

 ヘレナも全く予想していなかったのか、あっけにとられた表情で固まる。
 急に指名されて驚愕きょうがくするアランとヘレナに対し、オリヴィアだけが華やいだ声を上げた。

「アランくんもヘレナもしっかりしているし、カフェのことに詳しいから、ぴったりだと思うわ! リサさんもジークくんも安心して任せられるわね」

 おっとりと笑いながらオリヴィアは言う。
 すると、固まっていたアランとヘレナがハッと我に返った。

「ちょ、ちょっと待ってください!」
「そうですよ!」

 アランが焦りをにじませた声で言う。

「もともとカフェ・おむすびはリサさんが作った店ですよね!? だったら二号店もリサさん主導で作るべきじゃないですか?」

 ヘレナもアランに同調して口を開く。

「アランさんはともかく、私が副店長って……私は接客係であって、料理人じゃないんですよ!?」

 リサはひとまず落ち着くようにと、両手をかかげてヘレナをなだめた。

「開店準備に関しては、もちろん私が指揮を執るし、カフェを開店した時に学んだノウハウも教えるよ。でも、私は料理科の授業もあるから、常にカフェにいることは出来ないでしょ? それはジークくんも同じだね。そうなると、私たちの次にカフェ・おむすびの料理をよく知っている、アランくんに任せるのが一番だと思うんだよ」

 アレクシスの話を聞いた時点では、二号店を開くなら元の世界で言うフランチャイズ的な感じになるだろうと、リサは漠然と考えていた。だが、昨日ジークと話した時に、フランチャイズ寄りの暖簾のれん分けという感じにしたらどうかと思ったのだ。
 資金やメニュー、技術などはリサとジークから提供するが、ゆくゆくはアランが店長として独立してくれたらと考えていた。
 リサに店長を任されたアランは、不安そうに瞳を揺らしている。笑顔でいることが多い彼には珍しい表情だった。

「次に、ヘレナを副店長にすることについてだけど……そもそも料理人じゃないと店長や副店長になれないってわけじゃないよ? それに何より、ヘレナはジークくんの次にカフェでは古株で、経営についても詳しい。その上、コーヒーをれる技術は誰よりもあるから、多方面でアランくんを助けてほしいと思ってるんだ」

 リサの言葉を聞いたヘレナは、納得したように頷いた。

「他にも理由はあるが、大体はリサが言った通りだな。二人とも、どうだ?」

 ジークが答えを求めて二人に問いかける。

「私に出来ることを精いっぱいやって、アランくんを助けたいと思います」

 使命感を帯びた目をリサとジークに向けて、ヘレナはしっかりと答えた。
 そして今度は、アランの方へと視線を移す。
 他の四人の目が集まる中、アランはゆっくりと口を開いた。

「お二人が俺に任せると言ってくれたことは、嬉しく思います。……頑張ります」

 リサとジークを交互に見つめて、アランもそう返事をした。
 ヘレナはほっと息を吐き出し、嬉しそうに顔をほころばせる。「一緒に頑張ろうね」とアランに声をかけている様子を見ながら、リサもほっとしていた。
 さっそく今日から、カフェは二号店の開店に向けて動き出す。
 ヘレナにぎこちない笑みを返しているアランを眺めつつ、リサは次の計画を頭に思い浮かべるのだった。


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